あの街の素顔

世界農業遺産の絶景に、能登ワイン、能登ミルクと飲み物ざんまい 能登半島ぐるり旅

いきなりですが、クイズです。大相撲の人気力士、遠藤と炎鵬の共通点は何でしょうか? 「発音が似ている」? ブー。違います。正解は、石川県出身。今回は、遠藤の出身地、穴水(あなみず)町のある能登半島をぐるりと旅しました。ここでしか味わえない飲み物や食べ物があると聞いたので、出発前からわくわく。福岡に住んでいる私は、新幹線と特急を乗り継いで訪ねました。
(文・写真、宮﨑健二)

指マネで能登半島を再現してみよう

最初に、能登半島の地図を見ておきましょうね。私、旅ライターを名乗っていますが、実は指マネ芸人?でもあるんです。今回は&TRAVELの読者のみなさんだけに日ごろの感謝の気持ちを込めて、私が得意な指マネ芸を特別に披露しましょう。

まず左手の人さし指をまっすぐ立てます。次に、その人さし指を45度まで曲げます。ハイ、これで能登半島の出来上がり。簡単でしょ。これを使って今回の旅先を示すと、下の写真のような位置関係になります。

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指マネの能登半島。みなさんも忘年会の余興などでどうぞ

金沢駅から特急で能登半島へ

金沢駅を特急「能登かがり火」で出発しました。

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特急「能登かがり火」。金沢駅を朝8時56分に出発しました

森昌子の「哀しみ本線日本海」を口ずさんでいるうちに、1時間ほどで能登半島の中央部東側にある七尾市の和倉温泉駅に到着。ここからは車で能登半島をめぐります。

車を走らせ、志賀町の巌門洞窟

まず西に車を走らせて日本海に面した志賀(しか)町にやって来ました。ここには景勝地、巌門(がんもん)があります。

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巌門の海岸。中央後方に見えるのは千畳敷岩です

巌門洞窟という看板がありました。

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巌門洞窟の入り口。この先に何があるのか……

内気で弱気で恥ずかしがりやの私は、穴があると入りたくなるんです。階段を下りて行くと、中はひんやり。でも、今の日韓関係ほどではありませんでしたけどね。

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洞窟の中。歩いて行くと、海が見えてきました

洞窟を出ると、おおっ、こんな景色が。

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洞窟を出てすぐ見ることができる景観。岩には大きな穴が

迫力がありますね。日本海の荒波が巨大な岩を削り続けて作り出した景観です。

輪島市の「白米千枚田」で食べる棚田米のおにぎり

車を北に走らせて輪島市に入りました。ここには海岸近くに見事な棚田が。白米千枚田です。田んぼなので思わず「はくまい」と読んでしまいそうですが、「しろよねせんまいだ」と読みます。

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白米千枚田。棚田独特の曲線がとてもきれいですね

2011年に「能登の里山里海」が日本で初めて世界農業遺産に認定されました。この白米千枚田はそのシンボル的な場所です。稲は刈り取りずみでしたが、売店で棚田米おにぎりを売っていたので、さっそく買いました。私、おにぎりには目がないんです。棚田を眺めながら食べるおにぎりは、う~ん、最高!

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棚田米で作られたおにぎり。「お母さんの梅」という名前でした

穴水町のワイナリー「能登ワイン」

輪島市から南下して、次は穴水町の山間部にある能登ワインを訪ねました。私、おにぎりと同じくらい、ワインには目がないんです。

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ヤマソーヴィニヨン。ボトルは税込み1815円です

能登ワインでは、自社の畑で栽培したブドウを使い、加熱処理をしない生詰め製法でワインを製造、販売しています。ほとんどは石川県内で消費されているそうですから、まさに「地産地消のワイン」です。「和食に合うすっきりした風味の生ワイン」だそうです。

スタッフの方に案内してもらい、施設を見学させていただきました。畑では、腰の高さくらいに直径約1センチのブドウが実っていましたよ。

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赤ワイン用のヤマソーヴィニヨンの実。日本で開発された品種です

この畑では、食べた後の能登ガキの貝殻を木の根元にまいています。貝殻に含まれる石灰が赤土の酸性を弱めて、ブドウ栽培に適した土壌にしてくれるのだそうです。海の恵みもワインづくりに一役買っているわけですね。

年間約15万本を生産。多くはステンレスの貯蔵タンクで発酵、熟成させていますが、高級ワインは樽(たる)で熟成させています。

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高級ワインの熟成に使う樽。フランス製で一つ10万~16万円もするそうです

樽でつくられるワイン用のブドウは、苗木の段階から決められているそうですよ。「エリートコースのワイン」ということですね。

この日は車を運転していたので飲めませんでしたが、樽熟成ワインを土産に買って帰って飲んでみました。すっきりした味わいのとても飲みやすいワインでしたよ。

能登ワインでは、こうして見学ができます。無料で試飲も可能。ただ、「大人数の場合は予約をお願いします」ということでした。

和倉温泉の「能登ミルクカフェ」

さて、七尾市の和倉温泉に戻ってきました。宿に荷物を預けて出かけたのは、温泉街の中心にある能登ミルクカフェ。私、おにぎりとワインと同じくらい、牛乳には目がないんです。

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能登ミルクカフェ。週末には行列ができるほどの人気店です

能登ミルクは、牛乳本来の味を取り戻したいと、堀川昇吾さん(55)が作った牛乳メーカーです。県内の5軒の牧場と提携し、ストレスを与えず、農薬を使っていないえさで育てた乳牛から絞った生乳を使って生産しています。「甘みがある、とよく言われます」と堀川さん。カフェは昨年4月にオープンしました。一番人気は能登ミルク。そして、長女の宙(そら)さん(21)が考案したジェラート「宙」が店のイチ押しです。能登ミルクを使った杏仁豆腐に、マンゴーとブラッドオレンジをマーブル状に混ぜた一品です。

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後方右の能登ミルクは税込み220円。手前左のジェラート「宙」は同480円

能登ミルクは瓶に入っています。瓶に口をつけて飲む味わい方を大事にしたいからだそうです。客層の中心である若い女性たちにも、昔ながらのこの飲み方で味わってもらっています。私ももちろんグビグビ飲みましたよ。腰に手を当てて。

1日目の旅はこうして終わりました。ふう、疲れた。旅館で温泉につかってひと休みしました。

和倉温泉は、七尾西湾に面している海の温泉です。温泉街は道幅が広く、とても開放感があります。中心部にある総湯には、外に無料で入ることができる足湯が設けられています。

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和倉温泉の総湯の足湯。リラックスできます

珠洲市の「二三味珈琲 cafe」でコーヒーを一杯

さあ、2日目の旅です。車で北上し、能登半島の先端の珠洲(すず)市を目ざしました。途中、のと鉄道の電車を見かけたので、カメラでパチリ。

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のと鉄道の電車。七尾駅と穴水駅の間で運行されています

1時間半ほどかかって到着したのは、「二三味珈琲(にざみコーヒー) cafe」です。私、おにぎりとワインと牛乳と同じくらい、コーヒーには目がないんです。「博多から来たとです」とあいさつすると、店主の仙北屋(せんぼくや)葉子さん(48)が笑顔で迎えてくれました。店内は天井が高く、アート作品が壁に飾られていてとても落ち着いた雰囲気です。

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「二三味珈琲 cafe」の店内。コーヒーをじっくり味わえます

入り口のショーケースに並べられたコーヒー豆を見て、説明を読み、選ぶシステムです。一緒に行った友人とともに、さっそく注文。私は二三味ブレンドとフルーツロールケーキをいただきました。ブレンドは苦みがありますが、強くはありません。とても飲みやすく、あと味のよいコーヒーで、ケーキとの相性もぴったりでした。

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コーヒーとケーキ。二三味ブレンドは税込み500円です

「ここで焙煎(ばいせん)をしているので、煎り立ての豆を選んでもらうことができます」と仙北屋さん。お客さんは旅の人が多いそうですが、通信販売で豆を買っている人がわざわざ訪ねてくることもあるそうですよ。

ちなみに、「二三味」とはこの店のための名前かと思っていたのですが、実は仙北屋さんの結婚前の旧姓なのだそうです。珈琲店にはぴったりの素敵な名前ですね。

「能登丼」の一つ「見附島海鮮丼」に舌つづみ

二三味珈琲を後にして、今度は昼食です。海鮮丼が食べたくなって、同じ珠洲市にあるすし店「幸(こう)ずし」に入りました。私、おにぎりとワインと牛乳とコーヒーと同じくらい、海鮮丼には目がないんです。注文した見附(みつけ)島海鮮丼は、新鮮な刺し身がごはんを覆い尽くしていました。ああ、なんという幸せ。

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見附島海鮮丼。税込み2200円です

来年6月まで、奥能登地域の輪島市、珠洲市、能登町、穴水町の飲食店計49店が参加して「能登丼」キャンペーンが行われています。①奥能登産の食材を使っている②能登産の器や箸を使っている、などの条件を満たした自慢の丼を各店が用意。私が食べた見附島海鮮丼もその一つです。

あのラグビー選手に見える? 見附島とボラ待ちやぐら

ところで、海鮮丼の名前にくっついている「見附島」とは何でしょうか? 実は、この「幸ずし」の近くにある観光スポットの島なんです。行ってみました。

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高さ28メートルの見附島。切り立った崖はすごい迫力です

まるで軍艦のように見えるというので、軍艦島の別名もあります。でも、私はそのシルエットから、ラグビーワールドカップで大活躍した俊足のバックス、松島幸太朗選手の髪形を思い浮かべてしまいました。

いよいよ、旅も終わりに近づきました。金沢市に向かう途中、穴水町の海沿いにこんな景色が見えましたよ。ボラ待ちやぐらです。

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ボラ待ちやぐら。海をじっと見守り続けています

やぐらの上からボラを観察し、タイミングをみて網をあげるという素朴な漁法です。

能登半島ぐるり旅、いかがでしたか。さすがは世界農業遺産の地。ワイン、牛乳、コーヒーに海鮮丼……。里山と里海の恵みといえる飲み物や食べ物が盛りだくさんで、とてもおいしい旅でした。

【問い合わせ】
能登ワイン
http://notowine.com/

能登ミルク
http://www.notomilk.com/

奥能登ウェルカムプロジェクト推進協議会
http://www.okunoto-ishikawa.net/

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PROFILE

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  • 宮﨑健二

    旅ライター。1958年、福岡市生まれ。朝日新聞社入社後、主に学芸部、文化部で記者として働き、2016年に退社。その後はアウェイでのサッカー観戦と温泉の旅に明け暮れる。

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