にっぽんの逸品を訪ねて

静岡で富士山を眺めるならここ! おすすめのビュースポットめぐり

空気がひんやりと澄んだ秋から冬は、富士山の姿がくっきりと美しい季節です。そこで、今回は静岡市の「日本平ホテル」や昨年誕生した「日本平夢テラス」、清水港を周遊する「富士山清水みなとクルーズ」など、「富士山を眺めるならここ!」というビュースポットをご紹介します。すがすがしい秋におすすめの旅です。(トップ画像提供:日本平ホテル)

連載「にっぽんの逸品を訪ねて」は、ライター・中元千恵子さんが日本各地の逸品を訪ね、それを育んだ町の歴史や風土を紹介します。

絵画のような風景、ドラマのロケに使用されたリゾートホテル

最初に向かったのは、静岡市の中でも景勝地として名高い「日本平(にほんだいら)」です。駿河湾の近くにそびえる有度山(うどやま)の山頂や丘陵地一帯の名称で、富士山や三保松原(みほのまつばら)を見晴らし、眺望抜群。国の名勝にも指定されています。

その一角にたつ「日本平(にっぽんだいら)ホテル」のロビーに一歩足を踏み入れて、思わず声を上げてしまいました。眼下には市街の街並みが広がり、その向こうに駿河湾やすそ野を広げる優美な富士山が望めます。窓枠に切り取られた風景は絵画のようです。

静岡で富士山を眺めるならここ! おすすめのビュースポットめぐり

ロビーからの富士は絵画のよう(画像提供:日本平ホテル)

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TBS系列のTVドラマ『華麗なる一族』(2007年)では主人公の自宅の庭として、この庭園でロケが行われたそうです(画像提供:日本平ホテル)

日本平ホテル内のレストランでは、景色を眺めながら昼食も楽しめます。この日、味わったのは「日本料理 富貴庵」の月替わりランチメニュー。キンメダイを丸ごと一尾ぜいたくに使い、しらすやサクラエビ、マグロ、ワサビなど、静岡の名産品が盛り込んであって、郷土色豊かでした。

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「日本料理 富貴庵」では月替わりランチメニューがいただけます

ほかにも、全国から選んだネタに加え、駿河湾で水揚げされた旬の魚介類も味わえます。

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握りずしのランチも美味

客室は日本平ツインやスーペリア和室、プレジデンシャルスイートなど7種類。全80室のうち、約8割は富士山や駿河湾の方向を向き、テラスから富士の姿が望めます。客室内はエアコンや冷蔵庫の音がしない、静かさを追求した設計にしたそうです。細やかな配慮を感じます。

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客室や館内には和の情緒と品格が漂います

建物も必見。人気の新名所「日本平夢テラス」

美しい木組みが目を引く「日本平夢テラス」は、昨年11月に日本平山頂に誕生した展望施設です。県産の木材をふんだんに使った和テイストの建物は、新国立競技場を手掛ける隈研吾建築都市設計事務所の設計。入館料無料の絶景スポットとして、オープン直後から人気となっています。

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六角形の屋根も印象的な「日本平夢テラス」(画像提供:日本平夢テラス)

1階では、日本平の歴史や地形の成り立ちをグラフィックパネルやプロジェクションマッピングで紹介。2階には「茶房 夢テラス」があって、ひと休みするのにぴったりです。

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木材がふんだんに使われています(画像提供:日本平夢テラス)

3階の展望フロアには1周約200mの展望回廊があり、富士山はもちろん清水港や伊豆半島、南アルプスの山並みなど、360度違った風景が広がります。展望回廊は24時間年中無休なので、夜景を見るのにもおすすめ。

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ここから見る富士山も優美です(画像提供:日本平夢テラス)

日本平ロープウェイで国宝「久能山東照宮」へ

日本平に来たらぜひ訪れたいのが久能山東照宮です。日本平夢テラス近くの乗り場から「日本平ロープウェイ」に乗って約5分の久能山には、江戸時代に徳川家康が埋葬され、2代将軍秀忠によって久能山東照宮が創建されました。

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厳かな雰囲気の久能山東照宮

総漆塗りの権現造りの社殿は色鮮やか。ため息が出るほどの精密さと華やかさです。本殿や拝殿は、江戸時代初期を代表する建造物として国宝に指定されています。日光の東照宮より19年早く、東照宮としては日本で最初に創建されました。

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国宝の拝殿。当時の建築技術と芸術の粋を集めた建物です

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多くの参拝客が訪れていました

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境内いたるところ華やか

目を凝らすと、屋根の垂木の模様が逆さになったものがあります。昔は「建物は完成と同時に崩壊が始まる」という考えがあり、長く美しい状態を保つようにと、わざわざ未完成の状態にしているそうです。

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下段左端の紋が上下反対になって、未完成を表現しています

社殿の奥には、家康の遺体を納めた神廟(しんびょう)があり、遺言に従って西向きに建てられています。

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家康の神廟

お弁当も富士山! 富士山清水みなとクルーズ

日本平を下って今度は海へ。清水港は富士山や三保松原、日本平などの眺望に恵まれ、神戸港や長崎港と並んで“日本三大美港”といわれています。古くは家康も舟遊びを楽しみました。「富士山清水みなとクルーズ」では、周囲の雄大な風景を船上から眺められます。

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富士山清水みなとクルーズで海の上から富士山を望む(画像提供:エスパルスドリームフェリー)

港を一周する周遊クルーズや、桟橋を行き来するミニクルーズなどがありますが、おすすめは「富士山清水ふなべんクルーズ」。2人以上なら、前日正午までの予約でお弁当が用意され、船上で優雅なランチタイムが過ごせます。

この日注文したのは「富士山海道弁当」。富士山の形に盛られた桜えび・釜揚げしらすご飯をはじめ、金目の塩焼きや桜えびかき揚げ、黒はんぺんフライ、わさびしゅうまいなど色合いも華やか。甘味の安倍川餅まで、静岡の名産品がたっぷり味わえます。

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「富士山海道弁当」は静岡の名物がたっぷり

ゆっくりと港を一周する船上では、富士山などの雄大な自然、そしてタンカー船や大型クレーンなど国際貿易港らしい近代的な風景が、次々と現れます。

11月~3月まではカモメがやってきて、デッキに出ると、直接手渡しでカモメに餌やりもできます。

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冬季はカモメの餌やりが人気です(画像提供:エスパルスドリームフェリー)

三保松原を紹介する「みほしるべ」誕生。海岸には独特のハチマキ石

富士山のビュースポットといえば、欠かせないのが「三保松原(みほのまつばら)」です。三保半島の海岸線に約5kmに渡って約3万本ものクロマツが茂り、富士山と松林がつくり出す美しい風景は古代から文芸や芸術の題材になってきました。三保松原も「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産として、ユネスコの世界文化遺産に登録されています。

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富士山と三保松原(画像提供:静岡県観光協会)

三保松原へは、御穂神社から続く「神の道」を歩きました。古木が茂る道はすがすがしく、心穏やかになります。

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約500m続く「神の道」

「羽衣の松」近くには今年、三保松原の価値や魅力を発信する施設「みほしるべ」がオープンしました。展示室では、三保松原の美しい映像やここから生まれた芸術などを紹介。三保松原の松で作った楽器を鳴らせるコーナーやミュージアムショップ、天女のコスチュームを用意した撮影コーナーもあります。ボランティアガイドさんの手配もお願いできるので、希望の場合は早めに連絡しましょう。

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三保松原に誕生した「みほしるべ」

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三保松原の魅力をさまざまな方法で紹介。ユニークなおみやげ品も必見です

羽衣の松から海岸へ歩くと、「羽車神社」があります。近くの海岸には三保独特の白い輪が入ったハチマキ石が多く見られました。

地元ではハチマキ石には願いをかなえる力があると伝わっているそうです。ハチマキ石を手にして富士山を見上げると、願いがかなうような気がしてきます。

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ハチマキ石と羽車神社

【問い合わせ】
日本平ホテル
https://www.ndhl.jp/

日本平夢テラス
https://nihondaira-yume-terrace.jp/

久能山東照宮
https://www.toshogu.or.jp/

株式会社エスパルスドリームフェリー
https://www.dream-ferry.co.jp/

三保松原
https://miho-no-matsubara.jp

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PROFILE

中元千恵子

旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、『バリアフリーの温泉宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い。
全国各地のアンテナショップを紹介するサイト 風土47でも連載中

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