永瀬正敏フォトグラフィック・ワークス 記憶

(24)立っているだけで絵になる男 永瀬正敏が切り取ったニューヨーク 

国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回はニューヨークで撮ったポートレート。眼光鋭いこの人物は?

(24)立っているだけで絵になる男 永瀬正敏が切り取ったニューヨーク 

© Masatoshi Nagase

ニューヨークのマンハッタンで撮影した1枚だ。ギャラリーを経営しているキュレーターで、アートシーンでは著名な方だと聞いた。久しぶりのニューヨーク滞在中、写真をいろいろ撮りたいと友人に相談して、紹介してもらった。

アート全般のキュレーターなので、撮影していても、こちらが求めているものが瞬時にわかるのだろう。そこに立ってほしい、とだけ頼んだら、角度や表情を自然につけてくれて、それで絵になるから、さすがだなと思う。美意識が高いのだろう。

初めてお目にかかって、10分ほどで撮影した。デジタルカメラだったから何枚でも撮れてしまうけれど、「撮れた」という手応えが早く来た。その中で、撮った時の匂いが一番出ているのが、このカットだった。

ニューヨークは、特別な街のひとつだ。ジム・ジャームッシュ監督の「ミステリー・トレイン」に出演したあと、ここで監督やプロデューサーに、いろいろな方を紹介していただいた。中学時代からずっと憧れていたミュージシャン達(たち)、映画監督、俳優、写真家、アーティスト、ギャラリーのオーナー、そして彼らの家族。その繋(つな)がりが、今でも僕の財産になっている。

PROFILE

永瀬正敏

1966年宮崎県生まれ。1983年、映画「ションベン・ライダー」(相米慎二監督)でデビュー。ジム・ジャームッシュ監督「ミステリー・トレイン」(89年)、山田洋次監督「息子」(91年)など国内外の約100本の作品に出演し、数々の賞を受賞。カンヌ映画祭では、河瀬直美監督「あん」(2015年)、ジム・ジャームッシュ監督「パターソン」(16年)、河瀬直美監督「光」(17年)と、出演作が3年連続で出品された。近年の出演作に石井岳龍監督「パンク侍、斬られて候」、甲斐さやか監督「赤い雪」など。写真家としても多くの個展を開き、20年以上のキャリアを持つ。2018年、芸術選奨・文部科学大臣賞を受賞。

(23)人間の影が焼き付いた? 永瀬正敏が撮ったパターソン

一覧へ戻る

(25)摩天楼のはざまの光と影 永瀬正敏が撮ったニューヨーク

RECOMMENDおすすめの記事