あの街の素顔

ビンテージ×モダンクリエーティブ エストニアのタリン バルト駅周辺

エストニアのタリン在住、カルーシオン真梨亜です。タリンには観光スポットとして有名な旧市街以外にも、オススメしたい場所はたくさんあります。今回は、ぜひ行っていただきたいエリアの一つ、バルト駅周辺とクリエーティブシティー「テリスキヴィ」をご案内します。地元のオーガニック・アイスクリーム店は甘党必見ですよ。(イラスト・あんじミサ)

駅構内で「ソ連時代の暮らし」展

バルト駅へは、旧市街の中心ラエコヤ広場から徒歩10分ほど。1860年代にロシアのサンクトペテルブルクからバルト駅を通り、エストニアのパルディスキという町までをつなぐ為に建てられた駅です。

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バルト駅。右側の建物が展覧会場

1965年に旅客ターミナルとして建てられたアーチ型の屋根の建物は現在、写真展やコンサートなど様々な催し物に使われています。ここで8月31日まで開かれていた「あの頃へ ソビエト時代のエストニアの暮らし」展をご紹介しましょう。エストニア人だけでなくエストニアに住むロシア人からの人気も高く、エストニア国内のあちらこちらを巡回して展示されてきました。エストニアがソビエト連邦の一部だった頃の暮らしや様子、製品を展示していました。

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ソビエト時代のスーパーを再現した展示

自動車、テレビ番組、はやっていたゲーム、商品を並べたスーパーの様子、配給店で手に入ったもの、衣類も。
「エストニアの歴史上、現実にあったことを展示したもので、ソビエト連邦時代の良し悪しを評価しているわけではありません」と、主催者のタネル・ソーサールさんは語ります。

車が手に入らないから自分で作った

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手作りの黄色い車、ウノおじさんの「ボロ人形」

たとえば、「手作りの車」。共産党員や支持者以外は車を手にすることが難しかった時代、ウノという男性が自分で作った正真正銘の手作りです。「ボロ人形」と名付けられたこの車は5万キロを走行。一番長い旅は、エストニアを出てラトビア、リトアニアを通って、ベラルーシ、ウクライナ、モルドバとクリミアを回り、モスクワ経由でエストニアに戻ったものだったそうです。

映画セットのように作られたアパートは一番人気でした。ソビエト時代に与えられた家や家具はどの家庭もほとんど同じで、タンスやベッド、ブリキのおもちゃなど手に入るものは限られていたので、その時代を経験した人は懐かしく思うそうです。

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当時は撥水(はっすい)加工された牛乳の袋を細長く切って編み、手に入らないカーペットを手作りした

配給制度下のテレビCMは、宣伝ではなく教育が目的でした。レモン、ねぎ、パプリカ、フレッシュサラダのコマーシャルは、体にいいよ、食べましょう、というもの。香水のコマーシャルは、世の中には、こんなものがあるよ、と知らせる意図で流れていたそうです。

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真ん中のテレビには当時のフィンランドのテレビ番組が映し出されている。チェルノブイリで起きた事故のニュースはソビエト連邦だったエストニアのテレビでは放送されなかったとのこと

当時、フィンランドのテレビ放送は「自由世界への窓」。タリンからヘルシンキまでは約80キロ。かろうじてフィンランドの電波を拾うことができました。ソ連とフィンランドは放送システムが違っていたため、人々は機械に詳しくチューニングできる人に調整してもらって、フィンランドのテレビ中継を見ていたそうです。

ビンテージ×モダンクリエーティブ エストニアのタリン バルト駅周辺

ビンテージ×モダンクリエーティブ エストニアのタリン バルト駅周辺

エストニア国立公文書館と共同で、映画ポスターも展示。ソビエト時代の映画ポスターは手描き。QRコードを読み込むと詳しく情報が聞ける

ソーサールさんは当時を振り返り、「これ以外の生活があるとはみな思っていなかった。テレビで他国の情報が入ってきても、別世界の話だと思っていました。あの時代が終わったことが、ただただうれしい。エストニア国外でも展示することが夢です」と目を輝かせ生き生きと話していました。

「BACK IN TIME~LIFE IN SOVIET ESTONIA」
http://backinsoviettime.com/en

バルト駅マーケット

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バルト駅マーケット

バルト駅について語る時に忘れてならないのは、駅に隣接しているバルト駅マーケットです。旧市街から線路をはさんで駅の反対側にあります。2017年にリニューアルオープンしました。

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色とりどりの果物や旬の食材、花々などが並ぶ

大型スーパーもあり、地元の人たちの台所としても使われ親しまれています。入り口を入ってすぐ、新鮮な果物や野菜、きゅうりのマリネやはちみつ、花々が色鮮やかに並びます。

室内マーケットには、エストニアの伝統民芸品店「VEDUR」(ヴェドゥール)があります。1929年に結成されたエストニア民芸品組合のお店です。組合はソビエト時代は活動していませんでしたが、1992年に再結成。エストニアの伝統民芸品や、地域に伝わる伝統デザインを商品化し、プレゼントやお土産として販売しています。

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オススメしたいのは、地上2階部分にある古着やアンティークのお店です。「Sõbralt Sõbrale」(スブラルト・スブラレ)というのはエストニア語で「友から友へ」の意味。食器やグラスは安く、一つ50円以下で手に入るものもたくさんあります。

タリン市内のあちこちに点在する、このようなリサイクルショップや古着屋さんを巡るのはとても楽しく、掘り出し物に出あえることも多いのです! 筆者はなんと、1.5ユーロ(約180円)でロンシャンのミニバッグを購入したことがあります。

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「HUMANA」は地元のエストニア人もひんぱんに利用するリサイクルショップ。バルト駅マーケットから徒歩2分ほどのところにあるこの「Kotzebue vintage HUMANA」 はビンテージ服を中心に取り扱っているリサイクルショップ。全商品一律1ユーロのセールを行うことも

旧鉄道工場軸にクリエーティブシティー

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鉄道工場だった場所を活用したカフェやファストフードのエリア「DEPOO」

バルト駅から線路沿いの道を徒歩10分。DEPOO(車庫)はかつて鉄道工場だった場所を、電車の車両や線路は残しつつ進化させているエリアです。ソ連時代から続く古いマーケットも残っています。

近くには、タリンのバイタリティあふれる若者やベンチャー企業が集まり活気あふれるテリスキヴィ・クリエーティブシティーがあります。

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テリスキヴィ・ショッピングストリート

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テリスキヴィ・ショッピングストリート内。エストニア人のデザイナーズショップやアート専門店、セレクトショップなどが並ぶ

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人気が高く予約なしではなかなか入れないカフェ&バー「F-hoone」 (エフホーネ)はおしゃれな人たちでいっぱい。ラップトップを広げ、仕事をしながらコーヒーを楽しんでいるエストニア人も多く見かけます

筆者お薦めのオーガニックアイス

ビンテージ×モダンクリエーティブ エストニアのタリン バルト駅周辺

「La Muu」の店舗

テリスキヴィ広場には、筆者がお薦めしたいエストニアのオーガニックアイスクリーム店「La Muu」(ラ・ムー)があります。知らないと見逃してしまいそうな少し奥まった場所にあります。大型スーパーなどで買えるアイスクリームのメーカーが、2018年に始めたカフェテリアです。

店舗で購入できるフレーバーは17種類。ベーコンメープルシロップ味、クルミを使ったウォルナッツメープル味、ティラミスなど、カフェだけで味わえるユニークなフレーバーもあります。いずれも隣接するアイスクリーム工場で一から作っているとのこと。一番人気はキャラメルシーソルト味だそうです。

ビンテージ×モダンクリエーティブ エストニアのタリン バルト駅周辺

アイスクリーム工場の様子=「La Muu」提供

ベジタリアンにも広く楽しんでもらいたいと、動物性食品を使わないヴィーガンのアイスクリームも多く、クリーミーさを損なわずに作ったというナッツブラウニーやピーナッツバターを始め、ブラッドオレンジやマンゴーなどのシャーベット系はほとんどがヴィーガンの商品です。牛乳の代わりに、オーツミルクやココナッツミルクを使っています。

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ヴィーガンマンゴーシャーベットとルバーブシャーベット

マーケティング担当のビルギットさんは、「人によって味覚や好みは違うので、購入前にぜひいろいろな味をカウンターで試食してみてください」と話していました。

カフェテリアでのみ味わえるフレーバーの例(季節や時期によって異なります)

Vegan Avocado Lime ヴィーガンアボカドライム
Vegan Cherry ヴィーガンチェリー
Japanese Quince Sorbet クサボケシャーベット
Grapefruit-Prosecco Sorbet グレープフルーツプロセッコ(スパークリングワイン)シャーベット
Lemon Sorbet レモンシャーベット
Walnut-Maple Syrup クルミとメープルシロップ
Almond Cardamon アーモンドカルダモン
Eggnog エッグノッグ
Condensed Milk 練乳
Plum-Cinnamon プラムシナモン
Matcha 抹茶
Beer ビール
Rhubarb Sorbet ルバーブシャーベット
Apple Sorbet アップルシャーベット

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出あえたらラッキー!なラトビア産黒ビールValmiermuiža(ヴァルミエルムイジャ
ス)フレーバーのアイス。濃厚でクリーミー。アルコール分は含まれていません

La Muu
https://lamuu.ee/

PROFILE

  • 「あの街の素顔」ライター陣

    こだまゆき、江藤詩文、太田瑞穂、小川フミオ、塩谷陽子、鈴木博美、干川美奈子、山田静、カスプシュイック綾香、カルーシオン真梨亜、シュピッツナーゲル典子、コヤナギユウ、池田陽子、熊山准、藤原かすみ、矢口あやは、五月女菜穂、遠藤成、宮本さやか、小野アムスデン道子、石原有起、高松平蔵、松田朝子、宮﨑健二、井川洋一、草深早希

  • カルーシオン真梨亜

    1985年千葉県生まれ。幼少の頃見ていた海外のホームドラマにあこがれ、バイリンガルな女性になりたい!海外暮らしをしたい!と夢見て単身オーストラリアの大学へ留学。卒業後、英語講師、空港国際線ターミナルでの案内業務を経験。2015年、エストニア人の夫と結婚してタリン在住。好奇心旺盛で、お祭りやイベントが大好き。

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