旅空子の日本列島「味」な旅

金萬、諸越、赤れんが――銘菓と建築で感じる商都 秋田市

県の中西部、日本海に臨んでひらけた秋田は人口約31万人の県庁所在地である。古くは国府が置かれ、北前船の寄港でにぎわい、江戸時代は常陸(茨城)から国替えで入封した佐竹氏を藩主にした城下町は明治維新まで270年間続いた。

金萬、諸越、赤れんが――銘菓と建築で感じる商都 秋田市

秋田のシンボルの久保田城御隅櫓(やぐら)

その歴史は駅近くの堀や土塁、表門、御隅櫓(おすみやぐら)を残す久保田城跡にしのばれる。一帯は桜や紅葉など四季の彩り豊かな市民憩いの千秋公園になっている。堀端に立つ、藤田嗣治の大壁画「秋田の行事」で有名な秋田県立美術館も見ものである。

町歩きに便利なのは駅西口から千秋公園入口、通町、ねぶり流し館前、南大通り、秋田市民市場など中心街を巡る循環バス(1乗車100円・1日乗車券300円)の「ぐるる」。これを利用して、通町で下車した。

金萬、諸越、赤れんが――銘菓と建築で感じる商都 秋田市

竿燈の知識などが分かるねぶり流し館

かまぼこの宮城屋、伝統銘菓りんごもち本舗の高砂堂、郷土菓子の勝月など趣ある老舗が集まる、電柱もないしゃれた界隈(かいわい)をぶらつく。目に付いたのは薄い緑色の壁の民俗芸能伝承館ねぶり流し館。竿燈(かんとう)まつりは映像だけでも迫力が伝わってきた。ねぶりとは眠りの意味で、夏の睡魔や穢(けが)れ、悪疫などを払う七夕行事。ルーツを同じくするのが秋田を象徴する竿燈まつりや青森のねぶたという。隣接する紺ののれんの広壮な明治建築の旧金子家住宅に商都の歴史も垣間見えた。

金萬、諸越、赤れんが――銘菓と建築で感じる商都 秋田市

商都秋田の繁栄を伝える旧金子家住宅

「ぐるる」を降りて、赤れんが郷土館に立ち寄った。1912(明治45)年に建造された赤レンガ建築の旧秋田銀行本店で、外観は壮麗なルネサンス様式、内部は白漆喰(しっくい)の繊細なバロック様式。古き良き時代の秋田の隆盛がしのばれる国の重要文化財である。

金萬、諸越、赤れんが――銘菓と建築で感じる商都 秋田市

明治の郷愁誘う壮麗な赤れんが郷土館

駅に戻る前に立ち寄った秋田市民市場は午前5時~午後6時営業の鮮魚や塩干物、肉、野菜、山菜、果物などの店が集まる市民の台所。地酒や菓子、工芸品など旅土産なら広小路に面したアトリオン地下1階のあきた県産品プラザがお薦めだ。

金萬、諸越、赤れんが――銘菓と建築で感じる商都 秋田市

海や山、畑などの食材が集まる市民市場

食事ならダンゼン、新米とキノコなど季節の食材が豊富な「きりたんぽ」。比内地鶏の味がバツグンだ。なめらかで細めながらコシの強い「稲庭うどん」も忘れられない。

手土産なら酸っぱい山ぶどうをゼリー風に固めた「さなづら」や小豆粉に和三盆糖を加えた干菓子「秋田諸越」が秋田ならでは。小ぶりで白餡(あん)がほっこりおいしいまんじゅう「金萬」も人気が高い。

金萬、諸越、赤れんが――銘菓と建築で感じる商都 秋田市

甘酸っぱさが人気の榮太楼の「さなづら」

金萬、諸越、赤れんが――銘菓と建築で感じる商都 秋田市

小ぶりで飽きない秋田名物饅頭の「金萬」

秋田は米、酒、魚よしの味どころ。特に10月は山も海も収穫期の盛り。秋こそ秋田に出かけたいものである。

金萬、諸越、赤れんが――銘菓と建築で感じる商都 秋田市

山菜豊富な世界遺産ゆかりの「白神浪漫」

〈交通〉
・JR秋田新幹線で東京から秋田まで約3時間50分
〈問合せ〉
・秋田市観光振興課 018-888-5602
・秋田観光コンベンション協会 018-824-8686

※都道府県アンテナショップサイト「風土47」より転載。

■バックナンバーはこちら

PROFILE

中尾隆之

中尾隆之(なかお・たかゆき)ライター
高校教師、出版社を経てフリーの紀行文筆業。町並み、鉄道、温泉、味のコラム、エッセイ、ガイド文を新聞、雑誌等に執筆。著作は「町並み細見」「全国和菓子風土記」「日本の旅情60選」など多数。07年に全国銘菓「通」選手権・初代TVチャンピオン(テレビ東京系)。日本旅のペンクラブ代表・理事、北海道生まれ、早大卒。「風土47」でコラムを連載中。

「堀と柳と美人の町」 往時の華やぎ残す新潟市

一覧へ戻る

信玄の館と柳沢の城 歴史を刻む山峡の街 甲府市

RECOMMENDおすすめの記事