楽園ビーチ探訪

「こんなところに、すごい日本人!」シチリア島パレルモで驚いた

連載「楽園ビーチ探訪」は、リゾートやカルチャー、エコなどを切り口に、国内外の海にフォーカスした読み物や情報を発信するビーチライターの古関千恵子さんが訪れた、世界各地の美しいビーチや、海のある街や島を紹介いたします。

今回訪れたのはシチリア島の街パレルモ。通りすぎるだけのはずだったこの街で、すごい日本人に出会ったそうです。

シチリア島パレルモとは?


イタリアのシチリア島は地中海最大の島、イタリアにおける最大の州です。当初、移動のために通過するだけのつもりが、「こんなところに、すごい日本人!」と驚いた偶然の出会いがあり、思い入れのある場所になりました。出会いは、旅のだいご味です。

「こんなところに、すごい日本人!」シチリア島パレルモで驚いた

パレルモの旧市街。長い時間を吸い込んだような歴史的建物が並んでいます

シチリア島の州都パレルモは、地中海の中心地という立地から、北はノルマン、南や東はアラブなどの他民族からたびたび侵略を受けた歴史があります。様々な文化の影響が歴史的建造物にうかがえ、ドイツの文豪ゲーテが「世界一美しいイスラム都市」と心打たれた街です。

「こんなところに、すごい日本人!」シチリア島パレルモで驚いた

夕闇迫るパレルモのヨットハーバーで見かけた親子連れ。シチリア島が舞台の映画『ニュー・シネマ・パラダイス』の少年とどこか重なります

パレルモっ子の憩いの場、モンデッロ

「近くの、日本人シェフがいるミシュランガイドの星付きレストランに行ってみよう」との同行の友人の提案に、パレルモにある海辺のリゾートのモンデッロへ行ってみることにしました。

モンデッロはパレルモ中心部から北に11キロほど。ペレグリーノ山とカポ・ガッロ岬に両サイドを守られた小さな海辺の町です。もともとは湿地帯でしたが、20世紀初頭にベルギーの富裕層が沼地の水を抜き、大規模な干拓プロジェクトをスタート。アールヌーボー様式の邸宅が並ぶ美しい別荘地を作り上げました。

「こんなところに、すごい日本人!」シチリア島パレルモで驚いた

モンデッロはシチリア島では貴重な砂浜と浅瀬のビーチ

シチリア島には岩でゴツゴツした浜や断崖が多く、砂浜のビーチと遠浅の海が広がるモンデッロは貴重な存在。パレルモっ子にとっての憩いの場で、週末にシーフードレストランへ訪れる、あるいはバカンスシーズンには移り住む人もいるとか。

「こんなところに、すごい日本人!」シチリア島パレルモで驚いた

カポ・ガッロ岬。訪れた4月はすみ分けがなく、平等に開かれたビーチでした

訪れた4月には見られなかったのですが、夏になるとビーチにはユニークなすみ分けが三つできるようです。ひとつは、「カビーナ」と呼ばれる貸し切りボックスがずらりと並び、その所有者のみが入ることのできるゾーン。もうひとつは、「リド」と呼ばれる海の家による有料のパラソルとビーチベッドが並ぶゾーン。そして、浜にバスタオルを敷いて寝転ぶ無料ゾーン。人気ビーチでのんびり優雅に過ごすには、財力も必要のようです。

ビーチを前にして右にそびえているのが、ペレグリーノ山。この景観を前にして、文豪ゲーテは「世界で最も美しい岬」と称賛しました(ゲーテの「世界一」がパレルモには二つも!)。

「こんなところに、すごい日本人!」シチリア島パレルモで驚いた

モンデッロのペレグリーノ山。この山の向こうにパレルモの街があります

山を見上げると、中腹になにやら建物が見えます。サンタ・ロザリア聖堂です。もともとある洞窟の内部を聖堂としたのが始まりで、17世紀に大流行したペストから、パレルモの守護聖人ロザリアが街を救ったという逸話が伝えられています。行ってみたいけれども、通り過ぎるだけの予定だった町ゆえ、今回はおあずけ。

一軒家レストラン「バイバイ・ブルース」

「こんなところに、すごい日本人!」シチリア島パレルモで驚いた

一軒家レストラン「バイバイ・ブルース」

お目当てのミシュランガイドの一ツ星「バイバイ・ブルース」は、住宅街にぽつりと建つ一軒家レストランです。シェフの松隈幸彦さん(以下、ユキさん)は2001年に渡伊後、いくつかのレストランを経て、2003年から今のお店に。移り変わりの激しいパレルモにあって20年以上続く希少な存在で、ユキさんはオーナーシェフの右腕として活躍されています。

「こんなところに、すごい日本人!」シチリア島パレルモで驚いた

イタリアにやってきた頃はこの国の文化や暮らしに興味があったというシェフのユキさん。毎年ここに暮らす理由は変わり、今は愛犬のためだとか

そんなユキさん、メニューの開発や日本人若手シェフの短期厨房(ちゅうぼう)体験など、様々な試みに挑戦しています。その中でも、ユニークなのが“日本人限定のランチ” (平日のみ)でしょう。

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「Cagliata al gelsomino su gelo di anguria」ジャスミン風味のカリアータとスイカのジェル、「バイバイ・ブルース」の料理例

「こんなところに、すごい日本人!」シチリア島パレルモで驚いた

「La mia pasta con le sarde」(直訳は「わたし風のイワシのパスタ」)、イワシと野生のウイキョウと松の実のラビオリ、「バイバイ・ブルース」の料理例

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「Cavatelli neri con calamari gamberi e schiuma di ricci」イカ墨を練り込んだカバテッリ イカと海老とウニの泡のソース、「バイバイ・ブルース」の料理例

ミシュラン星付きのレストランでありながら、日本人限定ランチはなんと30ユーロ。突きだしのヒメジのテリーヌから始まり、マッザーラ産の赤えびのテリーヌやスズキのケッパー締め、イカ墨を練りこんだカバテッリ、名物デザートのカンノーロなど、もう大満足。日本人の胃袋にはちょうどいい量なのも、ありがたいです。

■バイバイ・ブルース
https://www.byebyeblues.it/

夫の実家は宮殿、貴族と結婚した日本人!?

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画家で貴族の夫ファブリス氏所有の18世紀の貴族の館メインホール。内装は当時のまま

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天井を見上げると……フレスコ画。イタリアの文化財に指定されているのだとか

そしてユキさんを紹介してくださった現地コーディネーター&ライター岩田デノーラ砂和子さんは、なんと、貴族と結婚。

旧市街メインストリートに建つ貴族の館にうかがうと、天井には壮大なフレスコ画が一面に。「パレルモの凱旋」をテーマに守護聖人のサンタ・ロザリアと古代守護人ジェニオ・ディ・パレルモが描かれていました。岩田さんはそんな歴史の街にいながら、かつて東京の出版社でバリバリ働いていたそのままといった感じで、とても気さくな方なのです。

パレルモの街は通り過ぎるだけではもったいない。また、「バイバイ・ブルース」で30ユーロのランチがいただきたいし、再訪を誓う旅でした。

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PROFILE

古関千恵子

ビーチライター。リゾートやカルチャー、エコなどを切り口に、国内外の海にフォーカスした読み物や情報を発信する。ダイビング雑誌の編集者を経てフリーとなり、“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”を繰りかえすこと四半世紀以上。『世界のビーチ BEST100』(ダイヤモンド・ビッグ社)の企画・執筆、『奇跡のリゾート 星のや 竹富島』(河出書房新社)の共著のほか、ファッション誌(『Safari』『ELLE Japon』など)やウェブサイトに寄稿。ブログも配信中。

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