ちょっと冒険ひとり旅

橋の街からセルビアの首都へ バルカン半島4カ国ひとり旅#03

長く続いた争いの時代を経て、いま旅人の間で注目を集めているバルカン半島。旅行ライターの山田静さんが2019年秋に旅したバルカン半島4カ国を7回に分けて紹介します。前回は、ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボを訪ねました。今回は2カ国目のセルビアへ。

(トップ写真はヴィシェグラードの街並み)

■何回目かのひとり旅、ちょっとだけ冒険してみたい。そんな旅人のヒントになりそうな旅先や旅のスタイルを紹介している連載「ちょっと冒険ひとり旅」。京都で旅館の運営をしながら、旅行ライターとしても活躍する山田静さんが、飛行機やバスを乗り継いで比較的簡単に行ける、旅しがいのあるスポットをご紹介していきます。バックナンバーはこちら

橋の街ヴィシェグラード

サラエボから次の目的地、セルビアのベオグラードまではバスで7〜8時間。1日じゅうバスに揺られているのも退屈なので、セルビア国境近くの街・ヴィシェグラードで一度ストップすることにした。ここはボスニア・ヘルツェゴビナを構成するスルプスカ共和国――サラエボ到着日、5分で通り抜けた、通称セルビア人共和国の街だ。

メフメット・パシャ・ソコロヴィッチ橋

ドリナ川にかかるメフメット・パシャ・ソコロヴィッチ橋。世界遺産だ

オスマン帝国の名宰相が建造し、その名が付けられたメフメット・パシャ・ソコロヴィッチ橋。11のアーチと円錐(えんすい)が目を引く橋脚がリズミカルに連なる優美な橋だが、橋がかかるドリナ川が戦略的にも重要なポイントなだけに、大きな戦争が起こるたびに壊された。ボスニア紛争時には、当時この街では多数派だったイスラム系のボシュニャク人がセルビア人勢力に攻撃され、橋の上や周辺でも多くの人命が失われたという。

橋にある石碑

橋の中ほどにある石碑に刻まれるのはアラビア文字

アンドリッチグラード

ベオグラードを舞台に旧ユーゴスラビアの歴史をシニカルに描いた傑作映画『アンダーグラウンド』。監督のエミール・クストリッツァはサラエボ出身で、街づくりの一環としてヴィシェグラードに複合施設「アンドリッチグラード」を立ち上げた

アンドリッチグラードの映画館

アンドリッチグラードには土産物屋やレストランが並び、その中心には素敵な映画館が

朝食

宿の朝食。この旅を通じてずっと、野菜、肉、チーズと食材が豊富でどれもおいしいことに感心していた。バルカン半島は豊かな土地なのだ

宿のキッチン

きちんと片付いた宿のキッチン。空いた部屋を貸す民泊スタイルで、オーナーの老夫婦が夜のお茶に招いてくれた

ドリナ川沿いの土産物屋

ドリナ川沿いに並ぶ土産物屋。夏は大にぎわいだとか

ヴィシェグラードでゆっくり休み、翌朝10時、セルビアの首都ベオグラード行きのバスに乗る……つもりだったのだが、バス停がよく分からない。

「あのへんだから」

と宿の女性に言われた場所には誰もおらず、うろうろしていたらバックパックを背負った青年に、

「2人立ってたらバスもここに止まるんじゃないかな」

と提案され、それっぽいところで一緒に待つこと15分、定刻通りにバスは到着した。ここから5時間のバス旅だ。

バス停らしきところ

ベオグラード行きのバス停(らしきところ)。1日の本数が少ないせいか、到着したバスはほぼ満杯だった

交通の要衝、ベオグラードを歩く

到着したベオグラードは、道幅も広く車の量も多い大都会だった。

バスターミナルを出て石畳の通りを20分ほど歩く道のりの途中、タクシー運転手や物売りが声をかけてくる。しつこくはないが、サラエボやモスタル、そしてそのあとのバルカン半島の街でもあまり経験しなかったことで、都会なんだな、という印象と同時に、あちこちに残る壊れかけのビルという見かけも手伝って、ちょっぴりすさんだ感じも正直受けた。壊れかけのビルは紛争の歴史が影響しているかどうかまでは分からなかったけれど、この感覚を味わえただけでも、来てよかった、と思った。

といって、治安が悪いわけではない。紀元前4500年までその歴史がさかのぼれるという古都の街歩き、のんびりと楽しんだ。

川の合流地点

ドナウ川とサヴァ川の合流地点。紀元前から要塞(ようさい)が築かれていたという交通の要衝、いまは緑いっぱいの公園だ

共和国広場

街のヘソ、共和国広場。周囲にはカフェやバーも多く、夜10時ごろでも散歩する人は多かった

道標

中心部の道標は英語も併記で分かりやすい

ウォール・ペイント

ビルに描かれたウォール・ペイントを多く見かけた

路地にある建物

路地に入ると、いまも使われているらしい古びた建物が多い。荒れてはいるが、独特の味わいもある

土産物屋

街の土産物屋。東欧や中欧の雰囲気が漂う素朴な絵柄がかわいい

ファストフード

街角ファストフードの定番はケバブ。たっぷりの肉をピタパンに詰め込み、上からフライドポテトを押し込むというカロリーが高そうな一品。コーラとセットで400円くらい

夕暮れの公園

夕暮れの公園。家族連れがいっぱいで、「平和っていいな」なんてあたりまえのことを思いながら散歩した

さて、次は3カ国目。セルビアが独立を認めていない国、コソボへと向かう。

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BOOK

橋の街からセルビアの首都へ バルカン半島4カ国ひとり旅#03

京都で町家旅館はじめました(双葉社)

京都に開業した町家旅館のマネジャーをつとめることになった著者が、開業準備から実際の運営に至るまでのドタバタとドキドキ、そして京都のお気に入りスポットなどを綴(つづ)ったエッセーガイド。1540円(税込み)。

 

橋の街からセルビアの首都へ バルカン半島4カ国ひとり旅#03

旅の賢人たちがつくった
女子ひとり海外旅行最強ナビ(辰巳出版)

連載「ちょっと冒険ひとり旅」著者の山田静さんが、海外ひとり旅に行きたいすべての人にお届けする、旅のノウハウをぎゅっと詰め込んだ1冊。行き先の選びかた、航空券やホテルをお得に効率よく予約する方法、荷物選びと荷造りのコツ、現地での歩きかたのツボ、モデルルート、遭遇しがちなトラブルとその回避法など、準備から帰国までまるっとカバーしました。旅の達人によるコラム記事やアンケートも満載で、ひとり旅の準備はまずこの1冊から。1650円(税込み)。

PROFILE

山田静

女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『旅の賢人たちがつくったヨーロッパ旅行最強ナビ』(辰巳出版)、『決定版女ひとり旅読本』『女子バンコク』(双葉社)など企画編集多数。最新刊『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)。2016年6月中旬、京都に開業した小さな旅館「京町家 楽遊」の運営も担当。

サラエボ旧市街を歩く、バルカン半島4カ国ひとり旅#02

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