楽園ビーチ探訪

世界遺産・スリランカの城塞都市、ゴールの砦と旧市街を歩く

今回訪れたのは、バンダラナイケ国際空港から車で南下すること約3時間、スリランカ南西海岸の先端部に位置する南部最大の都市、ゴール。旧市街とその城壁は、世界文化遺産「ゴールの旧市街とその要塞(ようさい)郡」として知られています。

連載「楽園ビーチ探訪」は、リゾートやカルチャー、エコなどを切り口に、国内外の海にフォーカスした読み物や情報を発信するビーチライターの古関千恵子さんが訪れた、世界各地の美しいビーチや、海のある街や島を紹介いたします。

繰り返された支配の歴史

世界遺産・スリランカの城塞都市、ゴールの砦と旧市街を歩く

かつて敵の攻撃から街を守るために造られた要塞は、今では子供たちの遊び場に

古くから港町として栄えていたゴールは、14世紀初頭のモロッコの大冒険家イブン・バトゥータの著書にもその名が記され、中東やアジアの各地から商人が訪れていました。ヨーロッパ人による支配がはじまったのは16世紀末のことです。

1598年、ポルトガルが町を支配下におき、最初の砦(とりで)を築きました。続いて1640頃年、ポルトガルを降ろし覇権を握ったのがオランダ。ポルトガルが造った砦を拡張し、現存の原型となる、牢固な城壁に囲まれた城塞(じょうさい)都市となりました。やがてイギリスがオランダから支配権を奪いますが、要塞は破壊されることなくそのまま引き継がれました。

旧市街は海にちょこんと突き出た半島部分で、ゴールの街全体からすればごく一部。南北約700メートル、東西は最長部分で約600メートルと、歩いて回るのにちょうどいいサイズです。

コロニアルな雰囲気残る町並み

北側のメインゲートから旧市街に入ると、まるでこの町が歩んできた歴史がそのまま保存されているようです。

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旧市街はほぼ碁盤の目のように道が整備されています

碁盤の目のように道が走る要塞の内部は、色あせた瓦の家並みやコロニアル調の白亜の建物が立ち並び、細い路地をトゥクトゥクが行き交っています。旅行者に交じってすれ違うのは、サリー姿の女性やサロンを巻いた男性。モスクもあるので、南アジアや中東のテイストも感じます。あらゆる文化が、ゴールという町で共存しています。

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歴史的な建物の並ぶ道をトゥクトゥクがすり抜けていきます

そして、かつての統治時代に使われていた建物がそのまま現役で使われていることに驚かされます。オランダ改革派教会イギリス国教会のオールセインツ教会は、祈りを捧げに訪れている地元の人も見かけます。旧オランダ軍病院は、今や日本食レストランやカフェ、ジュエリーショップなどが入ったおしゃれな複合施設として活躍しています。

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イギリスのオールセインツ教会。この近くにオランダ改革派教会もあります。ヨーロッパの支配下にあったことから、キリスト教の教会が多いのだとか

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旧オランダ軍病院は、今はおしゃれなスポットに

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教会など歴史的な建物が集まっているエリア

国際的な名門ホテル、アマンの一員である「アマンガラ」も300年以上の歴史をもつ建物です。オランダ軍の司令官、英国軍の宿舎を経て、1860年代にスリランカ最古のホテルである「ニューオリエンタルホテル」がオープン。2005年に全面改装を経て、アマンリゾートとしてよみがえりました。

90歳までこのホテルを切り盛りした「ニューオリエンタルホテル」最後のオーナー、ネスタさんのゴーストが出るとのウワサもあり、それを楽しみに滞在する人もいるそうです。

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レストランだけでも立ち寄れる「アマンガラ」。ずらりと皿が並ぶカレーが美味

砦の上を歩きながら町の移り変わりを思う

このように16~18世紀の建造物がゴールに残されているのは、のちに台頭してきたコロンボに中心都市としての役割を譲ったことが功を奏したのだとか。

海沿いの要塞の上を歩きながら、イギリス統治時代の灯台や時計台などを見上げていると、どこかタイムトリップしたような気持ちになります。それでいて、沖に目をやると停泊している巨大なタンカーが視界に入り、急に現実にもどされることも。

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花崗岩(かこうがん)を積み上げた砦の上を歩くことができます。片側は海の眺めが広がります

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要塞の外側の海。透明度はあまり期待できません

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今も時を刻み続けるゴールのシンボル、時計台

城壁の端近く、「ゴール・インターナショナル・スタジアム」を遠くに望みながら現地のガイドさんが語ってくれたのは、2004年12月のスマトラ島沖地震による津波のこと。あの日大波がこの町に押し寄せ、要塞の周囲は一瞬にして海になり、スタジアムも建物やグラウンドに甚大な被害を受けてしまった、と。それでも懸命な改修作業を経て、3年後にはクリケットの試合が行われ復興を果たすことができたのだそうです。

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大型バスの向こうに見えるのが、クリケットの試合が行われる「ゴール・インターナショナル・スタジアム」

そしてゴールで訪れたいもうひとつのホテルといえば、スリランカを代表する建築家の巨匠、ジェフリー・バワの名作ホテル「ジェットウィング・ライトハウス」。

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海を一望するジェットウィング・ライトハウスのレストラン「ザ・ベランダ」

面前のインド洋とシームレスにつながるようなデザイン、光と影が織りなす計算された美しさ。テラスで読書しながら、たまに眺める海に癒やされる、そんな休日が送れそうです。

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ゴールにはクラシカルな鉄道の駅もありました

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入場券で駅構内に入ってみると、ちょうど列車が到着

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停車している列車の中に入ってみました。車内はかなり使い込まれている様子。地元の人向け車両でしょうか

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線路の間に雑草が生えちゃっているけれど、現役の駅です

【取材協力】
・エスティ・ワールド
https://stworld.jp/
・トラベルファクトリー・ジャパン
http://www.tf-jpn.com/

PROFILE

古関千恵子

ビーチライター。リゾートやカルチャー、エコなどを切り口に、国内外の海にフォーカスした読み物や情報を発信する。ダイビング雑誌の編集者を経てフリーとなり、“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”を繰りかえすこと四半世紀以上。『世界のビーチ BEST100』(ダイヤモンド・ビッグ社)の企画・執筆、『奇跡のリゾート 星のや 竹富島』(河出書房新社)の共著のほか、ファッション誌(『Safari』『ELLE Japon』など)やウェブサイトに寄稿。ブログも配信中。

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