あの街の素顔

九十九島、バーガー…… 軍港の街佐世保の絶景とグルメ

秋になり、旅を楽しむには絶好の季節になりましたね。長崎県佐世保市を旅してきました。1889年に佐世保鎮守府が開庁。以来、戦前は海軍、戦後は米軍が基地を構えてきた、軍港の街です。しかし、それだけではありませんよ。風光明媚(めいび)な観光地もあれば、ご当地グルメも盛りだくさん。夜の街の表情も個性的です。さっそくご案内しましょう。
(文・写真、宮﨑健二)

九十九島? いえ、もっと多いのです

佐世保市の西岸にある島々を見てみましょう。名勝、九十九島(くじゅうくしま)です。

九十九島、バーガー…… 軍港の街佐世保の絶景とグルメ

西海国立公園の九十九島。見通しが良い日には五島列島も見えるそうです

眼下を一望できる展海峰展望台に着くと、一緒に向かっていた周囲の人たちから一斉に「おおっ!」という声がわき起こりました。海に浮かぶ島、島、島……。名称は九十九島ですが、実際には208島あるそうです。そのうち有人島は4島。その中の黒島には黒島天主堂があり、黒島の集落は世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つです。

この九十九島をめぐる遊覧船も運航されていますよ。

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色鮮やかな遊覧船。海賊の船みたいですね

行き交う船を見下ろす弓張岳展望台

続いては佐世保湾が見渡せる弓張岳(ゆみはりだけ)展望台からの眺めです。

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佐世保湾では米軍の艦艇などさまざまな船が行き交っています

佐世保港には米軍の施設などがあります。ベトナム戦争が続いていた1968年には原子力空母エンタープライズが寄港。反対する学生たちが全国から集まり、機動隊と激しく衝突しました。学生運動が盛んだった頃の戦後史のひとこまです。

アーケードで佐世保バーガー

では、市の中心部にまいりましょう。佐世保駅近くの「さるくシティ4○3(よんまるさん)アーケード」です。

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広々とした「さるくシティ4○3アーケード」。ゆったり歩けます

長さは実に約970メートル。ガイドの方の話では、「直線で連続したアーケードとしては日本一」とのことでした。

ところで、上の写真の右手に佐世保バーガーの看板を見つけて、おなかがグウと鳴ってしまった方がいるのではないですか。よござんす。この代表的な地元グルメで腹ごしらえとまいりましょう。佐世保バーガーは戦後進駐してきた米海軍の関係者がハンバーガーのレシピを教えたのがはじまりとされています。アーケードにある「Big Man」という店に入りました。注文したのはスペシャルバーガー。

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スペシャルバーガー。手で持つのが大変です

でかっ! ベーコン、エッグ、チーズがたっぷり入っています。口を大きく開けてガブリ! すると、ふだんは温水洋一的風貌(ふうぼう)の私は一気に彦摩呂化しました。「この大きさ、うまさ、そして米国との縁。これはまるでハンバーガー界の八村塁選手や~」。単品で800円、ポテトと飲み物とのセットで1300円。値段もスペシャルです。

地元には酒を飲んだ後の締めに佐世保バーガーを食べる人がいるのだとか。のどが渇いてまたビールを飲みたくなるのでは、と心配になりますね。

ハーブサバと動くイカにかぶりつく

ご当地グルメをさらに紹介しましょう。「ささいずみ」というお店で一緒に行った人たちと食べた、ハーブサバの刺身とイカの活(い)き造りです。

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ハーブサバの刺し身。ほっぺたが落ちそう

ハーブサバとは、えさにハーブを混ぜて養殖したサバのことです。サバ特有の臭みがなく、しかも年中食べられるのだとか。口に運ぶと、なんともやわらかくてサーモンのよう。たしかに臭みがありません。

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イカの活き造り。ピクピク動いていました

イカの活き造りは半透明で、口に入れると独特の甘みが広がります。いつもの温水洋一的たたずまいに戻っていた私は、今度は石塚英彦化しました。「まいう~」

外国人バーへ潜入してみた

夜の街も魅力的ですよ。佐世保駅近くにあるカトリック三浦町教会が見えました。ライトアップされ、色鮮やかなステンドグラスがとても優雅です。

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佐世保の夜を彩るカトリック三浦町教会。見ていると心がなごみます

ナイトツアーがあると聞いて、さっそく参加しました。ガイドさんに連れられてぶらぶら歩きます。佐世保の夜の名物スポットのひとつに外国人バーがあります。米軍基地の近くにできたバーに米兵が集まりだしたことからこう呼ばれるように。ガイドの方によると、定義は「オーナー、スタッフは日本人で、主に外国人を相手にしているバー」だそうです。2軒はしごしました。

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満員の外国人バー。BGMにロックが流れていました

いずれも店内は大にぎわい。ジャックやベティ、トムやジェリー、マイケルやジャネットらとわいわい語りあおうと張り切っていたのですが、この日は日本人客がほとんど。でも、外国人の方も1人、カウンターで飲んでいましたよ。
こうした外国人バーの店内の天井や壁には、お客が来店記念に残した1ドル紙幣がびっしり貼られています。

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もう一軒の店内に貼られた1ドル紙幣。外国人バーならではの光景です

紙幣1枚1枚に名前やメッセージが英語で書かれています。かつてはベトナムなど戦地に赴く米兵が複雑な思いで書いていたこともあったようです。

佐世保の街をご案内してきましたが、いかがでしたか。私は三たび変身。バーの片隅でハイネケンを飲みほして、すっかり外国人化しました。

「ソレデハ、コンカイハ、コノヘンデ」

PROFILE

  • 「あの街の素顔」ライター陣

    こだまゆき、江藤詩文、太田瑞穂、小川フミオ、塩谷陽子、鈴木博美、干川美奈子、山田静、カスプシュイック綾香、カルーシオン真梨亜、シュピッツナーゲル典子、コヤナギユウ、池田陽子、熊山准、藤原かすみ、矢口あやは、五月女菜穂、遠藤成、宮本さやか、小野アムスデン道子、石原有起、高松平蔵、松田朝子、宮﨑健二、井川洋一、草深早希

  • 宮﨑健二

    旅ライター。1958年、福岡市生まれ。朝日新聞社入社後、主に学芸部、文化部で記者として働き、2016年に退社。その後はアウェイでのサッカー観戦と温泉の旅に明け暮れる。

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