あの街の素顔

ダンジョン? 神殿? 地下30mの息をのむ巨大空間 大谷資料館で冬限定の光景を

ここはダンジョンか、はたまた神殿か――。宇都宮市にある「大谷(おおや)資料館」では、地下の巨大空間でそんな息をのむ体験ができます。資料館のある大谷町一帯は、「大谷石」と呼ばれる凝灰岩の産地で、あちこちに採掘場が点在しています。資料館は、一般公開されて観光スポットとなっている地下採掘場跡なのです。迫力満点のこの空間に、冬季限定で公開中の場所があると聞き、さっそく足を運んでみました。(文・写真・動画:こだまゆき、トップ写真は資料館地下の巨大空間)

【動画】大谷資料館の地下を「探検」

「大谷石」の採掘場跡

大谷町は、宇都宮市中心部から北西約8㎞に位置し、このあたりでは石でできた蔵などの建物をよく見かけます。大谷石の採掘場のほとんどは地下にあって、通常では目にすることのない地表下数十メートルのところに坑道が作られています。

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坑内へはこの建物から


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資料館の目の前の景色も圧巻です

「大谷資料館」の入り口から階段を下りると、突如目の前に巨大な空間が広がり、初めて見た人は誰もが息をのみます。

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入場料を払って地下坑内へ。緩やかにカーブする階段の先には……


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このような巨大地下空間が目の前に!

広さは約2万㎡と、野球場がすっぽりと入ってしまう大きさ。1919年から1986年までの約70年をかけて大谷石を掘り出して出来た巨大空間が地下30mの場所に存在するのです。公開されているのはこれでも全体の3分の1程度といいますから驚きです。

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真夏は「天然の冷蔵庫」と呼ばれて聞こえはいいのですが、外より20℃も気温が低い場所。半袖で入って震え上がる人が多いという


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夏場は湿度が上がって天井にかすみが漂い地面がぬれているのだとか。地下空間も夏と冬では雰囲気が変わるのですね

採掘が機械化される1960年ごろまでは、ツルハシなどの道具を使っての手掘りでした。階段に使われる厚さ18㎝×幅30㎝×長さ90cmの石を1本掘るのに、ツルハシを約4000回も振るったのだそう。さらに掘りだした150㎏にもなる石材を背負い、グラグラ揺れるはしごを使って地上に運んでいたそうです。

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坑内の展示。機械化される前はこのように手掘りで石を切り出していました

掘り出された大谷石は、石垣や塀、教会やお寺などの石材として使われています。代表的な建物では、アメリカの建築家フランク・ロイド・ライトが設計した旧帝国ホテルがあります。加工がしやすく耐火性、耐震性、防湿性に優れているのが大谷石の特徴です。

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天井に四角く空いた穴は、採石時に地上に出て位置を確認するために開けたもの


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ポスターなどで使われるフォトスポットがこの場所。ライトに照らされた石が幻想的です


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壁に残る溝はアートのよう

冬場に現れる「石の華」とは

年間平均気温は8℃前後で、真冬は1℃くらいまで下がるというこの地下空間には、今の時期にしか見られないものがあります。それは壁面に付着した白くてふわふわした結晶のようなもの。大谷石に含まれる塩分が乾燥する冬場に噴き出るもので、大谷資料館ではこれを「石の華」と呼んでいます。

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11月~5月の乾燥する時期にしか見られない「石の華」。石から塩分が噴き出るという不思議な現象です

非公開の教会ゾーン、1月中は公開

「石の華」と同じく、今しか見られないものがもう一つ。普段は非公開の教会ゾーンです。実はこの地下空間には結婚式が挙げられる場所があるのです。地上から天然光が差し込む幻想的な光景で、その厳かな雰囲気は結婚式にぴったり。この石の地下教会では、年間約20組のカップルが誕生しているそうですよ。1月末までの期間限定特別公開をお見逃しなく。

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普段は非公開の教会ゾーン


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頭上から太陽光が差し込む神秘的なスポット

このように大谷資料館は、さながらエジプトのピラミッド内部や地下神殿に迷い込んだかのよう。そんな幻想的な光景から、プロモーションビデオや映画・ドラマのロケ地として使われたり、展覧会や演奏会の会場としても重宝されています。撮影に使われた作品はパネルで紹介しているのでぜひチェックを。見たことがある作品が「ここだったんだ~!」と思うと、また見返したくなりますよ。

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所要時間は小一時間。歩きやすい靴で。もちろん防寒必須です


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地上階には手掘り時代の道具やその後導入された機械などを展示するコーナーも

地下空間から地上世界へと戻ってきたら、隣接する「OYA MUSEUM ROCKSIDE MARKET」でひと休みするのがおすすめです。店内には大谷石を使ったインテリアが置かれていておしゃれな雰囲気。栃木県産のそば粉を使ったガレットや素材にこだわった本格ジェラートが人気です。セレクトショップにある大谷石を利用したコースターなどの小物はお土産にもぴったりです。

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資料館と隣接しているカフェ&ショップ「OYA MUSEUM ROCKSIDE MARKET」


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石と木のぬくもりを感じる店内は、カフェとクラフト雑貨のセレクトショップからなっています


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カフェメニューは地元のそば粉を使ったガレットやスープなど。ショップではアロマオイルストーンや鉢カバーなど大谷石を使ったアイテムが人気

大谷資料館
http://www.oya909.co.jp/

OYA MUSEUM ROCKSIDE MARKET
https://oya-rsm.co.jp/

PROFILE

  • 「あの街の素顔」ライター陣

    こだまゆき、江藤詩文、太田瑞穂、小川フミオ、塩谷陽子、鈴木博美、干川美奈子、山田静、カスプシュイック綾香、カルーシオン真梨亜、シュピッツナーゲル典子、コヤナギユウ、池田陽子、熊山准、藤原かすみ、矢口あやは、五月女菜穂、遠藤成、宮本さやか、小野アムスデン道子、石原有起、高松平蔵、松田朝子、宮﨑健二、井川洋一、草深早希

  • こだまゆき

    知らない土地での朝食がなによりも楽しみなフォト派のライター。iPhoneで撮るのも一眼レフで撮るのもどちらも好き。自由で気ままな女性ならではの目線で旅のレポートをお伝えしています。執筆業は旅関連の他、デジカメ、雑誌コラム、インタビューなど。趣味は顔ハメパネル。

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