京都ゆるり休日さんぽ

古いもの好きの心くすぐる、京都のビンテージショップ「BROWN.」

暮らすように、小さな旅にでかけるように、自然体の京都を楽しむ。連載「京都ゆるり休日さんぽ」はそんな気持ちで、毎週金曜日に京都の素敵なスポットをご案内しています。

店主の審美眼とセンスで古物を選び、空間を彩り、次の持ち主へと手渡していく小さな古道具店が、京都にはあちこちに息づいています。今回ご紹介する「BROWN.(ブラウン)」もその一つ。女性店主がアメリカやヨーロッパを旅して買い付けた品々を求めて、京都内外からファンが通うビンテージショップです。

洋書からインスピレーション、古き良き欧米のビンテージを集めて

古いもの好きの心くすぐる、京都のビンテージショップ「BROWN.」

二条城東の二条通り沿い。ショーウィンドーが季節の着こなしや入荷を伝える

築100年以上の建家を改装した空間には、トラッドアイビースタイルの古着、武骨で存在感のあるストレージボックスや経年変化が味わい深い木の家具、シンプルで食卓になじみやすいテーブルウェアなどが並びます。ところどころに置かれた洋雑誌やアートブックは、店主・杉本康子さんのインスピレーションのもと。それぞれの品が持つ背景や、暮らしへの取り入れ方の参考になります。

古いもの好きの心くすぐる、京都のビンテージショップ「BROWN.」

土間のおくどさん(かまど)もそのまま。タイルや水回りの配管の古びた味わいを残して

「外国の雑誌が好きなんです。その時代の流行や現地の空気感、日本にはない風景や住空間に憧れがあって……。洋書の1ページにあった品物に蚤(のみ)の市などで出合うと、つい買い付けてしまいます」

そう話す杉本さんは、年数回アメリカやヨーロッパを中心に買い付けに赴きます。アパレルのセレクトショップで経験を積みながらインテリアやビンテージの世界へとアンテナを広げ、2011年に「BROWN.」をオープン。日々の食卓や収納の即戦力となるような品のセレクト、置き場所に困るほどの大きなアイテムや存在感たっぷりのレア物など、実用とデザイン性の両方を押さえているのが男女問わず「古いもの好き」の心をつかむ理由。カップルや家族連れ、海外からのお客様も数多く訪れます。

古いもの好きの心くすぐる、京都のビンテージショップ「BROWN.」

タフな作りの白磁の食器類は食卓に取り入れやすい

古いものにしかない、手仕事や風合いの奥行きを

古いもの好きの心くすぐる、京都のビンテージショップ「BROWN.」

大ぶりなウッドボウルや子ども1人入れそうなほどのカゴなど、「大きいものが好き」という杉本さんらしいセレクトも随所に

「私自身は、好きなものは子どものころからずっと変わらないんです。アメカジやトラッドのスタイル、ちょっとびっくりするくらい大きなもの、古い布やラグ……。特に、アメリカの1920~30年代の布は、天然繊維の良質な糸を使って、1人が最後まで織っていたりする。現代では考えられないほど手の込んだ仕事に感動します」

古いもの好きの心くすぐる、京都のビンテージショップ「BROWN.」

古い生地は量り売りも可能。秋冬は、ブランケット類やファー小物もたびたび登場する

古いシーツやインテリアファブリックデッドストックの生地など、布類の豊富さも「BROWN.」の特色の一つ。古い生地を使って仕立てた、クッションカバーやエプロン、トートバッグなどのオリジナルアイテムは、使い勝手の良いデザインに落とし込まれたビンテージの風合いが人気を集めます。

古いもの好きの心くすぐる、京都のビンテージショップ「BROWN.」

アメカジやトラッド、ワークウェアや軍ものなどの古着も豊富。多くがユニセックス

店をスタートした時は、現在よりも小さい空間に雑貨を中心に並べていましたが、この場所に移転してより大型家具や古着が充実してきたという杉本さん。買い付け直後を楽しみに訪れるお客様も多いといいます。

「8年ほど店を続けてきて、『古いものが好きな人はやっぱり好きなんだな』と実感します。一時のブームではなく、古いものにしかない味わいや作りの良さを共感してもらえる人に、通っていただけるのがうれしいです」

古いもの好きの心くすぐる、京都のビンテージショップ「BROWN.」

吹き抜けの空間に天窓から光がさす。高いところにもディスプレーされているので、すみずみまで宝探しを楽しみたい

自分が生きた時代や国ではないところへ心を旅立たせてくれたり、暮らしに憧れや味わいをプラスしてくれたりする古いもの。京都の小さなビンテージショップに流れ着いた、物語を秘めたさまざまなものたちは、次の持ち主に出合うのをじっと待ち受けているに違いありません。(撮影:津久井珠美)

BROWN.(ブラウン)
https://brownkyoto.jp

BOOK

古いもの好きの心くすぐる、京都のビンテージショップ「BROWN.」

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が6月7日に出版されました。&TRAVELの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。税別1200円。

 

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PROFILE

  • 大橋知沙

    編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブックやWEB、ライフスタイル誌などを中心に取材・執筆を手がける。本WEBの連載「京都ゆるり休日さんぽ」をまとめた著書に『京都のいいとこ。』(朝日新聞出版)。編集・執筆に参加した本に『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

  • 津久井珠美

    1976年京都府生まれ。立命館大学(西洋史学科)卒業後、1年間映写技師として働き、写真を本格的に始める。2000〜2002年、写真家・平間至氏に師事。京都に戻り、雑誌、書籍、広告、家族写真など、多岐にわたり撮影に携わる。

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