京都ゆるり休日さんぽ

もしも雪が降ったら? 雪化粧の似合う京都「貴船神社」を訪ねてはいかがでしょう

京都を訪れる日、もしも雪が降ったら。暖かなコートに身を包み、すべりにくい靴を履いて、その時にしか見られない景色を訪ねてはいかがでしょう。今回ご紹介するのは、洛北の霊峰・鞍馬山の山中に位置する「貴船神社」。1月中旬~2月末のもっとも雪が降りやすい時期に、雪景色に合わせたライトアップや夜間拝観を実施しています。

(メイン写真=photolibrary〈https://www.photolibrary.jp〉)

■暮らすように、小さな旅にでかけるように、自然体の京都を楽しむ。連載「京都ゆるり休日さんぽ」はそんな気持ちで、毎週金曜日に京都の素敵なスポットをご案内しています。
(文:大橋知沙)

もし、雪化粧の貴船神社を訪ねられたら

貴船神社は、賀茂川の源流にまつられ、水をつかさどる高龗神(たかおかみのかみ)を御祭神とする古社です。創建年代は不明ながら、約1300年前には社殿の建て替えがあったとの記録から、京都でもっとも古い神社の一つ。境内には、樹齢数百年の巨木がどっしりと根を下ろし、一歩足を踏み入れるとすがすがしく力強い“気”を感じるスポットです。

表参道の石段(画像提供:貴船神社)

表参道の石段に雪が降り積もる光景。春日灯篭(かすがどうろう)の朱色との対比も美しい(画像提供:貴船神社)

古来、降雨・止雨などについて祈られてきた貴船神社にとって、雪もまた、おそれ尊ぶ水のすがた。京都で雪が降る機会の多い1月中旬~2月末は、雪景色の貴船神社を見られるかもしれないチャンスです。山間部のため、街中で降雪がない時でも貴船では白銀の世界が広がっていることも。本宮へと続く表参道の石段が雪化粧された光景は、神聖で凜とした気配が漂います。朱色の春日灯篭(かすがどうろう)と雪の白とのコントラストの美しさには、思わずため息がこぼれるはず。

本宮の本殿

本宮の本殿。1055(天喜3)年、奥宮から現在の場所へ。葉を落とした冬の木々にも白い雪の花が咲く(画像=photolibrary

1月18日(土)~2月末までの毎週土曜日、貴船神社では積雪日限定のライトアップも開催。通常午後6時までの冬季の拝観時間が延長され、午後8時まで光に照らされた雪の貴船神社を訪ねることができます。適度な積雪があり、ライトアップが開催される際は、当日午後3時までに公式サイト及びSNSで発表。天気予報とともにこまめにチェックして、貴重な雪景色をひと目見に出かけたいものです。

水の神様からの白銀のギフトを感じて

貴船神社の社殿は本宮、結社(ゆいのやしろ)、奥宮(おくみや)に分かれ、貴船川上流に位置する奥宮が創建の地と伝えられています。水害のため1055(天喜3)年、高台にある現在の本宮の場所に奉還。しかし現在でも奥宮は本宮と同じく祭祀(さいし)が続けられています。

「水占みくじ」(画像提供:貴船神社)

「水占みくじ」は御神水に浮かべると運勢が浮かび上がる(画像提供:貴船神社)

参拝の際には、貴船川の水音や数百年の樹齢を重ねた木々の気配に心を澄ませながら、本宮から順にめぐってみてください。本宮には茶事などにも珍重される御神水が湧き、水に浮かべると運勢が浮き上がる「水占(みずうら)みくじ」で運勢を占うこともできます。

えんむすびの神様「結社」

えんむすびの神様「結社」。和泉式部の歌碑も祀(まつ)られている(画像提供:貴船神社)

結社は、えんむすびの神様としても知られる、本宮と奥宮の間に中宮として鎮座する社。平安時代、歌人・和泉式部が夫の心変わりに悩んで参詣(さんけい)し、歌を捧げて願いを成就させたというエピソードが残されています。ここでは、若草色の手紙に願いをしたためて結ぶ「結び文」を奉納する場所が。恋愛成就だけでなく、仕事や学問での縁を願う人も多く訪れます。

「結び文」(画像提供:貴船神社)

「結び文」は本宮の社務所で授与してもらえる。願いをしたため、結社の納め処へ結んで(画像提供:貴船神社)

結社から川沿いの道を奥へと進み、ひとつの根から2本の幹が寄り添うように立つ樹齢千年といわれる「相生の大杉」を過ぎると、奥宮の鳥居があります。境内に一歩足を踏み入れると、時空を超えたような錯覚におちいる神聖な雰囲気。貴船の木々に抱かれ、つつましく厳かにたたずむ社殿を前にすると、自然と心が静まります。

もしも雪が降ったら? 雪化粧の似合う京都「貴船神社」を訪ねてはいかがでしょう

奥宮の鳥居。奥に本殿と、創建にゆかりのある船形の石組み、杉とカエデが和合した御神木「連理の杉」などがある(画像=photolibrary

貴船は「気生根(きふね)」とも称され、気力や生気の源となる地。古くより悩みや疲れを癒やしに人々が訪れ、水と緑と大地に生きる力を与えてきたとされます。生命がじっと寒さに耐え、次なる芽吹きのエネルギーをためている冬の貴船から、ぜひ心強いパワーを感じてください。もしも雪が降ったら、それは水の神様からの白銀のギフトなのかもしれません。

貴船神社
http://kifunejinja.jp/
*積雪日限定ライトアップは、1月18日(土)~2月29日(土)の毎週土曜日、適度な積雪があった日のみ開催。開催する場合は当日午後3時までに公式サイト・SNSで発表。夜間拝観は本宮のみ。

特設サイト(http://kifunejinja.jp/winter2020)の注意事項をご確認ください。

BOOK

もしも雪が降ったら? 雪化粧の似合う京都「貴船神社」を訪ねてはいかがでしょう

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が6月7日に出版されました。&TRAVELの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。税別1200円。

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PROFILE

大橋知沙

編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブックやWEB、ライフスタイル誌などを中心に取材・執筆を手がける。本WEBの連載「京都ゆるり休日さんぽ」をまとめた著書に『京都のいいとこ。』(朝日新聞出版)。編集・執筆に参加した本に『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

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