京都ゆるり休日さんぽ

京都で晩秋の紅葉を味わう。竹林に囲まれた穴場スポット「竹の寺 地蔵院」

今回訪ねたのは、知る人ぞ知る洛西の紅葉の名所「竹の寺 地蔵院」。京都の中でも木々の色づきはじめが遅く、敷きもみじの時期も合わせると12月中旬ごろまで紅葉を楽しむことができます。さらさらとそよぐ竹の葉ずれの音を聞きながら、過ぎゆく晩秋の色を見つけにゆきましょう。

■暮らすように、小さな旅にでかけるように、自然体の京都を楽しむ。連載「京都ゆるり休日さんぽ」はそんな気持ちで、毎週金曜日に京都の素敵なスポットをご案内しています。
(文:大橋知沙)

竹林と紅葉のコントラスト。延命安産、愛犬へのご利益も

京都で晩秋の紅葉を味わう。竹林に囲まれた穴場スポット「竹の寺 地蔵院」

竹林とコケの緑に、紅葉したカエデの色が映える(画像提供:地蔵院)

「竹の寺」と呼ばれるとおり、地蔵院は青々とした竹林が境内を囲む禅寺。総門へと続く参道を歩くと、迎えられるのは、天高く伸びる竹林を背景に鮮やかに色づくカエデとのコントラスト。参道の両側のコケには徐々に落ち葉が降り積もっていき、秋の終わりには見事な紅葉のじゅうたんとなります。

京都で晩秋の紅葉を味わう。竹林に囲まれた穴場スポット「竹の寺 地蔵院」

年によって黄色く色づいたり、赤く色づいたり。葉が落ちてくるにつれ背景の竹林がよく見え、地面は紅葉のじゅうたんに(画像提供:地蔵院)

夢窓国師を開山とし、南北朝時代の武将・細川頼之が建立した地蔵院ですが、後に「一休さん(一休宗純禅師)」の生誕の寺としても知られるようになりました。御所を追われた一休の母が頼之公の妻の縁を頼りに地蔵院に身を寄せ、出産。一休が6歳で安国寺に入門するまで過ごしたと伝えられ、境内には一休宗純禅師の母子像が2017年2月に建てられました。本尊は延命安産の地蔵菩薩。一休さんがここで生まれ長寿だったこともあり、多くの参拝者が訪れます。

京都で晩秋の紅葉を味わう。竹林に囲まれた穴場スポット「竹の寺 地蔵院」

一休禅師母子像。水上勉による伝記小説『一休を歩く』の一節が添えられている(画像提供:地蔵院)

また、動物愛護に関心を寄せていた住職ご夫妻が保護犬の子犬の里親を申し出て、寺犬となった「くうちゃん」との縁から「わんこ御守」や愛犬のための永代供養合同墓も。愛犬家にとってもぜひ訪れたいスポットになりつつあります。普段、くうちゃんは非公開の場所で過ごしており、境内に出るのは散歩の時のみ。偶然見かけたら、優しく見守ってくださるよう呼びかけています。

ふすま絵や十六羅漢の庭、四季の花々が見どころ

京都で晩秋の紅葉を味わう。竹林に囲まれた穴場スポット「竹の寺 地蔵院」

寺犬のくうちゃんと方丈前の「十六羅漢の庭」(画像提供:地蔵院)

方丈では、開基・頼之公の子孫である細川護煕(もりひろ)元首相が地蔵院に奉納したふすま絵や、茶室の猪目(いのめ)窓が期間限定で公開されます。また、方丈前の「十六羅漢の庭」と呼ばれる平庭式枯山水庭園も見どころの一つ。起伏のない平らな庭に配した自然石は、修行中の羅漢を表しているとされています。

京都で晩秋の紅葉を味わう。竹林に囲まれた穴場スポット「竹の寺 地蔵院」

細川護煕(もりひろ)元首相によるふすま絵「潚湘(しょうしょう)八景の図」。次回公開は12月28日〜2020年1月5日(画像提供:地蔵院)

京都で晩秋の紅葉を味わう。竹林に囲まれた穴場スポット「竹の寺 地蔵院」

方丈の茶室にある猪目(いのめ)窓。12月8日まで特別公開。次回は未定(画像提供:地蔵院)

すがすがしい竹の精気漂う境内に、秋から冬にかけては、サザンカ、ツバキ、センリョウなどがけなげに花開く、心温まる光景が待っています。また、一年を通して四季の草花が色を添えるよう手をかけた風景には、自然といのちを尊ぶ住職のまなざしが感じられます。美しい竹林の保全は大変な手間を要するもの。数百年の昔から竹林の山として語り継がれてきたこの風景が、今なお守られながら秋が訪れるたび錦に彩られていることにも、しみじみと心打たれます。

京都で晩秋の紅葉を味わう。竹林に囲まれた穴場スポット「竹の寺 地蔵院」

境内には四季を伝える草花が順に咲く。こちらは寒ツバキ(画像提供:地蔵院)

竹とコケの緑に包まれる禅寺・地蔵院が、暖かな紅葉の色に彩られるのは秋だけの景色。嵯峨野・嵐山の主要な観光エリアからは少し外れますが、周辺には松尾大社、鈴虫寺、「苔寺」として知られる西芳寺など特色のある寺社が点在しており、喧騒(けんそう)を離れてゆっくりと寺社めぐりを楽しむことができます。竹のさざめき、緑と対比する赤・だいだい・黄色の色彩、いのちを尊ぶ心を五感で感じながら、秋の情景を心に留めてはいかがでしょう。

竹の寺 地蔵院
http://takenotera-jizoin.jp

BOOK

京都で晩秋の紅葉を味わう。竹林に囲まれた穴場スポット「竹の寺 地蔵院」

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が6月7日に出版されました。&TRAVELの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。税別1200円。

バックナンバー

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PROFILE

大橋知沙

編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブックやWEB、ライフスタイル誌などを中心に取材・執筆を手がける。本WEBの連載「京都ゆるり休日さんぽ」をまとめた著書に『京都のいいとこ。』(朝日新聞出版)。編集・執筆に参加した本に『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

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