あの街の素顔

しまなみ海道の絶景を自転車のスピードで楽しむ旅

何かにチャレンジする旅がしたい! そんな時に思いついたのが広島の尾道から愛媛の今治まで続く「しまなみ海道」を自転車で巡る旅。現地ではレンタサイクルも完備、自然美あふれる景色に癒やされ、達成感が得られるのが魅力。しまなみ海道の絶景とグルメを自転車のスピードで楽しみまくる旅に出た。(メイン写真=しまなみ海道と筆者の友人)

(文・写真 鈴木博美)

しまなみ海道とは?

しまなみ海道の絶景を自転車のスピードで楽しむ旅

尾道と今治を結ぶルートは全長約60km。その間に七つの橋で結ばれた向島・因島・生口島・大三島・伯方島・大島を走り抜ける。瀬戸内の島々を寄り道しながら巡るのが、しまなみサイクリングの大きな魅力。米国メディアCNNの「世界の最も素晴らしい七つのサイクリングルート」に選ばれたことから、多くの外国人旅行客も気軽にサイクリングを楽しんでいる。各島のスポットに立ち寄りながら走ると8〜10時間ほどかかるが、このスピードこそがしまなみ海道を楽しむのにピッタリ。寄り道しながら島の味を楽しむ。それこそが自転車旅の面白さというものだろう。

旅の準備

しまなみ海道の絶景を自転車のスピードで楽しむ旅

後悔しない自転車旅にするには準備は不可欠。体調はもちろんのこと、持ち物や服装も考えなくてはならない。そこで出発前の準備に役立つ情報を伝授したい。

●レンタル自転車――オススメは公営のしまなみレンタサイクル。島ごとにターミナルがあり、自転車台数が多くリーズナブルで乗り捨てが可能。事前予約で好みのタイプの自転車が借りられるが、アップダウンが多いのでギア付きクロスバイクをオススメしたい。ヘルメットはレンタサイクル1台につき、ひとつ無料で借りることができる。

●旅程――各島で寄り道しながら走ると想定以上に時間がかかるし、日没後の走行は危険。無理をせず途中の島で1泊するという方法も。どの島にもゲストハウスや古民家を改装した宿、旅館などサイクリスト・フレンドリーな宿がたくさんある。

●服装&あると便利なアイテム――服装は速乾性と伸縮性のある素材がいい。登山ファッションが動きやすくてオススメ。レインジャケットは突然の雨風対策として持っていたい。グローブは手のひらの痛み、特に上り坂ではハンドルを強く握るためマメ予防になる。腰ベルトが付いているリュックは揺れにくく体への負担が少ない。また、長い時間自転車に乗っているとおしりが痛くなってくるので、パット入りのサイクルパンツやクッション性の高いサドルジェルカバーを用意しておくのもいい。

しまなみ海道を走る

Day1
09:50 尾道駅

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今回は尾道から今治駅までを1泊2日で走り抜ける計画。本日宿を取っている大島までは50kmほど。まずはレンタサイクルを借りに尾道駅前にある尾道港へ!

10:00 尾道港レンタサイクルターミナル

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しまなみレンタサイクルは尾道駅の目の前にある港のターミナルビルに併設されている。事前に予約しておけば、並ばずに手続きできるので時間の節約になるし、希望の車種を確保しておいてくれる。ちなみに今回の行程で3,300円。(1日@¥1,100×2日、保証料¥1,100円。乗り捨ての場合は返金なし)

10:45 尾道港から渡船で向島へ渡りサイクリング開始

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県道を西側に走り、海沿いへ。アップダウンなく快適な走行。車道のブルーラインがサイクリングロード推奨ルートとなっていて、これに沿って走れば迷うことはない。スタートから20分、早速最初の橋「因島大橋」が見えてきた。各橋は、自転車でも登りやすいように傾斜のゆるいスロープが設置されている。とはいえ、海面から58mの高さに架かる橋まで自転車のギアを軽くして1700mの上り坂をこぐのはかなりしんどい。これは他の橋でも同様で避けられない試練だ。因島大橋は2層構造で、自転車と歩行者は下層の網の中を通行する。自転車通行料金は「しまなみサイクリングフリー」企画により、2020年3月まで期間限定で無料となっている。

12:45 生口島

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スタートから約25km。因島を通過し、本日二つ目となる斜張橋の生口橋を渡ってレモンの島、生口島へ。ここではお目当ての手作りジェラート屋で最初の休憩。瀬戸田のレモンや伯方の塩など、冷たくておいしい瀬戸内の恵みをいただきます!

しまなみ海道の絶景を自転車のスピードで楽しむ旅

しまなみ海道の絶景を自転車のスピードで楽しむ旅

再び走り始めて10分も経たないうちに瀬戸内のレモンケーキを販売する「島ごころ」に引き寄せられまた休憩。生口島の瀬戸田町はレモンの出荷量が日本一。 低農薬で皮まで安心して食べられる。そんな安心レモンを使った優しいスイーツを食べないわけにはいかない。爽やかなレモンサイダーがのどを潤し、甘酸っぱいレモンケーキは初恋を思い出す間もなく完食した。

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続けて300mしか離れていないけどランチ。お目当ての名物タコ料理を満喫。瀬戸田の海はタコが生息するのに良い環境が整っているそうだ。タコ飯、タコ天、タコの唐揚げ。タコざんまいのご当地料理でパワーチャージ。生口島はしまなみ海道の中でも名物料理店が多く、おなかと心が満たされる。

14:30 耕三寺で天国と地獄を体験する

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ランチの後は耕三寺を見学。平等院鳳凰堂や日光東照宮陽明門など有名建築物を模した多種多様な堂塔が並ぶ敷地内は、まるで寺院建築博物館。モデルになった建築物の多くは国宝や重要文化財に指定されているという。

しまなみ海道の絶景を自転車のスピードで楽しむ旅

敷地内を進んで行くと「千仏洞地獄峡」と看板を掲げた洞窟の入り口を発見。仏教の地獄観を体感できるというスポット。岩壁に掲示された衝撃的な地獄絵図は妙に説得力があり戒められる。さらに洞窟内には千体におよぶ石造りの仏像が安置されている。

しまなみ海道の絶景を自転車のスピードで楽しむ旅

洞窟を出ると白い大理石で建設された未来心の丘へ続く。暗い洞窟から天国にたどり着いたような演出で真理に迫る。仏教護法善神の十二天をイメージした彫刻群は人、神、自然の調和を表現しているようだ。

16:00 多々羅大橋

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耕三寺を後に、再び走り始めること30分ほど。生口島と大三島を結ぶ多々羅大橋は国内最長1,480mの斜張橋で世界では5位。橋の主塔の下に置いてある拍子木をたたくと、真上の支柱に音が反響して共鳴する「鳴き龍」を体験。

しまなみ海道の絶景を自転車のスピードで楽しむ旅

橋の途中が広島県と愛媛県の県境になる。橋から眺める瀬戸内海の美しい景色もじっくり見ていたいが、空模様が怪しくなってきたので先を急ぐ。

16:20大三島

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多々羅大橋を渡り橋のたもとにあるサイクリストの聖地記念碑で記念撮影。日没まであと1時間。ここから14km先の本日の宿までノンストップで走る。

17:45 大島

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大三島から伯方島、そして大島に渡り、本日の宿に無事到着。途中の休憩や観光を併せても約7時間で50kmを走破したことになる。そんな身体を癒やしてくれる築100年の古民家の宿「尾形の家」は、大島の海を見下ろす高台に建つ。囲炉裏と暖炉のあるリビングルームがある和洋折衷スタイルで、大正時代のクラシカルな雰囲気が素敵だ。2部屋、最大7人のみ宿泊可能。この日はタイから来たサイクリスト2人組が宿泊していた。

Days2
06:50 ゴールの今治駅に向けて出発

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目覚めると、雨は降っていないものの雲行きが怪しいし天気予報でも朝から雨とのことだ。おかみ特製のおいしいフレンチトーストをいただき早めに宿を出発する。大島はしまなみ海道の中で最もアップダウンがあり、だらだらとした長い坂が続く。10kmほど走り、来島海峡大橋が見えて来たところでとうとう雨が降り出した。

しまなみ海道の絶景を自転車のスピードで楽しむ旅

来島海峡大橋は、大島と今治の間約4kmの来島海峡に架かる総延長4.1kmの3つのつり橋の総称。どんよりとした小雨混じりの天候は残念だが、かすんだ景色に広がるエメラルドグリーンの瀬戸内海はとても神秘的。ここまでくればゴールはもうすぐ。

08:25 JR今治駅

雨の来島海峡を渡り、今治駅臨時レンタサイクルターミナルに無事到着。天候の影響で駆け足の2日目となったが、これで合計80kmを走破した。太ももとお尻は思ったほど痛くなく、持参した筋肉痛スプレーの出番はなかった。

しまなみ海道の絶景を自転車のスピードで楽しむ旅

しまなみ海道は美しい景色にご当地グルメ、そして世界にもまれな海上のサイクリングコースに大いに魅了された2日間だった。次回はいくつかの島をじっくりとサイクリングするのも楽しそうだ。

PROFILE

  • 「あの街の素顔」ライター陣

    こだまゆき、江藤詩文、太田瑞穂、小川フミオ、塩谷陽子、鈴木博美、干川美奈子、山田静、カスプシュイック綾香、カルーシオン真梨亜、シュピッツナーゲル典子、コヤナギユウ、池田陽子、熊山准、藤原かすみ、矢口あやは、五月女菜穂、遠藤成、宮本さやか、小野アムスデン道子、石原有起、高松平蔵、松田朝子、宮﨑健二、井川洋一、草深早希

  • 鈴木博美

    旅行業界で15年間の勤務を経てフリーの旅行家に。旅を通じて食や文化、風土を執筆。日本航空機内誌のほか、新聞雑誌等に海外各地の旅の記事を寄稿。著書に一人旅に役立つ電子書籍「OL一人旅レシピ」インド編、カンボジア・ベトナム編、エジプト編、世界中のおいしい料理をおうちで作る「いつもの食材で作る世界の料理レシピ」。ブログ「空想地球旅行」で旅のあれこれを発信中。

ヤマネコ、とんちゃん、砲台跡 対馬・上島を味わい尽くす

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