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クリスマスティーは青かった &編集長、年の瀬のパリでうっとり

今年もいよいよカウントダウン。師走ならば、華やかな街に出かけ、すてきな食事でも楽しみたいところですが、私の場合は(多くのみなさんもそうだと思いますが)、毎年なかなかそうはいきません……。仕事納めまで追いまくられ、気持ちは焦るばかり。
そんなバタバタな私に舞い込んだ、パリを訪れる機会。クリスマスムードの街を歩き、ほんの数日の滞在でも、ゆったり、うっとりとした気分になれたのです。(文・写真 &編集長・辻川舞子、トップ写真はマリアージュ・フレール)

サロン・ド・テで過ごす、優雅な昼下がり

創業当時からの建物に足を踏み入れると、そこに広がるのは、コロニアル調の優雅なインテリア。

ここは老舗紅茶専門店「マリアージュ・フレール」です。東京・銀座などに店舗があり、日本でもなじみの深いブランドですが、その本店はパリ4区のマレ地区にあります。

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マリアージュ・フレール本店

壁はお茶の缶で埋め尽くされ、カラフルなパッケージのクリスマスティーがカウンターに並べられています。カウンターの前を通り過ぎると、奥にはサロン・ド・テ(ティーサロン)が。

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お茶の缶が壁一面に

ブランドの起源は、1660年頃、ルイ14世と東インド会社が選んだ使節団の1人であったニコラ・マリアージュが、ペルシャやインド地方を旅したことにあります。お茶や香辛料の商いが家業として受け継がれ、約200年後の1854年、紅茶専門店「マリアージュ・フレール」がオープンしました。

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華やかなパッケージのクリスマスティー。戸棚にはティーポットなどが並ぶ

出迎えてくれた、フード&ベバレッジディレクターのシャルリー・シャレイロンさんが、ブランドについてこう説明します。

「私たちはこれまで世界中を旅し、すばらしい産地と出会って、1000以上ものお茶を作ることで、“フランス流紅茶芸術”を生み出してきました。つまり、私たちがつくるものは、つねにユニークでなければならないということ。それはたとえば、この青いお茶です」

そう話しながら、美しい所作でお茶をついでくれました。注ぎ口から出てきたお茶は、本当に青い!

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青いお茶が注がれる

「これは、『ノエル・イン・ラブ』という今年のクリスマスのお茶です。青い花の色が茶葉とともに抽出され、このような色になるのです」

ヘーゼルナッツ、かんきつ、砂糖漬けのフルーツなど、南仏プロヴァンス地方で食べられる伝統的な「13種のクリスマスデザート」の香りが、お茶につけてあるのだとのこと。

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今年のクリスマスティー。ピンクのパッケージは「ノエル・イン・ラブ」、黄色のパッケージは「ジャスミン・イン・ラブ」

「マリアージュ・フレールでは、クリスマスティーを1983年から製造していて、その数は現在50以上にのぼります。それらの味と香りが、お客さまをクリスマスの夢の世界へとお連れするのです」(シャルリーさん)

心待ちにしていたクリスマスケーキがやってきました。ろうそくの形をしたケーキと、ブッシュ・ド・ノエル。
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ろうそくケーキに火がともされるとわくわくします!

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赤いろうそくケーキにナイフを入れると、現れたのは真っ黒い断面。

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クリスマスティー風味のまろやかでリッチなチョコレートムースが、かんきつの砂糖漬けとハーモニーを織りなしています。白いろうそくケーキは、切ると薄い青色の断面が。こちらは、青いクリスマスティーの風味があるババロアです。中にはアサイーの実と、くるみの砂糖漬けが。ちなみに、燃える部分は、ろうではなく、安全に食べられるものだそうです。

赤いブッシュ・ド・ノエルに使われているのは、日本の抹茶と、日本とフランスの品種のイチゴ。「このケーキには、日本へのオマージュをこめています」と、シャルリーさん。

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どれも色鮮やかさに目を奪われますが、すべて自然な素材の色なのだと、シャルリーさんは言います。「一つひとつのケーキは、膨大に時間をかけて手作りされます。大量には作れないのです。私たちはそのことを誇りに思っています」

部屋を暗くして、ケーキに火をともすと歓声があがる――そんな家族や友人との温かなシーンが目に浮かびます。「お客さまに童心に返るような体験をしていただきたいと思っています」(シャルリーさん)

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シャルリー・シャレイロンさん

パリ最大級のマルシェ・ド・ノエル


マリアージュ・フレールの物づくりの精神にたっぷりと触れたあとは、チュイルリー公園を目指します。ルーブル美術館のとなりに位置し、地元の人だけでなく多くの観光客が訪れる場所ですが、ここで今、約1500万人が訪れるというパリ最大級のマルシェ・ド・ノエル(クリスマスマーケット)が開かれています。フランス各地方の特産品を提供するグルメ屋台や、移動式遊園地、スケートリンクなどが設置されています。

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チュイルリー公園で開かれているマルシェ・ド・ノエル。今回は11月15日から1月5日まで

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フランスの地方の民芸品

訪れた日は、あいにく冷たい雨が降っていて、さほどにぎわいはありませんでしたが、そんな天気をものともせず、ホットワインやフライドポテトを片手に楽しそうに語らう来園者たちの姿が印象的でした。

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この日は雨が降っていて、スケートリンクには誰もいませんでした……

街の華やぎを求めて

クリスマスらしい華やぎが見たくて、さらに歩みを進めます。ルーブル美術館の近く、白い陶器が日本でも知られている「アスティエ・ド・ヴィラット」の店前を通り過ぎようとしたら、カラフルなショーウィンドーのディスプレーに引きつけられました。

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「アスティエ・ド・ヴィラット」のショーウィンドー

よく見ると、白い木の枝につり下げられているのは、ハンバーガー、ベーコンエッグ、タピオカドリンク、ラーメン、バナナ、はたまた計算機まで……! 店の2階にも、そんな意外なアイテムのオーナメントがぎっしりと並んでいました。普通だったらキッチュになってしまうものが、このブランドの手にかかると洗練されたものになる。人気を呼ぶ理由がわかる気がしました。

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ユニークなアイテムがクリスマスの飾りに

世界の名だたる高級ジュエラーやファッションブランドが軒を連ねるヴァンドーム広場を突っ切り、オペラ座方面へ。

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ヴァンドーム広場

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ヴァンドーム広場に位置する高級ホテル「リッツ・パリ」

老舗百貨店「ギャラリー・ラファイエット」では、贈り物などを買い求める人でにぎわい、まばゆい芸術的なショーウィンドーのディスプレーに、多くの人が足を止めていました。「ギャラリー・ラファイエット」に限らず、子どもがショーウィンドーを見やすいようにと台が設けられているのを見かけますが、子どもに対するフランス人の思いを感じます。

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「ギャラリー・ラファイエット」のショーウィンドー

最後は、シャンゼリゼへ。17時ちょうど、まっすぐに伸びる大通りに真っ赤なライトがいっせいにともると、私は心の中で思わず小さな歓声を上げました。

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シャンゼリゼのライトアップ

翌日は、パリ郊外の「ヴォー・ル・ヴィコント城」へ。おとぎ話のような、クリスマスの飾り付けの展示の模様をお届けします。
(次回は12月25日配信予定です)

PROFILE

  • &編集部員

    国内で、海外で。&編集部員が話題の旅先の新たな魅力を「発見」し最新情報をリポートします。

  • 辻川舞子

    1993年、朝日新聞社に入社。広告局(現・メディアビジネス局)に配属。ファッション業界を担当し、朝日新聞のファッション面新設で日本新聞協会の「新聞広告賞」を受賞。2013年の朝日新聞デジタル「&」の創刊から編集部員として携わり、2018年6月から編集長。

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