楽しいひとり温泉

温泉+武将気分 真田家のシンボル用いモダン和室 「信州別所温泉 旅宿 上松や」

鉄道で行く温泉旅もいいものです。その土地の風景の中をゆっくりと走る鉄道に乗って、季節の移ろいや地域の暮らしの香りを感じる旅のひと時は、忙しい日常から解き放たれていく時間でもあります。今回のひとり温泉旅は、上田電鉄別所線に乗ってレトロでロマンチックな温泉の駅を目指します。

■連載「楽しいひとり温泉」は、全国各地の温泉をめぐり、温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する、温泉ビューティー研究家の石井宏子さんが、テーマごとにひとり温泉にぴったりなお宿を紹介します。

ノスタルジックな別所温泉を散歩

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上田電鉄は元気に営業中。別所温泉駅は大正浪漫の雰囲気

上田電鉄別所線は、2019年10月の台風による水害で千曲川にかかる鉄橋の一部が崩落してしまいましたが、現在は、崩落した鉄橋がある上田駅から城下駅のひと駅区間のみ代行バス運行、そこから終点の別所温泉までは鉄道が運行を再開しています。そういう姿にも、なんだか感激しながら別所温泉駅に到着しました。

ロマンチックな雰囲気の別所温泉駅。大正浪漫風な和装の職員さんに改札で切符を渡し、温泉街までの道をてくてくと歩きます。宿の「上松や」に荷物を預けたら、まずは、北向観音(きたむきかんのん)へお参りに。

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温泉街にある「北向観音」は、参道もにぎやかで楽しい

参道にはおみやげ店やカフェなどが並び、にぎやかな雰囲気。北向観音は、常楽寺が本坊ですが、本堂が北向きに建っていることから、北向観音と呼ばれています。厄(やく)を払い現世の利を守ってくださるのが北向観音で、南向きの善光寺は来世の利を授けてくださることから両方を対でお参りする習わしがあります。

境内の御手水(おちょうず)が、なんと温泉。寒い冬でもほかほかと温かな御手水は温泉地ならでは。湯の恵みのありがたさを、ことさら感じます。

戦国武将気分を楽しむ「ひとり専用」の部屋が人気

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おひとり様専用の「真田戦国部屋」は女性のひとり旅にも人気

「上松や」は、20年ほど前からずっと「ひとり旅応援の宿」。様々な部屋で、多彩な特典付きのひとり旅プランを展開しています。中でも人気なのが、おひとり様専用の「真田戦国部屋」。戦国武将・真田家の「六文銭」や「赤備え」をベースに、戦国時代の部屋を和モダンにアレンジしています。

倉沢晴之介社長にどんな人が泊まっているのかお聞きしたら、「歴史好きの人が泊まってくれるのかなと思っていたのですが、意外にも“非日常を楽しみたい”というおひとり様も多くご利用になります」とのこと。せっかくならば特別な体験をしたいと考える人が増えているのだそうです。

清少納言も絶賛した? 美人の湯にうっとり

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源泉がたっぷりと注がれる大浴場の露天風呂

「上松や」の大浴場は全て源泉かけ流し。夜に男女を入れ替え、異なる雰囲気の六つの浴槽の温泉を楽しめます。大浴場「ろくもん」の露天風呂は真田幸村の隠し湯と呼ばれた石湯にちなんだ石造りで、豊富に注がれた新鮮な温泉に浸れます。

別所温泉の歴史は1400年と古く、信州最古の温泉地で、「七久里(ななくり)の湯」と呼ばれていました。清少納言の「枕草子」で賞された「ななくりの湯」という説もあり、七つの苦から離れることができる、という由来があるそうです。「お嫁に行く前には別所の湯で肌を整えてから」と言い伝えがあるほどの「美人の湯」としても知られます。

泉質は単純硫黄泉、pH8.7のアルカリ性で、つるつるとなめらかで柔らかな肌触り。アルカリ性の温泉は肌の古い角質を落とし、硫黄の働きで血行が促進されて、つややかな肌に導いてくれる美肌温泉です。

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限定で行われていた「りんご風呂」

もうひとつ、真っ赤な湯船の露天風呂は景色を眺めるロケーション。ひとりすっぽりと浸ってぜいたくな気分です。この日はたまたま、台風被害で木から落ちてしまったりんごを使った「りんご風呂」でした。湯の上には甘い香りのりんご、見上げれば柿の実りと、温泉に入りながら季節を満喫できました。

信州を楽しみ尽くす地元の味覚満載の夕食

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華やかな盛り付けの「七久里籠盛前菜」

七久里の湯にちなんだ前菜「七久里籠盛(かごもり)」は、信州産ベニマスの土佐酢漬けや、コリンキーの信州産しょうゆ豆添え、信州産サンつがるのコンポートなど七つの味わいが並びます。

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信州黒毛和牛と信州福味鶏を豪快に食べ比べる石焼

メインは石焼。信州産黒毛和牛と信州福味鶏の食べ比べです。ジューシーな肉汁あふれる信州黒毛和牛もいいなあと思いつつ、信州福味鶏を食べてみると、こりゃまた絶品。ぷりんとした食感とともにじゅわーっと肉のうまみが広がり、何とおいしいことか。塩田産一本しめじは、その長さと立派さにびっくり。肉と一緒に焼き上げれば、こりこりの食感と風味が素晴らしく大満足。

鐘の音とともに、大師湯の一番風呂へ

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外湯「大師湯」は朝6時から営業

朝6時。常楽寺の鐘がゴーンと鳴ると、浴衣に着替えて、いざ、外湯へ。宿のすぐ前にある「大師湯」は、源泉かけ流し。「朝の一番湯は、夜のうちに新鮮な湯がたっぷり注がれているのでお湯が透明で美しい」と地元の方から教えてもらい、楽しみにして出かけました。レトロな雰囲気のタイルの湯船。小さめですが深さがあって肩まですっぽりつかって温まれます。

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地元塩田産コシヒカリのごはんが進む朝食

気持ちのいい朝風呂に入って、すっかりおなかがすきました。お待ちかねの朝食です。テーマは「ごはんが3杯食べたくなる」だそうで、ごはんがすすむおかずがズラリ。信州名物の馬肉の時雨煮は、信州そばに入れて馬肉そばに。元気もりもりになる朝の始まりです。

信州別所温泉 旅宿 上松や
https://www.uematsuya.com/

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.20年来のひとり旅歓迎の宿
2.源泉かけ流しの「美人の湯」
3.信州のごちそうを満喫

BOOK

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全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!

石井宏子さんの著書「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)が11月16日に出版されました。温泉ビューティー研究家・旅行作家ならではの、旅してみつけた、女性がひとりで安心して楽しめる温泉宿を紹介するハンディーな一冊。公共交通機関で行ける、自分へのごほうびで泊まりたい、いい宿を全国から厳選し、あわせて、女性目線で選んだ周辺の立ち寄り先、ランチやスイーツも取り上げます。ひとりでも楽しい観光列車も登場します。税別1400円。


PROFILE

石井宏子

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書に「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)、「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)、「感動の温泉宿100」(文春新書)などのほか、「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)が11月に発売された。

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