楽しいひとり温泉

温泉+REBORN 『火の鳥』舞う道後温泉で生まれ変わった「道後御湯」

ひとりでも温泉を楽しみたい! 連載「楽しいひとり温泉」は、全国各地の温泉をめぐり、温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する、温泉ビューティー研究家の石井宏子さんが、テーマごとにひとり温泉にぴったりなお宿を紹介します。

今回ご紹介する温泉とお宿は、愛媛県の道後温泉「道後御湯(みゆ)」(旧宝荘ホテル)。道後温泉は、今年から重要文化財の公衆浴場「道後温泉本館」の保存修理工事に入っていますが、営業しながらアートプロジェクトを行っていて、この時期だけのお楽しみがいっぱい。2020年にむけて、建て替え大工事をしている宿が多い中、いち早く全面新築建て替えをしてオープンした「道後御湯」を取材しました。

保存修理しながら営業中の「道後温泉本館」に舞う『火の鳥』

築125年を超える重要文化財の公衆浴場「道後温泉本館」の保存修理工事が2019年1月から始まりました。「じゃあ、道後温泉本館の温泉に入れないの?」、いえいえ、そうではありません。休憩室がある2階は休館ですが、1階の「神の湯 階下」で入浴することができます。重要文化財の公衆浴場を営業しながら保存修理工事をする全国初のチャレンジ「道後REBORNプロジェクト」を行っているのです。

そして4月27日からは道後温泉本館の建物をプロジェクションマッピングで楽しんでしまう『道後温泉×ネイキッドMESSAGE-火の鳥、到来-』が始まり、道後温泉の夜を彩る“今だけ”のお楽しみになっています。連動する企画として、オリジナルアニメーション『火の鳥”道後温泉編”』も制作され、プロローグ~第1話はYouTubeでも公開中。

動画『火の鳥”道後温泉編”』プロローグ~第1話©TEZUKA PRODUCTIONS

さらに、7月19日からは、工事のための「素屋根」をすっぽりと覆うラッピングアートが登場(メイン写真)。漫画家・手塚治虫の『火の鳥』や、道後温泉のシンボル白鷺(シラサギ)、歴史上の人物や工事をする職人さんの様子など未来に向けて再生されていくイメージが描かれています。

建て替えが進む道後温泉の宿、生まれ変わった「道後御湯」

温泉+REBORN 『火の鳥』舞う道後温泉で生まれ変わった「道後御湯」

木目調のルーバーが美しい「道後御湯」。夜は行灯のような表情になる

道後温泉は旅館やホテルもリボーンラッシュ。旧宝荘ホテルは、いち早く全館新築建て替えを行い、2018年に全室温泉付きの「道後御湯」として生まれ変わりました。コンセプトは大人のための現代湯治、どんなお宿になったのか、とてもワクワクします。

温泉+REBORN 『火の鳥』舞う道後温泉で生まれ変わった「道後御湯」

ロビーに続くライブラリーラウンジ。滞在中いつでもコーヒーやお茶が楽しめる

旧宝荘ホテルといえば、2014年にひと部屋まるごと草間彌生さんとコラボした客室を期間限定で展開したことが。そんな草間さんとのご縁を感じる作品「わたしの富士山」をライブラリーラウンジで発見。宿を建てる時に、この場所にこの絵のための壁を作ったのだそうです。間近で眺めることができて、本当にうれしい!

■愛媛県の工芸を取り入れたシックなインテリアの客室

温泉+REBORN 『火の鳥』舞う道後温泉で生まれ変わった「道後御湯」

プレミアの客室。畳にチェアのリビングもあってくつろげる

部屋は52平方メートルのスーペリアから77平方メートルのスイートまで広さやデザインの違う4タイプ全てでひとり宿泊も可能。全室に温泉露天風呂と松山城まで見渡せるビューデッキがあります。すっきりとした部屋には、デスクもあって、ビジネスの前後や、連泊滞在でも快適に過ごせそう。入り口のサインは菊間瓦、茶器は砥部焼(とべやき)、ベッドヘッドの壁は「ギルディング和紙」という金属箔を使った和紙。愛媛県の工芸を取り入れたシックなインテリアです。

「最近は、自分自身へのご褒美として温泉ざんまいを楽しまれたり、ビジネスシーンでグレードアップ利用されたりする女性のひとり宿泊も多いんですよ」と、宝荘ホテルグループの宮﨑光彦社長からお聞きしました。なるほど、この宿なら、機能的な便利さとゆったりしたご褒美の時間の両方が手に入ります。

■チェックイン直後に注がれるフレッシュな温泉

温泉+REBORN 『火の鳥』舞う道後温泉で生まれ変わった「道後御湯」

全室に温泉露天風呂があり、チェックインと同時に温泉が注がれる

道後温泉の湯の素晴らしさをできる限り楽しんでいただきたいと、この宿では、チェックインをした直後にフロントで操作をして部屋に新しい温泉を注ぎ始めます。つまり、部屋に到着した時には、まだ、お湯をためている途中。自分のためだけに新しい温泉を注いで迎えてくれているという喜びで感激。たまった直後にさっそく入浴すると、とろりとした道後温泉の特徴が感じられてうれしくなりました。

温泉+REBORN 『火の鳥』舞う道後温泉で生まれ変わった「道後御湯」

最上階にある男女別大浴場は高台の立地を生かした絶景温泉

最上階の男女別大浴場は、大きな窓から松山の街や山々が見渡せる絶景の内湯と露天風呂があります。「なんだか、空の雲まで火の鳥に見えてきた……」、部屋の温泉に入ったり、道後温泉の外湯に出かけたり、大浴場へ入ったりと温泉ざんまいの旅です。

道後温泉の湯につかっていつも思うことは、歴史ある名湯は成分だけでは語れないなあということ。温泉分析書を見ると、泉質はアルカリ性単純温泉、pH9.1。アルカリ性の温泉はせっけんのように肌表面を洗い流す作用があり、すべすべ美肌の温泉です。成分総計は262mgでそんなに濃い温泉ではないのですが、肌にすいつくような密着感があってとても温まるように感じます。

温泉+REBORN 『火の鳥』舞う道後温泉で生まれ変わった「道後御湯」

屋上デッキは夕暮れ時も美しい

大浴場の隣には、湯上がりラウンジと屋上デッキがあります。眼下には道後温泉の街、遠くには松山市街、連なる山の稜線(りょうせん)、そして、右手には松山城が見えます。湯上がりフリードリンクはみかん・いよかんジュースやコーヒー牛乳など心がほころぶひと時です。

■夕食は伊予牛ステーキに「みかん鯛」の刺し身、松山流鯛めし!

温泉+REBORN 『火の鳥』舞う道後温泉で生まれ変わった「道後御湯」

アートのように美しい盛り付けの料理。食べるのがもったいない気分

「なんと、まあ、美しいこと……」。くずして食べてしまうのが惜しくなるようなお料理です。「伊予国の散策」と、名付けられた夕食は、瀬戸内海の海の幸や夏野菜、ブランド牛「伊予牛 絹の味」など豊かな旬の味わいのぜいたくな小旅行のようです。この日の旬菜(しゅんさい)は、左上が風干し小吸仕立て、浜千鶏のからし酢掛け、ふっくらと炊いた穴子とうすい豆の白あえなど、冷えた白ワインと一緒に楽しみました。

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瀬戸内の海の幸のお造り4種

瀬戸内の幸のお造り。みかんなどのかんきつをエサに取り入れて育てた愛媛のブランド「みかん鯛」の刺し身は、ほんのりかんきつを感じるさわやかな味わい、カンパチやカツオ、まぐろの上にのっているのはワサビエキスを粒にした薬味。

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伊予牛ステーキには金粉がのっている

主菜は伊予牛ステーキ。絶妙の火入れで運ばれる伊予牛は、肉のうまみが広がるジューシーさと程よい弾力のバランスが素晴らしい。瀬戸内レモンをきゅっと搾れば爽やかな香りでおなかがいっぱいといいながらも、すすんでしまう。

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松山の郷土飯「鯛(タイ)めし」はおいしくてとまらなくなる

やっぱりしめは郷土料理の鯛(タイ)めし。道後御湯では、炊き込みスタイルの松山流鯛めしです。ふっくらと炊きあがったごはんに、鯛のうまみが染み込んでいて、もうこれは芸術品と呼びたいおいしさ。うーん、たまりません。

夜の道後温泉は毎日がお祭りのように楽しい

温泉+REBORN 『火の鳥』舞う道後温泉で生まれ変わった「道後御湯」

道後温泉本館で毎夜15分毎に開催される限定のプロジェクションマッピング

夕食の後は、夜の道後温泉へ繰り出します。19:00~21:30に道後温泉本館で毎日開催されるプロジェクションマッピングをお目当てにたくさんの人が集まってきます。道後温泉の守り神「玉の石伝説」や、聖徳太子が来浴された飛鳥時代など、道後温泉のそれぞれの歴史に『火の鳥』が舞い降りていきます。

温泉+REBORN 『火の鳥』舞う道後温泉で生まれ変わった「道後御湯」

工事中は125年前の改築当時の北面の入り口から入る。西面玄関は限定の「火の鳥」の演出

温泉街のアーケードをそぞろ歩いて自分のためのお土産を探索。道後温泉本館の温泉は「神の湯 階下」で入浴できます。22時30分まで入れるので、ひと風呂いただいて宿へ戻ります。

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.生まれ変わりのパワーを体感
2.新しくなった湯宿でご褒美時間
2.愛媛の旬を味わう美食

■愛媛県・道後温泉 道後御湯
https://www.dogomiyu.jp/

PROFILE

石井宏子

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)ほか。新著「感動の温泉宿100」(文春新書)が10月に発売された。

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