旅空子の日本列島「味」な旅

神話が息づく、出雲大社のおひざ元 出雲市・日御碕

国譲り神話や、縁結びの神様「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」を祀(まつ)ることで知られる出雲大社は、2019年3月、「平成の大遷宮」が完遂した。元号も「令和」に変わり名実ともに新しい時代を迎えている。昨年の初夏、思いも新たに人とのよき縁(えにし)に感謝を込めて、四つの鳥居をくぐり、心身を清め、二礼四拍手一礼をもって出雲大社に参拝。神楽殿の大しめ縄や、75畳分あるという日本一大きな日章旗も見上げた。

風に翻る日章旗

風に翻る日章旗

それから、バスで日本一高い灯台と海岸風景が美しい日御碕(ひのみさき)まで足を延ばすことにした。「稲佐の浜」は、国譲り神話の舞台となった地。ふだん人影は少ないが、夏は白砂青松のビーチは海水浴客で華やぐ。

この海岸線をかすめて15分ほど走るとバス停「日御碕灯台」に着いた。飲食店や土産物店が並ぶ通りを抜けると、白亜の灯台「出雲日御碕灯台」が青空をバックにスッキリとたたずむ姿が目に入った。

灯台

出雲日御碕灯台

43.65mの石積み灯台で、日本一の高さを誇る。1903(明治36)年に設置され、洋上40km先まで光が届く。100年以上経った今も、船の守り神になっている。

163段のらせん階段を踏みしめて、灯台のてっぺんに立った。帽子が飛ばされるほど風は強いが、日本海と島根半島、隠岐の島々、中国山地の山並みなど、晴れ晴れとする360度のワイドな展望に魅せられて、しばしたたずんだ。

灯台からの眺め

灯台からの眺め

食事処で魚介に覆われたみさき丼や焼きイカなどの海の幸を食べてゆったり足を休め、青い海や奇岩、断崖を見ながら遊歩道を南へのんびり歩いた。眺めと潮風が心地よい時間だった。

ぷりっとした歯応えの焼きイカ

ぷりっとした歯応えの焼きイカ

途中にある経島(ふみしま)は、ウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定されている。ウミネコたちは毎年11月下旬から12月上旬に飛来して、7月半ばまでここに生息するという。

経島

冬場にウミネコが群棲する経島

灯台下から10分も歩くと、海岸近くの傾斜地に鮮やかな朱塗りの社殿が素晴らしい日御碕神社に着く。社殿が二つあり、上の宮には須佐之男命(すさのおのみこと)、下の宮には天照大神が祀られている。

日御碕神社、下の宮

日御碕神社の下の宮

現存の本殿は3代将軍徳川家光公の命により建立された。みごとな彫刻が施された江戸時代の貴重な建築物として、国の重要文化財に指定されている。

俵まんぢう

俵まんぢう

出雲大社だけにとどまらず、日御碕まで足を延ばすと、奇岩や断崖と海がつくる景観や神話の世界にしみじみと浸れる。帰りがけに神門通りで出雲そばを食べ、名物の「俵まんぢう」を土産に買った。今度はいつ参拝できるご縁に恵まれるだろうか?

〈交通〉
・出雲大社の最寄り駅は一畑電車「出雲大社前」駅、出雲日御碕灯台はバス停「日御碕灯台」が近い
〈問い合せ〉
・出雲市観光協会 0853-53-2112
・日御碕ビジターセンター 0853-54-5400

※都道府県アンテナショップサイト「風土47」より転載。

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PROFILE

中尾隆之

中尾隆之(なかお・たかゆき)ライター
高校教師、出版社を経てフリーの紀行文筆業。町並み、鉄道、温泉、味のコラム、エッセイ、ガイド文を新聞、雑誌等に執筆。著作は「町並み細見」「全国和菓子風土記」「日本の旅情60選」など多数。07年に全国銘菓「通」選手権・初代TVチャンピオン(テレビ東京系)。日本旅のペンクラブ代表・理事、北海道生まれ、早大卒。「風土47」でコラムを連載中。

花を愛で、歴史を感じる開国ドラマの港町 静岡県下田市

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