クルーズへの招待状

魔法のメダルで快適に、新造船「スカイ・プリンセス」で行く地中海クルーズ(前編)

2019年10月に就航したスカイ・プリンセスは、乗客定員3660名、総重量14万4650トン、全長約330メートル、全幅約38メートルの新造客船。2019年11月10日、ローマ郊外のチヴィタヴェッキア港から地中海を巡る、7泊8日の斬新なクルーズに乗船しました。寄港地ツアーは、フィレンツェとワインの城、ポルトフィーノです。ジェノバでは、名店で本場のペスト・ジェノベーゼを味わいます。

(メイン写真=2019年10月に就航した新造客船スカイ・プリンセス。画像提供プリンセスクルーズ)

■連載「クルーズへの招待状」は、クルーズ旅の魅力や楽しみ方をクルーズライターの上田寿美子さんがご紹介します。

船内をぶらり、「空」を感じさせる施設

船内にはトップデッキにあるミニゴルフ場「ザ・グリーンズ」、海の見えるリラクセーションスペース「サンクチュアリ」などスカイ・プリンセスの名にふさわしく「空」を感じさせる施設が多く、明るい気分になりました。さらに16階にある「シーウォーク」は船の外側に張り出したガラス張りの遊歩道。海の上を歩いているようなスリルがたまりません。

魔法のメダルで快適に、新造船「スカイ・プリンセス」で行く地中海クルーズ(前編)

リラクセーションスペースの「サンクチュアリ」(有料)。撮影=上田英夫

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ガラスの回廊「シーウォ―ク」は、歩くたびにスリルを感じた。撮影=上田英夫

大型スクリーンが併設されたプールや、航跡を望むプールなど、趣向を凝らしたプールが複数あるのも魅力です。

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地中海に描く航跡と船尾のプール。撮影=上田英夫

船上生活の中枢ともいえるのがアトリウム「ピアッツァ」です。イベント、パーティーなどが開かれる3層吹き抜けの多目的広場のような場所で、通りがかりにクイズ大会やダンス教室を階段から見物するのも楽しいひと時でした。

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イベント会場にもなる「ピアッツァ」は通るだけでも楽しい。撮影=上田英夫

イタリアのリボルノに寄港、フィレンツェとワインの城を散策

最初の寄港地はイタリアのリボルノ。トスカーナ州にある古都で、かつてメディチ家の主要港として栄えた歴史があります。そこでこの日は、メディチ家の統治下でルネサンスの文化を謳歌(おうか)したフィレンツェと、広大なトスカーナのワイン畑にたたずむ古城を訪問するオプショナルツアーに参加しました。

リボルノからバスに揺られること約1時間でフィレンツェに到着。晩秋のフィレンツェの町を散策しました。2時間あるフリータイムの解散・集合場所はフィレンツェ最古の広場サンタ・クローチェ広場。この広場に面して建つサンタ・クローチェ教会は、フランシスコ会最大の教会で、ミケランジェロ、ガリレオ・ガリレイなど、有名なイタリア人の埋葬所があるため「イタリアの栄光のパンテオン」とも呼ばれています。

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ミケランジェロ、ガリレオ・ガリレイなどが眠るサンタ・クローチェ教会。撮影=上田英夫

ルネサンスの面影を残す町並みを進むと、アルノ川にかかるポンテ・ベッキオ(古い橋の意味)が見えてきました。現在の橋は1345年に再建され、色彩豊かな家が建つ橋であることが特徴です。実は、第2次世界大戦のときにアルノ川にかかる橋はドイツ軍により爆撃されましたが、ベッキオ橋だけは爆撃を免れたそうです。橋の上に宝石店や貴金属店がずらりと並んでいることもユニークで、まばゆい光を放つ左右の店を行ったり来たり……。おしゃれな橋を計3往復しました。

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フィレンツェで最も古い橋ポンテ・ベッキオ。撮影=上田英夫

その後、バスでキャンティ地方へ向かいました。なぜなら、この日の昼食会場は、広大なワイナリーを有するワインの城、カステッロ・ビッキオマッジョなのです。糸杉に囲まれた山頂にそびえる城は、レオナルド・ダビンチも滞在したという由緒ある古城です。現在、ホテルとしても使われています。

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眼下にワイン畑を見下ろす城、カステッロ・ビッキオマッジョ。撮影=上田英夫

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古城内のワインレストラン。撮影=上田英夫

城内レストランでは、早速、ビッキオマッジョ・ワイナリーの逸品と評されるキャンティ・クラシコのラ・レッレラがふるまわれました。前菜はサラミとクロスティーニ(イタリアのパン料理)の盛り合わせ。そして最も驚いた料理は給仕が「精がつくからこれを食べて体を温めてくださいね」という言葉と共に取り分けてくれた、トスカーナの野生イノシシのラグーソースパスタ。野趣に富んだ味わいが印象的でした。デザートワインはビッキオマッジョのサン・ジャコポ。ワインのふくよかな甘さと、トスカーナの伝統的焼き菓子カントッチョの香ばしさは良く合いました。

スカイ・プリンセスの新システム「メダリオンクラス」

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メダルを持ち、ドアのそばに来ると自動的に鍵が開く新システムが便利。撮影=上田英夫

ところで、スカイ・プリンセスは「メダリオンクラス」という新しいシステムを最初から搭載したプリンセスクルーズ初の客船であることでも話題を呼びました。乗船時にもらうメダル(「オーシャン・メダリオン」という名のウェアラブルデバイスで、ペンダントやリストバンド、ポケットに入れるなどして身に着ける)を持っていると、不思議なことや、便利なことが次々に起こるのです。例えば、自分の客室に近づくと部屋の鍵が開くので、いちいち鍵を探す必要がありません。また、乗下船の際の在船確認も、バーでの支払いも、このメダルをかざせばできます。日進月歩で進化する新造客船のパワーを感じました。

ジェノバに寄港、高級リゾート地ポルトフィーノを散策

二つ目の寄港地はジェノバ。リグーリア州の州都であり、中世には海洋国家・ジェノバ共和国として栄えた伝統の港町です。

この日もオプショナルツアーに参加。なぜなら、スカイ・プリンセスのそれは、種類も多く、利便性も高く、かつ個人では体験しにくい特別感のあるツアーも行われているからです。まず、観光船に乗り、世界のセレブがやってくる高級リゾート地ポルトフィーノへ。丘の上の黄色いサン・ジョルジョ教会は、ポルトフィーノの守護聖人サン・ジョルジョをまつった教会で、その前の広場から見るカラフルな家並みと青い入り江はおとぎの国のような可愛らしさです。

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おとぎの国のようなカラフルなポルトフィーノの家並み。撮影=上田英夫

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ポルトフィーノの丘の上に建つ黄色いサン・ジョルジョ教会。撮影=上田英夫

夏場は、富豪たちの高級ヨットが並び、観光客でにぎわうリゾートも、11月はしっとりとした落ち着きが心地よく、客のいない海辺のカフェに入り、ビールを頼むと、「こちらもどうぞ」と店の主人がオリーブやチーズの大皿もりをサービスしてくれました。そこへ、昨日のワインの城で一緒だったアメリカの夫婦が通りかかり、「ビールがおいしそう」と合流。イタリアの小さな村で、のどかな時間を過ごし、ジェノバに戻りました。

ジェノバと言えばペスト・ジェノベーゼ、名店「ゼッフィリーノ」へ

ところで、この町の名物料理と言えばペスト・ジェノベーゼがあります。この日のランチは、そのペスト・ジェノベーゼで有名なレストラン「ゼッフィリーノ」です。1939年に創業し、歴代のローマ法王や、歌手のルチアーノ・パバロッティ、フランク・シナトラなども訪れた老舗。スカイ・プリンセスのツアーでは、食べるだけではなく、4代目のオーナーによる解説で「ペスト」と呼ばれるジェノベーゼソースを作る実演を見学しました。

魔法のメダルで快適に、新造船「スカイ・プリンセス」で行く地中海クルーズ(前編)

ジェノベーゼの名店「ゼッフィリーノ」で秘伝のペストの作り方を習う。撮影=上田英夫

コツは新鮮なバジルを準備し、ニンニク、松の実などを粘り気が出るまですりつぶすこと。ペストに最も合うといわれている1本4~5センチメートルのパスタ、トロフィエと、ラビオリの2種類のジェノベーゼが出来上がり、本場の味を楽しみました。

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2種類のパスタを使ったジェノベーゼ。撮影=上田英夫

ジェノバはこの地中海クルーズで最後のイタリアの港。出航後は、ジャズシアター「テイク・ファイブ」でジャズ演奏を聴きながら、翌日訪れるフランスのトゥーロンに思いをはせたのでした。

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船の夜は、ジャズシアター「テイク・ファイブ」で粋な大人の時間を。撮影=上田英夫

■このクルーズの問い合わせ先
・プリンセスクルーズ
https://www.princesscruises.jp

PROFILE

上田寿美子

クルーズライター、クルーズジャーナリスト。日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。クルーズ旅行の楽しさを伝え続けて30年。外国客船の命名式に日本を代表するジャーナリストとして招かれるなど、世界的に活動するクルーズライター。旅行会社等のクルーズ講演も行う。著書に「豪華客船はお気に召すまま」(情報センター出版局)、「世界のロマンチッククルーズ」(弘済出版社)、「ゼロからわかる豪華客船で行くクルーズの旅」(産業編集センター)、「上田寿美子のクルーズ!万才」(クルーズトラベラーカンパニー)など。2013年からクルーズ・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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バルコニーで快適に、スカイ・プリンセスで行く地中海クルーズ(後編)

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