永瀬正敏フォトグラフィック・ワークス 記憶

(48)幸せいっぱいのファミリー 永瀬正敏が撮った南仏

国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回は、南フランスで偶然見かけた家族。あえてカラー写真に仕上げたのには理由がありました。

(48)幸せいっぱいのファミリー 永瀬正敏が撮った南仏

©Masatoshi Nagase

ベビーカーに乗せられた赤ちゃんがかわいくて、思わず撮ってしまった。僕はモノクロ写真が好きなのだけれど、この場面は色があったほうが、幸せ感が出る。大事にされているんだろうな、と。だから、カラーで仕上げた。

以前、この連載で紹介した<この男女、始まり?終わり? 永瀬正敏が撮ったカンヌ>と同じ場所から撮影した。窓から外を見ていたら、偶然この方々が下を通りかかり、幸せそうなファミリーだなあ、と思いながら、シャッターを切ったことを思い出す。

ベビーカーを押しているのは、赤ちゃんのお母さんだろう。ベビーカーの右側にいるふたりは、赤ちゃんのお姉さんだろうか。男性は、犬を連れていたように思う。この角度から撮ると、結果的に、ベビーカーの赤ちゃんだけが正面から写るので、ちょっと変わったファミリーショットになった。

一緒にいるみんなが、赤ちゃんに意識を集中させている、そんな場面を撮った1枚になったと思う。にこにこしている人がいないのは、ファミリーにとって日常そのものの時間だったからだろうか。改めて見直してみると、いろいろと想像がふくらむ。

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PROFILE

永瀬正敏

1966年宮崎県生まれ。1983年、映画「ションベン・ライダー」(相米慎二監督)でデビュー。ジム・ジャームッシュ監督「ミステリー・トレイン」(89年)、山田洋次監督「息子」(91年)など国内外の約100本の作品に出演し、数々の賞を受賞。カンヌ映画祭では、河瀬直美監督「あん」(2015年)、ジム・ジャームッシュ監督「パターソン」(16年)、河瀬直美監督「光」(17年)と、出演作が3年連続で出品された。近年の出演作に常盤司郎監督「最初の晩餐」、オダギリジョー監督「ある船頭の話」、周防正行監督「カツベン!」、甲斐さやか監督「赤い雪」など。写真家としても多くの個展を開き、20年以上のキャリアを持つ。2018年、芸術選奨・文部科学大臣賞を受賞。

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