永瀬正敏フォトグラフィック・ワークス 記憶

(34)巨大バレリーナ、ビルの壁で踊る 永瀬正敏が撮ったニューヨーク

国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。永瀬さんがニューヨークの思い出の場所で見つけた、この巨大なバレリーナは?

(34)巨大バレリーナ、ビルの壁で踊る 永瀬正敏が撮ったニューヨーク

©Masatoshi Nagase

ニューヨークの懐かしい場所を歩き回っていたら、ビルの壁面に巨大なバレリーナの写真が。こんなものがあることを知らなくて、すごくいいなと思って撮った。ビルの壁で空を目がけて踊っているバレリーナなんて、最高じゃないか。

僕は30年ほど前、ニューヨークで4カ月ほど、ルームシェアをさせてもらって暮らしたことがある。その時に住んでいた場所から、2ブロックくらい裏手に入った場所に、このビルはあった。そばにある新しいビルではなく、昔からの歴史ある建物にバレリーナを配置するところがすてきだなと思う。

ニューヨークというと僕が真っ先に思い浮かべるのは、こういう外階段があるビルだ。昔はこういうビルがたくさんあった。そういえば、ニューヨークを舞台にした映画にも、こういうビルは結構登場しているように思う。

後に僕の写真展を訪れた方に、このバレリーナはフランスの世界的なストリートアーティスト、JRの作品だと教えていただいた。30年ほど前だと、まだJRは活動していないだろうから、昔懐かしい場所に僕の知らないすごいものができていて驚いた、ということになる。さすがJRだ。ここにこれか、しかもバレリーナなんて。

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PROFILE

永瀬正敏

1966年宮崎県生まれ。1983年、映画「ションベン・ライダー」(相米慎二監督)でデビュー。ジム・ジャームッシュ監督「ミステリー・トレイン」(89年)、山田洋次監督「息子」(91年)など国内外の約100本の作品に出演し、数々の賞を受賞。カンヌ映画祭では、河瀬直美監督「あん」(2015年)、ジム・ジャームッシュ監督「パターソン」(16年)、河瀬直美監督「光」(17年)と、出演作が3年連続で出品された。近年の出演作に常盤司郎監督「最初の晩餐」、オダギリジョー監督「ある船頭の話」、周防正行監督「カツベン!」、甲斐さやか監督「赤い雪」など。写真家としても多くの個展を開き、20年以上のキャリアを持つ。2018年、芸術選奨・文部科学大臣賞を受賞。

(33)バーでぼんやり浮かび上がるふたり 永瀬正敏が撮ったニューヨーカー

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