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常夏の国・フィジーの「隠れた楽園」へ 極上リゾートで“おこもり旅”を満喫

真冬の日本にいると、恋しくなるのは常夏のディスティネーション。飛行機の中で、分厚い靴下もダウンジャケットも脱ぎ去って、いざ燦々(さんさん)と降り注ぐ日ざしの下へ! 成田空港から、直行便でおよそ9時間。南太平洋の楽園、フィジーに行ってきた。(文・写真:&編集部・岡田慶子)

【動画】南国フィジーへ 伝統の歌と踊り、うわさの「カバ」体験も

訪れたのは、333の島々が点在するフィジーの中でも、バヌアレブという北部の島だ。首都のあるビチレブ島に次いで2番目に大きなこの島は、未開の熱帯雨林が広がり、「フィジーの隠れた楽園」とも呼ばれる。無垢(むく)で豊かな自然に抱かれ、快適なリゾートライフを満喫できるとあって、“おこもり派”にはうってつけの旅先だ。

バヌアレブ島へは、フィジーの玄関口であるナンディ国際空港から、国内線に乗り継ぐ。わずか19席のプロペラ機に乗って、窓いっぱいの青い海を眺めること1時間。

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サブサブ空港。チェックインや荷物の受け渡しは左側の建物で

降り立ったサブサブという町の空港は、まるでローカルなバスターミナルのたたずまいだ。食堂や雑貨店が集まるメインストリートも、20分あれば回れるほどのコンパクトさ。この島ではやっぱり、あちこちのスポットを巡って忙しく過ごすよりも、ひとところに落ち着いてスローな旅を楽しむ方がしっくりくる。

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バヌアレブ島の高台から

多彩なリゾートが集まるバヌアレブ島

街が位置する半島には、隠れ家のような良質なリゾートが集まる。今回は4カ所を訪れたが、そのどれもが驚くほどユニークだった。たとえば、ジャン・ミッシェル・クストー・フィジー・アイランド・リゾートは、「ダイビングの神様」とも呼ばれる世界的な海洋探検家、クストーらがオープンしたリゾート。

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プールの奥に、キッチンの三角屋根がそびえる。フィジーの伝統で、高い屋根は権力や地位の象徴とされるそう。ここではシェフに敬意を示すため、キッチンの屋根をリゾートで最も高くしている

ヤシの木や南国の花々、ハーブがふんだんに生い茂る敷地には25棟のブレ(コテージ風の独立した客室)が点在し、プライベート感たっぷり。自然の素材を生かした伝統的なフィジアン様式のブレは、高い天井と大きなルーバー窓のおかげで、室内にいてもやさしい自然の風が心地良い。

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自然の素材がふんだんに使われたブレ

「このリゾートでは、自然環境とライフスタイルのバランスを最も大切にしています」とは、マリンバイオロジスト、ジョニーさんの言葉。キッチンから出る生ゴミは堆肥(たいひ)にし、パパイア、トマト、サツマイモといった作物を育てる敷地内のオーガニックガーデンで使う。使用済みの水は敷地内の濾過(ろか)装置を使って再利用するほか、マングローブの植林にも取り組むなど、一貫してエコフレンドリーなリゾートを追求している。

サバシ・アイランド・リゾートは、わずか10棟のビラからなるリゾート。船を改装した客室(!)に泊まることもできて、ルームタイプごとに雰囲気はガラッと変わる。

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サバシ・アイランド・リゾートには、こんな洞窟が。プライベートな空間で、ロマンティックな食事も楽しめる

透き通った海、美しい砂浜……と、フィジーと聞いて真っ先にイメージするような光景も、リゾートから目と鼻の先。海とひとつなぎになったようなインフィニティプールを備えた客室も多く、「ホテルは寝るだけ」なんてもったいない!と実感する。

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青い空! 青い海! サバシ・アイランド・リゾートで(パノラマモードで撮影)

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食事もおいしい。ランチは、ココナッツカレーソースがかかった白身魚のグリル

ナマレ・リゾート&スパは、16歳以上だけが宿泊できる大人の空間だ。食事や、アルコールを含む飲み物に加え、シュノーケリング、カヤック、乗馬、ハイキングといった様々なアクティビティー(ダイビング、スパ、マッサージを除く)も、オールインクルーシブ。

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ブレの中は驚くほど広い

210ヘクタールの広大な敷地には、屋内のボウリング場やバスケットコート、シミュレーションゴルフの設備まであり、何日いても飽きそうにない。

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ハート形のジャグジーは、ハネムーンにぴったり。岩穴から海水が吹き出すブローホールも見える

村人たちのおもてなし。うわさの「カバ」、その味は……?

心に残る体験ができたのは、コロ・サン・リゾート&レインフォレスト・スパだ。ここでは半日ツアーに参加し、ローカルな村と滝を訪れた。

島の西部にある滝へは、リゾートの車で40分ほど。道中1軒の商店に立ち寄ると、戻ってきたガイドのアリーさんの手には、新聞紙の包みがあった。聞けば、ヤンゴーナというコショウ科の木で、これを村人への手土産に、村の滝へ立ち入る許可をもらうのだそうだ。

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村人たちが迎えてくれた「集会所」

幹線道路から舗装されていない山道に入り、大きな屋根のある集会所のような場所に着いた。車を降り、用意してもらったバスタオルを腰に巻く。村ではひざの見えるファッションや、女性のパンツスタイルがマナー違反になるからだ。グループ最年長の男性を先頭に、男性、女性の順で1列になって集会所に入っていく。

迎えてくれたのは、3人の村人。タノアと呼ばれる木製の大きな器には、私たちをもてなすためのカバが、たっぷりと用意されている。

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村人が振る舞ってくれたカバ

このカバ、手土産にもしたヤンゴーナの木の根を乾燥させて砕き、水と混ぜてつくる飲み物。乳白色だったり、ベージュがかっていたり見た目はいろいろで、外国人にはインパクトが強いけれど、フィジーでは宗教的、社会的な儀式にも用いられる大切なものだというから、もちろんありがたくいただく。

カバを注いだココナツの殻を差し出されたら、手をたたいて、「ブラ!(こんにちは!というあいさつのほか、健康を祈り、生命を祝福する意味もあるそう)」と言って、それから……。同行者に教わった、急ごしらえの作法でカバを受け取り、一気に飲み干す。

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「集会所」では、村人たちから工芸品を買うこともできる。小銭を用意して出かけよう。女性たちが広げているのは、タパクロスと呼ばれる工芸品

舌先にピリッとした刺激を感じるけれど、かすかに乳酸菌飲料のようなマイルドさもあるような……? うん、聞いていたより、ずっと飲みやすい。

同行者は「この村のカバは、ワイルドな感じですね」と言っていたけれど、それは滞在中、あらゆる機会にカバを飲み続けた熟練者の言葉。ビギナーの私には、わからなかった。

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滝をめざし、森の中を歩いていく

いよいよ滝に向かう。途中、バナナやタロイモなどの南国らしい植物が生い茂る森を歩けば、現地の子どもたちが列の前後に加わり、道案内をしてくれる。「ブラ!」。カメラを向けて声をかけると、みんなそろってポーズ。キラキラと無邪気な瞳に、思わずこちらのほおが緩む。

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村で会った人たち。大きな笑顔に元気をもらう

ほどなく滝が見えてきた。青空のもと、勢いよく流れ落ちる水の音と、歓声が響き渡る。ここは村の子どもたちにとっても、格好の遊び場になっているようだ。崖によじ登って滝つぼに飛び込む彼らを、ハラハラしながら眺めるのも楽しい。ためしに足先を浸してみると想像以上に冷たくて、ちゃっかり水着を着てきたものの、おじけづいてしまった。

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滝つぼの水はひんやりと冷たいけれど、泳ぐこともできる

ストーリーのあるお土産「ライズ・ビヨンド・ザ・リーフ」

フィジーのお土産は、「ピュア・フィジー」などの自然派コスメのほか、天然素材で作られた民芸品が豊富だ。「タパ」と呼ばれる樹皮の布に植物性の染料で幾何学模様を染め抜いたタパクロス。ココナッツの実を使ったオブジェ。昔、部族間の戦いで使われたという木製の武器のレプリカは、インテリアになる。カバを入れる器「タノア」は、小ぶりならアクセサリー入れにちょうどいい。

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フィジーの玄関・ナンディの街にあるハンディクラフト・マーケット。20軒ほどの土産物店が並ぶ

中でもおすすめは、ライズ・ビヨンド・ザ・リーフというブランドの布雑貨。コースター、ポーチ、トートバッグ、クッションカバーなどのカラフルなアイテムは、目移りするほどかわいい。

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ナンディ国際空港1階(チェックインカウンター隣)のショップは、ライズ・ビヨンド・ザ・リーフのアイテムも豊富にそろっている

柄のモチーフは、タパクロスにも描かれるフィジーならではの幾何学模様「タパ柄」。フィジー航空の機体や、リゾートのインテリア、スタッフの制服など、旅行中も様々な場面で目にすることがあるはずだ。

ライズ・ビヨンド・ザ・リーフは、こうしたフィジーの伝統的なアートを守るため、また、農村部で暮らす女性たちの収入源を生み出し、女性の地位を上げるために立ち上げられた。商品のタグには、生産者の名前とともに、こんなメッセージが書かれている。「私はいま、この工芸品を通じて、私とあなたの世界をつなぐことができるのです」

常夏の国・フィジーの「隠れた楽園」へ 極上リゾートで“おこもり旅”を満喫

リゾートのギフトショップには、ライズ・ビヨンド・ザ・リーフの人形が

魅力的な商品を手にできるだけでなく、豊かな思い出をくれた旅先の、そこで暮らす誰かの、役に立てる。そして日本の家族や友人に、旅の土産話とともに商品に宿るストーリーを伝えられたら、きっと喜んでもらえると思う。

耳に残る「イサ・レイ」の歌

波音に耳を傾け、夕日を眺め、おいしいご飯を食べたら、星空の下ほろ酔い気分でブレへ帰る――。今回は3泊5日の弾丸旅だったけれど、「日本に帰って社会復帰できるかしら」と心配になるほど、自分を甘やかした気がする。

フィジーの人たちを見ていると、「私は、何をそんなに急いでいたんだろう」と省みることが多かった。東京では何かと気ぜわしく過ごしてしまうけれど、フィジーでは、たとえほんの数分遅刻したって、お互いに「フィジータイム!」と笑い合っておしまいだ。

初めてなのに、なんだか「ただいま」と言いたくなる。そんな居心地のよさは、彼らのおおらかさを抜きには語れないと思う。

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コロ・サン・リゾート&レインフォレスト・スパで、夕焼けを待つひととき。ぜいたくな時間の使い方だと思う

この原稿を書いているいま、頭の中ではフィジーの民謡「イサ・レイ」がくり返し流れている。それぞれのリゾートをたつとき、見送りのスタッフが歌ってくれた、伝統的な別れの歌だ。

「イサ・レイ」は「いってらっしゃい」という意味。いつか長い休みが取れたら、もう一度フィジーを訪ねよう。今度は本当に、「ただいま」を言うために。

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