魅せられて 必見のヨーロッパ

「小スイス」と、1000万人が見た世界の記憶 ルクセンブルク

ツアーの行き先としてはあまりメジャーではないけれど、足を運べばとりこになってしまう。そんなヨーロッパの街を、ヨーロッパを知り尽くした作家・写真家の相原恭子さんが訪ねました。今回は「小さなスイス」と呼ばれる、ルクセンブルクのミュラータール地方から、北部アルデンヌ地方のクレルヴォー城へ。この城には、世界中の人々をくぎづけにしたユネスコ「世界の記憶」が展示されているのです。

「小さなスイス」ミュラータールのハイキング

今回はルクセンブルク市からドイツとの国境方面を抜け、北方のクレルヴォー城へのドライブです。

まずはミュラータールへ。ここは「小さなスイス」と呼ばれ、自然が豊かで美しいハイキングルートで知られる地域です。

「小スイス」と、1000万人が見た世界の記憶 ルクセンブルク

緑の中で休日を過ごす人々

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小鳥のさえずりが、日常の雑事を忘れさせてくれます

ミュラータール・トレイルは全長112キロ。奇岩があり変化に富んだ風景が魅力で、ヨーロッパでは評価の高いハイキングルート。体力に合わせて部分的に散策することもできます。

ミュラータールから、さらにドイツとの国境方向へ丘陵地帯をドライブして、エシュテルナッハに到着。ルクセンブルク最古の都市です。川を挟んで目の前はドイツ。戦時中を知るガイドのヴンシュ氏は、「誰もが行き来できて、のどかな国境の風景を楽しめるのは『平和』の恩恵ですよ」と語ります。

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ベンチから見えるのは、ドイツの家々

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国境の橋のたもとには昔の税関が残っています

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ドイツへ掛かる橋

黄色い地色の標識に書かれているエシュテルナッハはルクセンブルクの街、エヒテルナハブリュックはドイツの街です。

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路地の散策もおすすめ

エシュテルナッハの中心はマーケット広場。広場に面して市の会議室や展示室などが入った「デンツェルト」と市庁舎があります。街にはドイツ風な雰囲気が漂います。堂々とそびえるバシリカ(聖堂)内部には、エシュテルナッハを代表するお祭り「エシュテルナッハの踊りの行進(ダンシングプロセッション)」の展示があります。

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写真左の茶色の建物が「デンツェルト」、その右側が市庁舎です

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どっしりとそびえるバシリカ

さらに北へ車を走らせて、クレルヴォー城へ向かいました。

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クレルヴォー城

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城内には「世界の記憶」に登録されている「Family of Man」の展示があります

この「ザ・ファミリー・オブ・マン/The Family of Man」は、ルクセンブルク生まれの写真家・画家エドワード・スタイケンが、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレーター時代(1955年)に企画・展示した写真展です。2003年にユネスコ「世界の記憶」に登録されました。

「小スイス」と、1000万人が見た世界の記憶 ルクセンブルク

「小スイス」と、1000万人が見た世界の記憶 ルクセンブルク

人間へのあたたかいまなざしを感じる写真の数々

68か国からの273人のアーティストによる503点の写真からなり、人間の生誕、家族、信頼、教育、労働、戦争と平和など37のテーマに分けられています。ロバート・キャパ、ドロシア・ラング、アンセル・アダムスなど一世を風靡(ふうび)した写真家たちの作品も含まれています。国の大小、地位や人種に左右されることのない確固とした人間の尊厳、生まれてきた意義、生命の大切さ、生きることの喜びや悲しみ、苦悩の表現に、私は心を動かされました。

1955年から1960年代に世界の150ものミュージアムで展示され、入場者数は900万人を越えました。1993~1994年に東京と広島での展示を最後に、1994年以来この城で常設展示されています。1955年以来の入場者総数は約1000万人にのぼります。今も訪問者が絶えません。

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展示された年と都市が記載された世界地図

地図で見ると、世界中を回った展覧会であったことを実感します。日本での展示回数が意外にも多いとわかります。
ルクセンブルクは小さな国ですが、その様々な側面に魅かれます。

ルクセンブルク貿易投資事務所
https://www.investinluxembourg.jp/ja/

VISIT LUXEMBOURG
http://www.visitluxembourg.jpn.com/jp

SAKURA VOYAGE
https://sakura-voyages.eu/

クレルヴォー城(外国語)
https://steichencollections.lu/

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PROFILE

相原恭子(文・写真)

慶應大学卒業。ドイツ政府観光局勤務を経て、作家&写真家。「ドイツ地ビール夢の旅」(東京書籍)、「ドイツビールの愉しみ」(岩波書店)、「ベルギー美味しい旅」(小学館)、「京都 舞妓と芸妓の奥座敷」(文春新書)、「京都 花街ファッションの美と心」(淡交社)、英語の著書「Geisha – A living tradition」(フランス語、ハンガリー語、ポーランド語版も各国で刊行)など著書多数。国内はもちろん、国際交流基金・日本大使館の主催でスペイン、ハンガリー、エストニアで講演会や写真展多数。NHK「知る楽」「美の壺」、ラジオ深夜便「明日へのことば」「ないとエッセー」、ハンガリーTV2、エストニア国営放送など出演多数。
https://blog.goo.ne.jp/goethekyoko

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