宇賀なつみ わたしには旅をさせよ

人生初の「父娘旅行」 宇賀なつみがつづる旅(2)

フリーアナウンサーの宇賀なつみさんは、じつは旅が大好き。見知らぬ街に身を置いて、移ろう心をありのままにつづる連載「わたしには旅をさせよ」がスタートしました。今回の旅の舞台は、テレビ朝日を退社し、父親と行った上海です。

(文・写真:宇賀なつみ)

思いがけず 上海

平成最後の海外旅行は、人生最初の父娘旅行になった。

とある新聞社から取材を受けた際、記者の方に言われた。

父親を彼と呼ぶ人に初めて会いました、と。

確かに、珍しいかもしれない。
もちろん本人の前では呼ばないが、誰かに父親について話す時は、「彼が~」と言う。

そんな彼は、建築の仕事をしていて、月に一度、上海へ出張に行く。

2019年春。
せっかく会社を辞めてフリーランスになったのだから、3日連休があれば旅に出たい。

中国ならすぐだし、父親が出張するなら、このタイミングで行かない手はないと思った。

彼は視察も兼ねて、毎回違うホテルに泊まっているそうだが、今回は私がリクエストした。

インターコンチネンタル上海ワンダーランド。
中心地からは車で1時間ほどと少し遠いが、採石場跡にできたばかりのホテルで、ネット上で写真を観てから、ずっと気になっていたのだ。

確かに周りには何もない場所だったが、部屋に行くとき、地下に下がっていくのが面白い。
ベランダからの景色はまさにワンダーランド!
インディ・ジョーンズの世界に紛れ込んだようだった。

昼間は、仕事をしている父親とは別行動。
わかりやすく朱家角で船に乗って観光をしたり、上海中心地をブラブラした。

人生初の「父娘旅行」 宇賀なつみがつづる旅(2)

夜は、待ち合わせをして食事をしたのだが、彼の仕事仲間も一緒だったので、私についてあれこれ質問してくれて、それに答えている彼の話を聞いて、初めて知ることが多かった。

10代の頃から特に門限もなく、勉強しろと言われたこともなく、校則のない自由な学校に通っていたので、髪も染めたし、アルバイトもしたし、のびのびと好きなことだけやってきた。

今まで気にしたこともなかったけど、彼なりにちゃんと考えがあったのだということを知った。

子供だからって自分のものではない。
別人格だから。

人生初の「父娘旅行」 宇賀なつみがつづる旅(2)
父はいつも楽しそうに仕事の話をしてくれて、私は働くということにマイナスイメージが全くなく、いつも早く大人になりたいと思っていた。

実際になってみたら、やはり大人は楽しくて仕方ない。

その後、クラブ?とまではいかないが、若者で賑わうバーにも一緒に行った。
ディスコ世代の彼は、爆音響く酒場にいると、ついつい体が動くみたい。

人生初の「父娘旅行」 宇賀なつみがつづる旅(2)
それから、日本人駐在員向けと思われるスナックにも行って、カラオケをした。
彼はサザン。私はキョンキョン。

思いもよらず、色々な話ができて良い旅になった。
羽田に向かう飛行機に乗る前に、ラウンジで、ぬるいビールを飲みながら彼が言った。

60代になっても、気持ちは20歳の頃と変わらないから大丈夫だよ!

何が大丈夫なんだろうか。
よくわからないけど、楽しかった。

PROFILE

宇賀なつみ

東京都出身。テレビ朝日「報道ステーション」の気象キャスターとしてデビュー。同番組スポーツキャスターとして、トップアスリートへのインタビューやスポーツ中継等を務めた後、「グッド!モーニング」「羽鳥慎一モーニングショー」など、情報・バラエティー番組を幅広く担当。2019年にフリーランスとなり、現在はテレビ朝日「池上彰のニュースそうだったのか!!」や、自身初の冠番組「川柳居酒屋なつみ」を担当。TBSラジオ「テンカイズ」やTOKYO FM「SUNDAYʼS POST」など、ラジオパーソナリティーにも挑戦している。

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