太公望のわくわく 釣ってきました

マダイ狙いでマハタやヒラメ 千葉県いすみ市・大原港

西へ東へ、海へ川へと旅して釣りする太公望たちの奮闘記です。魚との知恵比べ、釣った魚で一杯……。目的は人それぞれながら、闘いの後の心地よい疲労と旅情は格別。今回は、朝日新聞の西田健作記者が、千葉県は外房の大原港からマダイを狙いに出かけました。釣友が高級魚を次々に釣り上げる中、期待はずれの釣果が続いた筆者は……。

タイの大小乱舞フィーバーに突撃

「爆釣」は、釣り人が即座に反応してしまう、極めて吸引力が強い言葉です。どこかで魚が釣れ盛っているのではないか。釣り人は日々、なじみの船宿のウェブサイトを巡りながら、その報告を探しているのです。

8月末の金曜夜。千葉県いすみ市・大原港の船宿「つる丸」さんの「若船長釣果速報」に「大鯛中鯛乱舞フィーバーでした♪」という書き込みがありました。続いて「明日明後日、激しく募集中」の文字も。フィーバーはいつまで続くか分からない。これは、一刻も早く行くしかない!!

募集の船は午後船。朝の電車に乗れば、午後船には十分に間に合います。しっかり睡眠時間を確保できるのも高ポイント。都心から電車に揺られて1時間半ほど。土曜日の午前10時30分過ぎに最寄りのJR大原駅に着くと、若おかみさんが車で迎えに来てくれました。

急募に応じたのは、私を含めて5人。「フィーバー」を見つけた釣友の松村北斗さんも一緒です。若船長さんによると、イワシの群れが沖合に入ってきていて、それを狙うマダイやマハタ、ヒラメが釣れるとのこと。さて、思惑通りにいくかどうか。

エサになるイワシの群れがいない……

マダイ狙いでマハタやヒラメ 千葉県いすみ市・大原港

外房の夏空に秋の雲がまじる

船は正午過ぎに港を出ました。外房の空を見上げると、既に秋の気配。40分ほどで前日の「爆釣」ポイントに到着しました。でも、魚群探知機を見ている若船長さんの顔色がさえません。「イワシの群れがいない……」

実は、松村さんと「つる丸」に乗ったのは2回目。前回は3月で、産卵のために浅場にやってきた乗っ込みの大ダイを狙ったのですが、2人とも1匹も釣れずに終わりました。「爆釣」報告の翌日は一転して釣れない、というのはよくあること。今回もまずいかも。

マダイ狙いでマハタやヒラメ 千葉県いすみ市・大原港

「一つテンヤ」の仕掛け。エビのおなかから針先を出す

マダイは、「タイラバ」や「ジギング」など様々な釣り方で狙えますが、私は、大原から広まった「一つテンヤ」釣法で挑むことにしました。この日の水深は30メートルほど。20~40グラムほどの軽いおもりを使い、テンヤ針を刺した冷凍エビをゆらゆらと海底まで沈めます。エビが底についたら、竿(さお)先をゆっくりと持ち上げてしばし止め、またゆっくりと底まで降ろす。その繰り返し。上げて~、下げて~、上げて~、下げて~。海底から2メートルぐらいの幅でエビを行き来させて、底近くにいるマダイなどの魚が食いつくのを待ちます。

釣友はマハタをゲットしたのに

釣り開始からほどなくして、疑似餌を使う「タイラバ」でマダイを狙っていた松村さんの竿が曲がりました。マダイだけでなくマハタも狙えるように、マハタが好む派手にヒラヒラと動く仕掛けに替えたとのこと。狙いが当たって45センチの良型をゲット。これはマダイ以上の高級魚です。

マダイ狙いでマハタやヒラメ 千葉県いすみ市・大原港

釣友の松村北斗さんがさっそく良型のマハタをキャッチ

続いて、右舷(うげん)の釣り人も別の仕掛けでマハタを釣り上げました。でも、一つテンヤの私にはさっぱりアタリがありません。ようやく来た、と思ったら、イトヒキハゼ。

マダイ狙いでマハタやヒラメ 千葉県いすみ市・大原港

筆者最初の釣果はイトヒキハゼ

「今度こそマダイか!」と思ったら、チダイ(ハナダイ)……。

マダイ狙いでマハタやヒラメ 千葉県いすみ市・大原港

本命のマダイかと思いきや、チダイ

釣りの時間は刻々と過ぎ、日が徐々に沈んでいきます。暗くなったら釣りも終わり。ま、まずい。ようやく来た!とアタリに合わせたら、良型のショウサイフグでした。猛毒があり、免許が無いとさばけないので、これはリリース。前回のリベンジに来たつもりが、これでは返り討ちに遭ったようなものか……。

マダイ狙いでマハタやヒラメ 千葉県いすみ市・大原港

いいサイズのショウサイフグ。でも毒があるのでリリース

最後の最後に大きなアタリが

ところが。だいぶ暗くなってくると、突然、イワシの群れが現れました。今まで、どこに隠れていたのか。魚の存在を告げる魚探のアラームは鳴りっぱなしに。2枚目のヒラメを釣り上げた松村さんに続き、ついに一つテンヤの私にも大きなアタリがありました!

マダイ狙いでマハタやヒラメ 千葉県いすみ市・大原港

松村さんがヒラメをゲット。しかも2枚目

マダイ狙いでマハタやヒラメ 千葉県いすみ市・大原港

最後の最後で筆者の竿がしなる

「この魚を逃してなるものか」。しっかりと合わせを入れると、竿が大きくしなりました。なかなかの重量感。ついにマダイかも。竿の曲がりを見た若船長さんが、タモを持って駆け寄ってくれました。糸を巻くリールのハンドルが重い。でも、大ダイを期待する一方で、マダイ特有の突っ込むような強い引きがありません。

マダイ狙いでマハタやヒラメ 千葉県いすみ市・大原港

マダイではなくヒラメ

水面に姿を現したのは、松村さんと同じくヒラメでした。でも、これはこれで高級魚。貴重な1匹がタモに収まり、ほっと一息。後で計ると45センチほど。大物とはいえませんが、最後の最後でようやく納得の1匹を手にすることができました。

マダイ狙いでマハタやヒラメ 千葉県いすみ市・大原港

でも、最後に釣れてほっと一息

持ち帰ったヒラメは、日曜日に薄造りに。夏のヒラメは味が落ちるといいますが、食品用の脱水シート(ピチットシート)で1時間ほど水分を抜くと、味が凝縮されて納得のおいしさになりました。カボスの果汁を垂らし、岩塩をつけると、ヒラメの繊細なうまみが増幅されて、タイが釣れなかったことを忘れるほど。行って良かった!

マダイ狙いでマハタやヒラメ 千葉県いすみ市・大原港

ヒラメは薄造りのお刺し身に

「爆釣」にはめったに出あえない。だからこそ、釣り人は「その時」を求めて船宿に通い続けるのです。

 
■つる丸
http://www.turumarutairyou.com/

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PROFILE

  • 釣り大好きライター陣

    安田明彦、猪俣博史、西田健作、石田知之、木村俊一

  • 西田健作

    朝日新聞記者
    1971年、神奈川県茅ケ崎市生まれ。15年ほど前に千葉県浦安市に引っ越し、ディズニーランドのすぐ近くで魚が釣れることを知り、釣りにはまる。朝日新聞社では文化くらし報道部で美術担当、映画担当などを務め、現在は同部次長(デスク)。外に出られない平日のモヤモヤから、ますます週末の釣りにのめり込んでいる。

グロテスクな私……「照りゴチ」です マダコ爆湧きの東京湾で

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