あの街の素顔

ショパンの心臓に岩塩の礼拝堂! ポーランドで必見の教会5選

今年は日本・ポーランド国交樹立100周年の年。古くからローマ・カトリックを国教とするポーランドは、1万以上あるという教会の多さもさることながら、家の中にマリア像やポーランド出身のローマ法王、故ヨハネ・パウロ2世の写真が何げなく飾ってあるなど、現在もキリスト教的道徳や文化が生活の隅々まで根付いているのが見て取れる。

そんなポーランドには、音楽家フレデリック・ショパンの心臓が眠る教会や岩塩の礼拝堂など、実にバリエーション豊かな教会が見どころのひとつとなっている。首都ワルシャワクラクフ周辺に点在するユニークな教会群を巡ってきた。(文・写真/鈴木博美)

(TOP写真:聖十字架教会内の聖母マリアと幼きイエスのレリーフ)

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1.ショパンの心臓が眠る聖十字架教会

ショパンの心臓に岩塩の礼拝堂! ポーランドで必見の教会5選

ショパンの心臓が眠る聖十字架教会では結婚式もよく行われている

ワルシャワといえば、ポーランドが誇る音楽家フレデリック・ショパンのゆかりの地。ワルシャワ近郊のジェラゾヴァ・ヴォラという村で生まれたショパンは、その後、ワルシャワへ移り住み、20歳でポーランドをあとにするまで過ごした。そのひとつが家族と共によく訪れていた聖十字架教会だ。

1830年、ショパンがウィーンに向かった20歳の時に、ロシアからの独立を目指した反乱、十一月蜂起がポーランドで勃発。ショパンはポーランドに戻ることをあきらめてパリへ移り、その後祖国の地を踏むことなく39歳でこの世を去った。しかしポーランドを深く愛していたショパンは、遺言に心臓(ハート)を祖国へ帰すよう記したという。その願いは姉のルドヴィカによってかなえられ、聖十字架教会の石柱に収められている。

ショパンの心臓に岩塩の礼拝堂! ポーランドで必見の教会5選

ショパンの心臓が埋まっている石柱

ワルシャワ大学の目と鼻の先に建つ聖十字架教会は、現在もショパンファンの訪問が絶えない。

Kościół Świętego Krzyża
住所:Krakowskie Przedmieście 3, Warszawa

2.青い天井に無数の星が輝く聖マリア教会

ショパンの心臓に岩塩の礼拝堂! ポーランドで必見の教会5選

世界遺産に登録されている戦火を免れたクラクフの旧市街。奥でひときわ目をひくのが聖マリア教会

かつてポーランド王国の首都として栄えたクラクフ。世界遺産に登録されている旧市街の街並みは、今も美しい中世の面影がそのまま残っている。そんな旧市街の中央広場にある、14世紀に建て直された聖マリア教会は、空高くそびえる2本の尖塔(せんとう)、レンガ造りのゴシック建築がひときわ目をひく。

ショパンの心臓に岩塩の礼拝堂! ポーランドで必見の教会5選

聖マリア教会の中央に、イエス・キリスト像が天にきらめく無数の星に浮かぶように掲げられている

ショパンの心臓に岩塩の礼拝堂! ポーランドで必見の教会5選

荘厳で神秘的な天井装飾に圧倒される。見上げすぎて首を痛めてしまった

教会内部に入ると、中央祭壇(2019年8月現在修復中)もさることながら、まるで星空のような天井、褐色系の壁面は夕方から夜への移ろいを表現しているかのように美しく、心落ち着く空間を作り出している。

ショパンの心臓に岩塩の礼拝堂! ポーランドで必見の教会5選

警備隊に敬意を表し、今も正時にラッパを吹く

もうひとつの見どころが聖マリア教会から1時間ごとに聞こえる時報のラッパ。これは、その昔、モンゴル軍がポーランドを攻めてきた際に、敵襲を告げた警備兵をたたえ、今も当時と同じようにラッパの演奏がされているものだ。

Bazylika Mariacka
住所:plac Mariacki 5, Kraków
入場料:大人10zl、子供5zl
カメラ・ビデオ撮影:5zl

3.世界遺産第1号の最古級岩塩採掘場にある聖キンガ礼拝堂

ショパンの心臓に岩塩の礼拝堂! ポーランドで必見の教会5選

地下空間に広がる見事な岩塩の礼拝堂

クラクフの南東約15kmに位置する小さな町ヴィエリチカの地下には、1250年ごろから1950年代まで約700年稼働していた世界最古級の岩塩採掘場、ヴィエリチカ岩塩抗がある。深さ300m以上、総延長300km以上もある坑道が、地下8層ほどにわたって広がっている。クラクフ歴史地区とともに1978年に世界遺産第1号に登録された12件の一つだ。坑道は地下約135mまでの、全長約3kmが一般公開されている。

ショパンの心臓に岩塩の礼拝堂! ポーランドで必見の教会5選

祭壇もレリーフも全て岩塩でできている

坑内のハイライトは地下約101mに位置する採掘後の空間を利用して造られた聖キンガ礼拝堂。祭壇も壁のレリーフも全て坑夫たちが岩塩を彫り出したもの。クリスタルシャンデリアの明かりが神秘的な輝きで坑内を包み込んでいる。坑夫たちが手仕事で作ったとは信じがたいほど、精巧かつ芸術的な空間に誰もが圧倒されるだろう。

Kopalnia Soli „Wieliczka”
住所:ul. Daniłowicza 10, Wieliczka
入場料:大人89zl(94zl)、子供・学生69zl(74zl)
※カッコ内4月27日~5月5日、7・8月
営業時間:4月~10月7:30~19:30、11月~3月 8:00~17:00
https://www.wieliczka-saltmine.com

4.伝統の木工技術が使われた聖レオナルド教会

ショパンの心臓に岩塩の礼拝堂! ポーランドで必見の教会5選

世界遺産マウォポルスカ南部の木造聖堂群のひとつ聖レオナルド教会

クラクフから南東へ60kmほどのところのリプニツァ・ムロヴァナ村に建つ聖レオナルド教会は、ゴシック様式の木造教会。マウォポルスカ(小ポーランド)地方南部の農村地帯には、築数百年を超える木造教会が点在している。その中でも優れた六つの教会が世界遺産に登録され、聖レオナルド教会もそのひとつだ。最初の教会建築は1141年に始まり、15世紀から18世紀にかけて、何度か増改築され現在の姿になった。この地方伝統の木工技術で今日まで受け継がれている貴重な建築物でもある。くさび形の厚い板を組み合わせた大きな屋根が特徴。

ショパンの心臓に岩塩の礼拝堂! ポーランドで必見の教会5選

木造の壁に描かれた最後の晩餐(ばんさん)

内部の天井や壁は、最後の審判、最後の晩餐(ばんさん)、キリストの受難などの壁画が残る。質素でありながら荘厳さを併せ持つ教会内を眺めているだけで、聖書の言葉が聞こえてくるようだ。日本語音声ガイドが用意されていて村の入り口にある事務所にて貸し出ししている。

Kościół pw. św. Leonarda
住所:Lipnica Murowana 39

5.壁面も柱も祭壇も全て花柄、ザリピエ村の教会

ショパンの心臓に岩塩の礼拝堂! ポーランドで必見の教会5選

イエスキリスト像も花に囲まれている

ショパンの心臓に岩塩の礼拝堂! ポーランドで必見の教会5選

教会内は花柄で埋め尽くされている

クラクフから車で1時間30分ほどのところにある、花柄のペイントが施された民家が点在することで人気急上昇のザリピエ村。そんなザリピエにある聖ヨゼフ教会は、外観は何の変哲もない村の教会に見えるが、内部は壁面も柱も祭壇も全て花柄。まるでおとぎ話の世界のような雰囲気は訪れる価値あり。

pw. Św. Józefa Oblubieńca NMP w Zalipie
住所:Zalipie 160

取材協力
ポーランド政府観光局
https://www.poland.travel/ja
LOTポーランド航空
https://www.lot.com/jp/ja/

LOTポーランド航空は日本–ワルシャワ間をボーイング787ドリームライナーで運航中。プレミアムエコノミークラスは、お手頃な価格でシートはエコノミーの1.5倍の広さ。高水準の機内サービスを約束する新感覚のクラスを体験したい。

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PROFILE

  • 「あの街の素顔」ライター陣

    こだまゆき、江藤詩文、太田瑞穂、小川フミオ、塩谷陽子、鈴木博美、干川美奈子、山田静、カスプシュイック綾香、カルーシオン真梨亜、シュピッツナーゲル典子、コヤナギユウ、池田陽子、熊山准、藤原かすみ、矢口あやは、五月女菜穂、遠藤成、宮本さやか、小野アムスデン道子、石原有起、松田朝子、宮﨑健二、井川洋一

  • 鈴木博美

    旅行業界で15年間の勤務を経てフリーの旅行家に。旅を通じて食や文化、風土を執筆。日本航空機内誌のほか、新聞雑誌等に海外各地の旅の記事を寄稿。著書に一人旅に役立つ電子書籍「OL一人旅レシピ」インド編、カンボジア・ベトナム編、エジプト編、世界中のおいしい料理をおうちで作る「いつもの食材で作る世界の料理レシピ」。ブログ「空想地球旅行」で旅のあれこれを発信中。

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