気象予報士が紹介!  台風の秋に旅行で失敗しない三つのポイント

秋は「台風」「竜巻」「雷雨」が発生しやすい季節です。トラベルがトラブルにならないよう、未来の先読み情報をしっかりキャッチして旅に出たいもの。「私たち人間は天候を変えることはできませんが、天候にあわせて行動を変えることができます」と語る旅好きの気象予報士・荒木真理子さんが、特に秋の旅行で失敗しないための工夫を紹介します。(文:気象予報士・荒木真理子)

1:行き先と日程を決めたら天気の「信頼度」をチェック

気象庁の自信度がわかる

気象庁の週間予報には「信頼度」というものがあります。A・B・Cとありますが、いわゆる予報の「自信度」のようなものです。下の図で7日は「A」となっているので、「くもり時々晴れ」は確度が高い予報です(過去の検証結果では平均88%適中)。

一方、8日や9日は「C」で、確度がやや低い予報。「C」の日は、過去の検証によれば、適中率は平均58%まで下がります。

気象予報士が紹介!  台風の秋に旅行で失敗しない三つのポイント

気象庁HPより

たとえば山梨県で7・8・9日の3日間で旅をするとしましょう。美術館、遊園地、ショッピング、湖、牧場、ぶどう狩り、ワイン工場といった予定を考えている場合、私なら、7日のうちに遊園地と牧場、湖に行き、8日にショッピングとワイン工場、そして、9日、雨がやんだタイミングで、屋外も室内も見どころがある美術館やぶどう狩りに行く予定を組みます。「一時雨」の日は、雨が連続して降っている時間は「6時間未満」という見立てですから、雨のやんでいる時間は十分あると考えられます。

なお、この場合、信頼度「C」の8~9日は、予報が外れて雨が降らない可能性もあるため、もし、8日に雨が降らなかったら、予定を入れ替えて、先に美術館とぶどう狩りに行くのがいいでしょう。

雨マークの日や信頼度「C」の日は、予定をガッチリ組まずに、柔軟に変更できるようにしておくことがおすすめです。

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2:天気を味方につけて、秋の旬の味覚も、絶景も楽しむ!

フルーツ狩りツアー、申し込み前に思い出そう!

実りの秋。なしやぶどう、りんごなどフルーツ狩りの最盛期です。「毎年、決まってシルバーウィークに行きます」という声も聞こえてきますが、申し込む前に、ちょっと待った! 夏の天候を思い出してください。

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写真提供:荒木真理子

今年は多くのところで、7月の長雨・日照不足で、例年より生育が遅れている傾向がみられます。たとえば、山梨のぶどう。シャインマスカットや巨峰、ピオーネの旬は、8月上旬~9月下旬ですが、今年は、収穫期が1週間~10日ほど後ろにずれ込んでいる農園もあります。食べたい品種がある場合は、申し込み前に確認するようにしましょう。

美しい紅葉のカギは、台風・秋の冷え込み

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Jirobkk/Getty Images

秋が深まるにつれ、山の頂から裾野、そして街を赤や黄色で彩る木々。紅葉狩りスポットを決めるときは、まず台風が通っていなかったかを確認。

紅葉が始まるころ、台風が通過すると、紅葉を待たず早くに葉を落としてしまうか、葉が痛んできれいに染まらず、茶色になる傾向があります。

また、去年は台風24号の海水を含んだ風が吹きつける“塩害”で、都心の街路樹含め、関東南部では紅葉せずに、葉が枯れる現象が相次ぎました。今年も影響が心配です。

なお、紅葉の色づきスタートは、最低気温8℃以下が目安。残暑が厳しい今年は、少し遅れるかもしれません。

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去年11月の都心のイチョウの木。まったく黄葉しないまま、12月には葉が枯れていきました。 写真提供:荒木真理子

気温差で日程を決めれば、幻想的な雲海も

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雲海に浮かび上がる竹田城跡=2016年11月5日、兵庫県朝来市、内田光撮影/朝日新聞社

“天空の城”の異名を持つ兵庫県の竹田城や福井県の越前大野城、埼玉県・秩父の「美の山公園」など、眼下に雲海が広がる幻想的な風景を見るなら、10~12月上旬がチャンス!

穏やかに晴れ、地表の熱が上空に逃げて、ぐっと冷え込む放射冷却現象が起こる朝は、霧が立ちのぼります。3日に1回のペースで天気が変わるこの時期は、連続3日の候補日があればチャンスが高まります。

3日間現地に赴く必要はありません。候補日を絞るポイントは週間予報の気温。前日の最高気温から翌日の最低気温の落差が大きい晴れの朝を選択しましょう。前日に雨が降っていればいっそう出会える確率が上がります。

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気象庁HPより

美しい雲はシャッターチャンス!

気象の世界では“秋は雲の展覧会”と呼ばれるほど、いろいろな種類の雲が空に浮かぶ時期です。珍しい雲に出会えたら写真に収めたいところ。

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彩雲 写真提供:瀬戸豊彦

こちら虹色に輝くのは「彩雲(さいうん)」。昔から“吉雲”、“瑞雲”などと呼ばれて、良いことの兆しといわれてきました。上空に薄い雲が出ている日の夕方、空を見上げてみてください! 全国どこでもチャンスがあります。

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羊雲 写真提供:瀬戸豊彦

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3:台風・竜巻 秋旅の大敵攻略法

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台風15号前日 写真提供:瀬戸豊彦

9月は台風災害の季節

立春から数えて、二百十日や二百二十日は昔から台風の厄日とされてきました。今年はお盆休みに台風10号が直撃、そして9月第1週には立て続けに、13号、14号、15号と三つの台風が発生。強い台風15号が関東に上陸したのは記憶に新しいところ。

9月は、本州へ接近する台風が増える1年でもっとも危険な時期。過去、大きな災害をもたらした台風の多くが9月にやってきています。9月の旅行は、飛行機や新幹線等のチケットは変更がきく方法で購入することがおすすめ。さらに、沖縄など空路しか移動手段がない場合は旅程に予備日を設けておきたいところです。

台風の発生をいち早く知るには?

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ヨーロッパ中期予報センターHPより

台風15号が過ぎ去ったばかりですが、南の海上にはまだ台風の卵ともいえる熱帯低気圧の雲があります。台風をいち早く見つけたい方は、ちょっと専門的になりますが、ヨーロッパ中期予報センターのHPをのぞいてみてください。「High resolution forecast・Mean sea level pressure and wind speed at 850 hPa」(高解像度予報)に入って、「Area」で「Eastern Asia」(東アジア)を選択すると確認することができます。

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ヨーロッパ中期予報センターHPより

ヨーロッパ中期予報センターHP:www.ecmwf.int/en/forecasts/charts/catalogue

日本の南に同心円が見つかったら要注意です。経験的に、ヨーロッパ中期予報センターの予測は信頼度が高く、気象庁も、このヨーロッパはじめ各国の予想を加味して、台風進路図を作成しています。台風が実際に発生したら、気象庁のHPで進路を確認するようにしてください。

実は竜巻も9月が最も多い

こちらは気象庁がまとめた月別の竜巻発生数です。

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気象庁HPより

年間でもっとも竜巻など突風被害が起こりやすいのが9~10月。竜巻は、発達した積乱雲の下で起こり、雷雨を伴うことがほとんどです。もくもく空高くソフトクリームのように成長し、上が真っ白、下が暗い雲を見つけたら要注意。気象庁HPなどの「雨雲レーダー」で位置を確認しましょう。

雷がピカッと光ってからゴロゴロっと鳴るまで3秒以内なら1キロ以下の距離まで積乱雲が迫っていますから、直ちに予定を変更して、建物に入りましょう。

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2013年9月2日、池袋から見た積乱雲。雲の下にある、埼玉県越谷市などで竜巻が発生していた 写真提供:瀬戸豊彦

また、川の上流側に発達した雨雲がある場合、頭上で降っていなくても、川が増水するおそれがありますから、キャンプやバーベキューは中止してください。

なお、ゲリラ豪雨のタイミングで高速道路にのるのは避けたいところ。ワイパーがきかなくなるほどの雨で危険なうえ、見通しの悪化で各車の速度が落ち、渋滞にはまることが多くあります。

それでも当日雨が降ってしまったら……

晴耕雨読を推奨する私は、本降りの雨の日は屋内で過ごします。旅程のなかでは、雨でも楽しめる屋内施設を探しておきましょう。

ただ、降ったりやんだりのしとしと弱い秋雨なら、逆手にとって、普段混雑する場所に出かけるのもいいでしょう。雨の日は行動パターンが変わる動物もいるということで、動物園もおもしろいかもしれません。

秋は、高気圧と低気圧が交互にやってきて、2~3日の周期で天気が変わります。3日間あれば、1日は雨が降らないことも多いので、3日連続雨予報でもあきらめないでください。

気をつけたい雲を下記のフォトギャラリーにまとめました。
※写真をクリックすると、詳しくご覧いただけます。

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テレビとネット、両方の天気予報を確認!

最近は、スマホで簡単に、自分の知りたい場所の天気予報をピンポイントで得られるようになりました。一方で、予報が変わったことやすぐ隣町に迫る災害の危険に気づかないケースが多くなります。

この時代だからこそ、広範囲の状況を確認できるテレビの天気予報で、普段から習慣的に情報を受け取ってほしいです。予報の変わりやすさや災害の危険が高い場所がインプットされることでしょう。

技術の発展が目覚ましい現代、スーパーコンピューターがはじき出す天気予測は、圧倒的に精度が高まりました。ただ、その計算値が本当に正しいのかを判断するのは、肌で感じることのできる人間です。

毎日数台のコンピューターとにらめっこしていても、私は、必ず、通勤は公園を歩き、昼下がりにはいったん外に出て、風を感じるようにしています。

果たして旅当日の天気予報が当たるのか、レジャーを楽しみながらも、空を見上げ、風を受けることを忘れないでください。天気と仲良くなって、ぜひ最高の旅を。

荒木さんの旅行中の必需品5点

①晴雨兼用折りたたみ傘 ※降水確率30%以上の日必須
②パーカー ※フードつきが便利
③薄手ストール ※防寒、紫外線対策に
④特大ビニール製エコバッグ ※急な雨のときバッグを丸ごとIN
⑤モバイルバッテリー ※不測の事態にSOSを発信できるように

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荒木 真理子(あらき まりこ)

宮城テレビ放送にアナウンサーとして入社した2001年、気象予報士資格を取得。2005年からテレビ朝日の気象予報士として、『ANNスーパーJチャンネル』『報道ステーション』などで気象キャスターとして活躍。現在、NHKにて、気象解析・番組演出を担当するほか気象キャスターの指導・育成をおこなう。
近著に、『10秒で伝わる話し方』(日本実業出版社/税込み1512円)。


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