太公望のわくわく 釣ってきました

タチウオ指5本メートル超え入れ食いに歓喜 大阪湾

西へ東へ、海へ川へと旅して釣りする太公望たちの奮闘記です。魚との知恵比べ、釣った魚で一杯……。目的は人それぞれながら、闘いの後の心地よい疲労と旅情は格別。今回は、釣りライターの安田明彦さんが、大阪湾のタチウオ釣りに挑みます。最初はいま一つだった釣果が、あることをきっかけに入れ食い状態に変わったのです。

今年こそは大物数釣りを狙いたい

釣りって、本当に楽しい趣味です。一度として同じ状況にならないからです。潮が違えば、同じ魚でも食いつきが変わります。だから楽しいのです。

大阪湾のタチウオ船釣りのシーズンがやってきました。
昨シーズンは、小さいけれど数がいっぱい釣れて、それはそれなりに楽しいのですが、釣り人は欲があります。数が釣れると、もっと大きいのが欲しい、となるんですよねー。もともと欲張りな私は、大きいサイズが数釣れたら最高に楽しいので、常に大型狙いです。

今回は、関西国際空港のおひざ元である、大阪府泉佐野市の食品コンビナートから出船する海新丸でタチウオを狙ってみました。

タチウオ指5本メートル超え入れ食いに歓喜 大阪湾

船を係留してある台船の中に受付が。おかみさんはタチウオ釣りの名手です

大物で知られるポイント「アカマツ」へ

午前6時出船。坂本船長は、和歌山方面へ船を進めました。アカマツというポイントを攻めるというのです。前日に神戸沖へ出た時は、上層と下層で潮の流れ方が違う「二枚潮」だったそうで、船首と船尾で仕掛けが絡む「お祭り」が起きるほどだったとか。アカマツならそれほどでもないだろうとの判断です。

タチウオ指5本メートル超え入れ食いに歓喜 大阪湾

北海道仕様の海新丸は波に強いのが特徴

この船は、大物を釣ると、無料乗船券がもらえるのです。もらったことはないですが。タチウオは体長130センチ以上だともらえます。でも、私がこれまで大阪湾で130センチオーバーのタチウオを釣ったのは、たったの1回。尾びれの先まで131センチでした。だいたい、大阪湾でドラゴンと呼ばれる120センチのタチウオさえ、数年に1尾仕留められたら良い方じゃないでしょうか。

タチウオ指5本メートル超え入れ食いに歓喜 大阪湾

受付にも船内にも大物賞の張り紙があります

でも、アカマツは大型がよく出るところで知られたポイントです。無料乗船券に一歩近づいた気分です。まだ釣ってはいないけど、夢は大きく……、ですよね。

潮の向きがいきなり厳しい

タチウオ指5本メートル超え入れ食いに歓喜 大阪湾

ポイントには船が集まる傾向があるタチウオ釣り

小一時間でポイント到着。水深は70メートルをちょっと超える感じです。下げ潮が流れると、左舷(さげん)に座った私は有利です。潮に逆らっている魚に船が流れていくからなのですが、この日は、反対方向に潮が流れます。朝一の食いの良い時間帯なのに、ちょっと厳しい展開となりました。あとは潮が流れを変えてからどう変化するかです。

エサとなるイワシをタチウオテンヤに細い針金でくくりつけます。まずは、頭無しから。内臓のにおいでタチウオを誘う作戦です。

タチウオ指5本メートル超え入れ食いに歓喜 大阪湾

タチウオのテンヤにエサのイワシをセット。頭をつけたままと、頭をカットしたものと2タイプ準備

底から10メートルほど巻き上げたところで、コツンとアタリ。よしよし。だいたい、最初のアタリをものにできるかどうかで、その日の運勢は決まるような感じがします。

誘い上げては、ゆっくりタチウオテンヤを落とします。またまたコツン! その都度合わせますが、ハリ乗りしません。小さいサイズが、エサにじゃれてきているのかも。すると、船尾の釣り人の電動リールの巻き上げ音が高くなり、80センチクラスを取り込みました。

タチウオ指5本メートル超え入れ食いに歓喜 大阪湾

出船前にたっぷりの氷をクーラーに入れておく。タチウオの鮮度を保つには必需品

私も波に乗るには、このアタリをものにすることです。ですが、エサを追うのをあきらめたのか、反応が無くなりました。尻尾をかみ切られているとアタリが無くなるので、確認のため巻き上げると、尻尾は健在。しかし、腹には無数の切り傷跡が残っています。タチウオの仕業ですが、小型のようです。船尾の人は2尾目を取り込みます。

私は3度目の正直で、ようやく小さなアタリを合わせられることができました。タチウオのテンヤ釣りでは、ハリを食わせるというよりは、エサを食いに来たタチウオをシャープな合わせで引っ掛ける、というのが基本なのです。やれやれ。タイミングが合わないと、その日一日釣れずに「仲間外れ」になることもあるのが、タチウオ釣りの面白さでもあります。

タチウオ指5本メートル超え入れ食いに歓喜 大阪湾

ちょっとましなサイズを釣り上げた筆者。今シーズンは比較的良型が中心

潮が止まった。そして……

潮が止まり、タチウオの食いも止まりました。このあと下げ潮が流れ出すと、バンバンアタリが出てくるはずです。130センチ以上が釣れてくれれば万々歳なのですが。やがて潮が流れ始めるとアタリが出だし、食いもよくなって、1投1尾が何回か続きます。

タチウオ指5本メートル超え入れ食いに歓喜 大阪湾

タチウオの幅を指の太さ、フィンガーの頭文字Fで示した便利なシールも。このタチウオは指4.5本サイズ

指5本サイズの1メートル級も交じってきます。あとは、130センチオーバーが掛かるかどうか。強烈な引きは何度かありましたが、竿(さお)でその強烈な引きをためているうちにバレて(逃げて)いくのは、130センチ以上の大物なんでしょうか?

20尾を超え、あとひと流しで終わりにしますのアナウンスが。私は最後に2尾追加し、22尾の2位。トップの船尾の人は24尾でした。

ウロコのないタチウオは料理に重宝

数が釣れた時にするのが南蛮漬けです。タチウオを3枚におろし、塩、こしょうで下味をつけ、片栗粉をまぶして揚げます。南蛮酢に漬ければおかずにも酒のアテにもなります。

タチウオ指5本メートル超え入れ食いに歓喜 大阪湾

タチウオの南蛮漬け。身だけなので食べやすい

タチウオはタタキにし、日を置いて、天ぷらにもしました。この天ぷらがまたウマイ。外側は衣のカリッとした食感なのに、中はタチウオの身がほどける軟らかさです。塩を振って食べれば最高です。タチウオはウロコの無い魚なので、下処理も簡単なら、料理のレパートリーも広く、たいへん重宝します。

タチウオ指5本メートル超え入れ食いに歓喜 大阪湾

タチウオの天ぷら。今回は、タチウオの骨を骨せんべいにしてぐるりと巻き、その中に天ぷらを盛ってみた

無料乗船券の夢は次回に持ち越しとなりましたが。久々の大漁に大満足!

■海新丸
http://www2.odn.ne.jp/kaisinmaru/main.html

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PROFILE

  • 釣り大好きライター陣

    安田明彦、猪俣博史、西田健作、石田知之、木村俊一

  • 安田明彦

    釣りライター
    1959年大阪市生まれ。父親の影響で子供のときから釣りが大好き。大学卒業後、釣り週刊誌の記者、テレビの釣り番組解説者などを務め、「やっさん」の愛称で親しまれる。あらゆる釣りを経験するが、近年は釣って楽しく、食べてもおいしい魚だけを求めて行くことが多い。釣り好き、魚好きが高じて、大阪市内で居酒屋「旬魚旬菜 つり宿」を営んでいる。

マダイ狙いでマハタやヒラメ 千葉県いすみ市・大原港

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