カメラは旅する

ヨセミテ公園の南玄関口の街、写真家が旅するオークハースト

「カリフォルニアのアレもコレも見たいなら、オークハーストはピッタリかも!」

シエラネバダ山脈のふもと、ヨセミテ国立公園の南に位置するマデラ郡オークハースト。ここには大自然を感じるヨセミテや、マデラ郡初の人気ビーガンカフェ、そして、南フランスをほうふつさせるシャトーまである。卒業旅行にルームメートとヨセミテまで行った時は、通り過ぎてしまったこの街を今回訪れた。ここだからこその多様なアメリカを旅しに。

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(文・写真/葛西亜理沙)

木材運搬に使われていた「ヨセミテ・マウンテン・シュガー・パイン鉄道」

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車庫から出てきた機関車。間近で見ながらランチができるスペースも設けられている

カリフォルニアまで来たらアメリカの代表的な国立公園の一つ、ヨセミテの空気を感じたい。でも、荷物を担いでトレッキングをする時間も勇気もない……。旅はどうしても欲張りになってしまう。そんな時に知ったのが「ヨセミテ・マウンテン・シュガー・パイン鉄道」。かつて木材を牽引(けんいん)していた機関車が、今は一般客を乗せ国有林の間を走っている。

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1920年代に作られた機関車。出発前は必ず念入りにメンテナンスをするそうだ

オークハースト・ダウンタウンから車で20分ほどで乗り場に着き、いざ出発! 「シュッシュッ、ガタンゴトン! ギシギシ、ポーッ!」。古くなった車体はにぎやかな音を立て、木立を走り抜けていく。大自然の中、機関車に揺られながらの森林浴は最高に心地よい。

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フロリダから家族旅行で来た女の子。松ぼっくりは彼女の顔よりも大きい

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折り返し地点で機関車の屋根から顔をのぞかせるドライバーのジョン

マデラ郡最初のビーガンカフェ「ラブ・カフェ・ビーガン」

大自然の新鮮な空気を体に入れたら、今度はおなかも満たしたくなる。マデラ郡で最初にオープンしたというビーガンカジュアルカフェで、オークハースト・ダウンタウンにある「ラブ・カフェ・ビーガン」へ。健康的なライフスタイルを求めたオーナーのトレーシー夫妻はヨセミテ近くのオークハーストに移り住み、このお店をオープンした。地元の人のみならず、遠方からここを目指す有名人も多いとか。

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オーナーのトレーシー夫妻、トリシアさんとケントさん

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ショップ内も可愛いらしいデコレーション

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テンペ(大豆発酵食品)を使ったビーガンバーガーは、お肉と勘違いしてしまうほどの歯ごたえとうまみがある

動物性のものは全く使っていないのに豊富なメニューと味がそろっている。こだわりは料理だけでなく、自然環境のことにも及び「ショップカードも名刺もエコじゃないから作らない」のだという。「今は、お店のことはネットで検索できるし、SNSでつながれるでしょ」とトリシアさん。友人やコミュニティーを大切にしながら夫婦二人三脚で築き上げたお店。ビーガン料理で心も体もほっこり健康的になってくる気がした。

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エコフレンドリーだけでなく、ドッグフレンドリーのお店でもある

緑豊かなオークハーストにたたずむ、南仏スタイルの豪華なシャトーホテル

そして、豪華なカリフォルニアも経験したいなら1度は訪れたい「シャトー・デュ・シュロー」。厳格な審査をクリアした個性ある一流ホテル・レストランのみ加盟できるフランス発の国際的な会員組織「ルレ・エ・シャトー」にリスト入りした5つ星ホテルだ。

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森に囲まれた丘陵地帯にある、9エーカーの敷地にひっそりたたずむホテルからは、オークハーストの町並みが見渡せる

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ショパンの時代のころ19世紀に作られたというピアノ

大きな門をくぐり抜け大木が連なる道を通ると建物が見えてくる。「ここはヨーロッパ?!」、思わずそんな言葉が出てしまう。このフランス・プロヴァンス・スタイルのシャトーホテルは、静かで緑豊かなこの地に魅了されたエルナ・クビン・クラニンというオーストリア出身の女性が、1984年にオープンさせたのだという。

敷地内はヨーロッパの選び抜かれた調度品や洗練された家具で飾られている。「大きなベッドで大の字」なんてことはしない、“本物”に囲まれて過ごすひとときは、自分を高めてくれるはず。

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ホテルは、雰囲気の違う客室10室、2部屋付きのヴィラ、そしてチャペルがある。ヴィラの部屋は別々に借りることも可能。心のこもったおもてなしは細部にまで行き届いている

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部屋から見える中庭の池は可愛らしく整えられていた

豪華な夕食「エルダーベリー・ハウスレストラン」

夕食は敷地内にある「エルダーベリー・ハウスレストラン」へ。天井が高く広々とした品がよい空間で、マネジャーがテーブルごとにあいさつに回っている。自分の身だしなみを再度チェックして、すっと背筋を伸ばして席についた。

お料理は、店内の雰囲気をさらに彩るように洗練されている。お皿をキャンバスにしたアートさながらに美しく調理され盛り付けられた、コロラド産バファロー肉や素潜りで取ったホタテ、新鮮な地元野菜……。ワインとともに豪華な夕食を堪能した。

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料理の説明をするマネジャー。質問をすると、とてもうれしそうに答えてくれる

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オリジナルワインもあり、お料理に合わせて選んでもらえる

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朝、ホテルから見えたレストラン。まわりには緑がいっぱいだ

翌朝、ホテルを出るとヨセミテからの新鮮な空気でシャキッとした。北米の大自然、こだわりのビーガンカフェ、そして、ヨーロッパへ旅してしまったのではと思うほどの豪華なシャトーホテル。オークハーストで、まさかここまで多様なカリフォルニアを経験できるとは予想以上だった。「せっかくここまで来たのだから」と欲張りになってしまう旅もある。そんな気持ちをかなえてくれるのがオークハーストの街だ。

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■取材協力
カリフォルニア観光局
ユナイテッド航空
ヨセミテ・マデラカウンティ観光局

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PROFILE

葛西亜理沙

フォトグラファー。

横浜生まれ。サンフランシスコ州立大学芸術学部写真学科卒業後、写真家・坂田栄一郎氏に師事。その後、独立。東京を拠点に活動。広告や雑誌などで撮影する他、個人の作品を国内外で発表している。第63回朝日広告賞入賞。第16回上野彦馬賞「九州産業大学賞」受賞。

異国情緒あふれる街、写真家が旅するサンディエゴ

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