太公望のわくわく 釣ってきました

強風と寒さに耐えて釣るアマゴ 和歌山県・四村川

西へ東へ、海へ川へと旅して釣りする太公望たちの奮闘記です。魚との知恵比べ、釣った魚で一杯……。目的は人それぞれながら、闘いの後の心地よい疲労と旅情は格別。今回は、釣りライターの安田明彦さんが、和歌山県の四村川(よむらがわ)で挑んだアマゴ釣りです。春を呼ぶ魚のはずが、まさかの悪天候に悪戦苦闘して……。(トップ写真は“ヒレピン”と呼ばれる天然のアマゴ)

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気がかりだった冬の雨の少なさ

関西は雨が降らない冬、そして温かい冬でした。渓流釣りを楽しむ人間にとっては、雨が降ってくれれば、良かったんですがねー。
川の魚は、水位が多い年ほど、エサをよく食い、成長も早いです。低水温を好む渓流魚であっても、水温が高いと活性も高くなるものです。

3月1日に渓流でのアマゴ釣りが解禁され始めた和歌山県。5日に熊野川支流の四村川へアマゴ釣りに出かけました。この川でのアマゴ釣りを紹介するのは3回目になります。

実は、2月1日に解禁となった福井県の渓流で釣ってきました。大雪の後、春を思わせる陽気と雨で絶好の条件と思ったら、まさかの大増水で濁り水。竿(さお)を出せる場所を転々としましたが、アタリは無いまま。知らない渓流のポイントへ入るときは、好条件が重ならないと難しい、と思い知らされました。

今回は勝手知ったる場所。しかも、いつもと同じポイントから入渓します。それには理由があります。渓流魚は川底の形や流れが変わらない限り、ほぼ同じところでアタリが出ます。エサが多く流れてくるところがポイントになるからです。長年通うと、ここは当たる!というポイントが自分の引き出しにたまっていくのです。

前置きが長くなりました。四村川では雨後の好条件のはずが、とんでもない日になってしまいました。

着替えようと車を降りると、めちゃくちゃ寒い。寒くなるとは天気予報で言っていましたが、ここまで寒いとは。持ってきた服をあるだけ着込んで準備します。

強風と寒さに耐えて釣るアマゴ 和歌山県・四村川

熊に注意するよう知らせる看板

時折吹く強風も気になります。ヒューと音が鳴るほどの強さです。渓流釣りに強風は大敵。仕掛けが軽く、風が強いと思うように仕掛けを流せなかったり、飛ばせなかったりするからです。

堰堤(えんてい)の上から釣り始めますが、ここは流れの筋が変わっていました。手前に流れていた筋がほとんどなくなり、右岸側だけに流れが集中していました。

強風と寒さに耐えて釣るアマゴ 和歌山県・四村川

エサはイクラオンリー

エサのイクラを2粒刺して、投入。まだ薄暗く、目印が見えませんが、アタリがあれば、竿を通して手に伝わってくるはずです。ですが無反応。この時までは、時折の強風でしたが、これ以降、風のやむ時間帯が短くなってきました。

強風と寒さに耐えて釣るアマゴ 和歌山県・四村川

あまりの強風に仕掛けも手元に寄ってこない

釣りというより、たこ揚げのよう。竿をいくら寝かせても仕掛けが手元に来ません。風が止んだ時にようやく2投目。ここではアタリが出ません。1カ所目のポイントでこんなに時間を費やしては、実績ポイントだけを狙って行かないと、時間が無駄に過ぎてしまいます。

風のない隙間の時間を狙って仕掛けを放り込みます。クッと目印に反応があり、手首を返すとアマゴが飛んできました。タモで受ける余裕などありません。尾ビレの両端がピンと張った”ヒレピン”と呼ばれる天然アマゴでした。養殖のアマゴは尾ビレの形が崩れ、色も鮮やかではないので、一目でわかります。

強風と寒さに耐えて釣るアマゴ 和歌山県・四村川

やっと1尾目が釣れてホッとする筆者

そして寒さ。1カ所にとどまる時間が長いので、手袋から出た指先が痛いほど冷たい。その冷たさが全身に伝わり、ぶるぶる震えます。

いつもアタリが出るポイントで、風がやむのを待ちます。今だ!と仕掛けを振り込みます。アタリが出て、良型が水面から飛び出してきました。20センチはありそうです。おー、やれやれ、これで、なんとか、食べるくらいは釣れたけど、これで帰るには、まだ早すぎる。

強風と寒さに耐えて釣るアマゴ 和歌山県・四村川

この日一番の大物は20センチ級

でも、寒さに耐える限界が来ました。渓流をこの先進めば、かなり向こうまで行かないと道路へ上がる道がないのです。車へ戻って暖を取ろう。

小一時間ほどで、ようやく体が温まってきました。再度、竿を持って川へ向かいます。しかし、今度は雪が横殴りに降ってくる始末。風を背に受けて耐えます。まるで修行ですね。

強風と寒さに耐えて釣るアマゴ 和歌山県・四村川

モダンな造りをした有田川町にある「かなや明恵峡温泉」

もうこうなると、釣りどころではなくなります。早く切り上げて、帰路の有田川町にある「かなや明恵峡温泉」で体を温めよう!という思いと、いやっ!まだまだ勇気をもって釣りをするんだ!という思いが行ったり来たり……。数尾追加したところで、温泉に入ろう!という気持ちが勝ってしまいました。

強風と寒さに耐えて釣るアマゴ 和歌山県・四村川

釣果。数は少ないが、よく肥えて食べごたえありでした

7尾釣ったところで渓流を後にし、温泉につかり温まって帰りました。

強風と寒さに耐えて釣るアマゴ 和歌山県・四村川

小型のアマゴは南蛮漬けに

熊野川漁協
☎0735-21-4193
(組合員以外は遊漁券の一日券もしくは年券が必要です)

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PROFILE

  • 釣り大好きライター陣

    安田明彦、猪俣博史、西田健作、石田知之、木村俊一

  • 安田明彦

    釣りライター
    1959年大阪市生まれ。父親の影響で子供のときから釣りが大好き。大学卒業後、釣り週刊誌の記者、テレビの釣り番組解説者などを務め、「やっさん」の愛称で親しまれる。あらゆる釣りを経験するが、近年は釣って楽しく、食べてもおいしい魚だけを求めて行くことが多い。釣り好き、魚好きが高じて、大阪市内で居酒屋「旬魚旬菜 つり宿」を営んでいる。

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