魅せられて 必見のヨーロッパ

小さな村で極上のワインの楽しみ ハンガリーを巡る旅(3)  ヴィラーニ

ツアーの行き先としてはあまりメジャーではないけれど、足を運べばとりこになってしまう。そんなヨーロッパの街を、ヨーロッパを知り尽くした作家・写真家の相原恭子さんが訪ねる連載「魅せられて 必見のヨーロッパ」。ハンガリー訪問記の3回目は、「東のボルドー」との呼び名もあるワインの産地ヴィラーニです。

<ベルリンの壁崩壊の序章はピクニック  ハンガリーを巡る旅(2) ショプロン>から続く

「東のボルドー」と呼ばれる赤ワイン産地

ブダペストから都市間鉄道インターシティー(IC)でペーチュ駅へ。ローカル線に乗り換えて、ヴィラーニ駅に到着。4時間余りの列車の旅です。

ヴィラーニは、日本ではあまり知られていませんが、ワイン通の間では高品質なワインの生産地として注目されています。生産量の8割が赤ワインで、ドイツでは「東のボルドー」と呼ぶ人もいます。

小さな村で極上のワインの楽しみ ハンガリーを巡る旅(3)  ヴィラーニ

2両編成のローカル線でヴィラーニ駅に到着

乗客もまばらな駅に旅情を感じます。ヴィラーニはハンガリー南部にある人口2,500人ほどの小さな村。駅から村の中心へは歩いて約15分で行けます。ハンガリー国内、ドイツや近隣からの観光客が多く、クロアチアやセルビアとの国境近くにあります。辺境の地ともいえますが、私は1度訪ねて以来なぜか忘れられず、今回が2度めの訪問です。

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「クロクス・ゲーレ・ボル・ホテル リゾート&ワイン・スパ」にチェックイン

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宿泊した部屋

首都ブダペストに比べると部屋も広く、コストパフォーマンスがいいです。静かなロケーションも魅力。

ノスタルジックな街に、ワイナリー50軒以上

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村の風景

カメラを持って散策に出ると、路地の小さな教会や家々の庭は昔の絵画のようで、ノスタルジックな街並みです。

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村のあちこちにブドウ畑が

ちょうど収穫の時期。すでに収穫を終えたブドウ畑もあります。
地元のワイナリー・アドヴァイザーのサルカ氏によれば、ホテルやレストランを兼ねる規模のワイナリーは数軒だけ。ほとんどが小さな家族経営のワイナリーで、50軒以上もあるそうです。

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家族経営の小さなワイナリーの居酒屋が並びます

村のメインストリート沿いには、長屋のような小さな居酒屋が並んでいます。家族経営のワイナリーがワインとおつまみ、簡単な料理などを出す郷土色豊かな居酒屋です。訪れた日は収穫時期のため、あいにくどのワイナリーも一家総出でブドウ畑で作業中のため閉まっています。

150余年の歴史 「ワイナリー・ボック」で試飲

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「ワイナリー・ボック」の入口

ホテルとレストランを併設する「ワイナリー・ボック」を訪ねました。

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「ワイナリー・ボック」の貯蔵庫

ボトルにして年間100万本以上を生産し、その9割が赤ワイン。ほとんどが国内消費で、約15%が北米、中国、ヨーロッパ各国へ輸出されます。

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「ワインは人生」と語るオーナーのボック・ヨーゼフ氏

「ボック家は18世紀にドイツからハンガリーへ移住し、1850年からワインの生産を始めて現在に至ります」とボック氏。ホテルに宿泊してレストランでワインと料理を楽しみ、ワインを買って帰るリピーターが多いそうです。

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テイスティング用のパンとグレープシード・オイル

グレープシード・オイルはさらりとして焼きたてのパンにピッタリ。赤茶色のタブレットはサプリメント。両方ともワインを作った後のブドウの種から自社で生産したもので、抗酸化作用に優れているそうです。
ボック氏とワイン6種類をテイスティングしました。その中で特に印象的だったのは以下のワインです。

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(左)ロゼワイン「ホイリゲ」、(右)赤ワインの「ボック・キュヴェ2015」

「ホイリゲ」は美しい色彩の軽快なロゼです。ブドウの品種はポルトギーゼ。赤ワイン「ボック・キュヴェ2015」はラズベリー、チェリーなどの香りが魅力的。カベルネ・ソーヴィニヨン60%、カベルネ・フラン30%、メルロー10%です。

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「マグニフィコ2011」(左)と「カペラ・キュヴェ2007」。ともに赤ワイン

赤ワイン「マグニフィコ2011」はメルロー100%。理屈はさておき、まず「おいしい!」と感じたワイン。ベリー類、チョコレート、キャラメルのコクがあります。「カペラ・キュヴェ2007」はカベルネ・フラン60%、カベルネ・ソーヴィニヨン30%、メルロー10%。ドライフルーツやかすかにチョコレートの香りがする深みがあるフルボディです。

ヴィラーニのワインは品格があり、ブダペストのレストランでヴィラーニのワインを注文すると「お詳しいのですね!」とウエイターに言われたのを思い出します。

ハンガリーへお出かけになりましたら、ぜひヴィラーニの赤ワインを試してみてはいかがでしょう。

駐日ハンガリー大使館 https://tokio.mfa.gov.hu/jpn
オーストリア航空 https://www.austrian.com/
レイルヨーロッパ http://www.raileurope.jp

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PROFILE

相原恭子(文・写真)

慶應大学卒業。ドイツ政府観光局勤務を経て、作家&写真家。「ドイツ地ビール夢の旅」(東京書籍)、「ドイツビールの愉しみ」(岩波書店)、「ベルギー美味しい旅」(小学館)、「京都 舞妓と芸妓の奥座敷」(文春新書)、「京都 花街ファッションの美と心」(淡交社)、英語の著書「Geisha – A living tradition」(フランス語、ハンガリー語、ポーランド語版も各国で刊行)など著書多数。国内はもちろん、国際交流基金・日本大使館の主催でスペイン、ハンガリー、エストニアで講演会や写真展多数。NHK「知る楽」「美の壺」、ラジオ深夜便「明日へのことば」「ないとエッセー」、ハンガリーTV2、エストニア国営放送など出演多数。
https://blog.goo.ne.jp/goethekyoko

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