楽しいひとり温泉

温泉+湯の街散歩 小宿に泊まって湯めぐり散歩 大分・湯平温泉「ゆのひら上柳屋」

ひとり旅で心を休めるには、ぶらりと歩いて散歩ができる静かな温泉地もいいものです。宿泊するのは、家族で営む小さな湯宿。丁寧に手作りされた里山のごちそうを味わい、貸し切り温泉をひとり占めして心のぜいたくを楽しむ。ちょっと人恋しくなったら、温泉街へくりだして、共同浴場やカフェへ立ち寄って地元のみなさんとおしゃべり。心を癒やすほっこり系ひとり温泉の旅です。
(トップ写真:上柳屋の母屋と温泉をつなぐ小道)

■連載「楽しいひとり温泉」は、全国各地の温泉をめぐり、温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する、温泉ビューティー研究家の石井宏子さんが、テーマごとにひとり温泉にぴったりなお宿を紹介します。

四つの貸し切り温泉を、好きなだけひとり占め

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上柳屋には四つも貸し切り温泉がある

大分県由布市の湯平温泉へは、JR由布院駅から2両編成の可愛い久大線に乗って、2駅目・湯平駅で下車します。温泉宿「ゆのひら上柳屋」は、湯平温泉名物である石畳の坂道の一番上。事前にお願いしていた宿の送迎車で10分ほどで到着です。

上柳屋は7室のみの小さなお宿。母屋と離れの間には、四つの貸し切り温泉があり、空いていれば何度でも無料で入ることができます。四つのうちの二つは、内湯と露天風呂があって、何ともぜいたくなつくり。最初に内湯でちょっと温まって、露天風呂へどぼん。温泉を優雅にひとり占めして入れるなんて、まさに温泉パラダイスなのです。

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貸し切り温泉で露天風呂をひとり占めする

露天風呂で耳をすませば、川の水音や小鳥のさえずりが聞こえてきて、心休まります。泉質はpH8.6のアルカリ性単純温泉。つるりとした優しい感触に包まれます。単純温泉は、溶け込んでいる温泉成分が1キログラム中1000㎎未満で穏やかな作用の温泉です。ゆっくり入って体を温めることで自律神経のバランスを整えて、いい睡眠へと導いてくれます。心にも体にも優しい温泉です。

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ひとりプランで宿泊できるのは母屋の2部屋、写真は「木蓮(もくれん)」

ひとり宿泊プランがあるのは、母屋の2部屋で、6畳の和室と窓辺に4畳半の板の間の広縁。のんびりくつろいで湯宿時間を満喫しました。

自家栽培の野菜がおいしい、おかみの手作り里山料理

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丁寧に手作りされた里山料理の夕食。メインは豊後牛の溶岩焼き

わあ、豪華。そして野菜がおいしい。豊後牛の溶岩焼きもボリュームたっぷり。お願いした冷酒は、その名も「ゆのひらの旅人」、八鹿酒造の生貯蔵酒で湯平温泉限定です。フルーティーな華やかさがあり、お造りにもあいそう。

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ぷりぷりのお造りは、つまの野菜までおいしい

今日のお造りは、カンパチ、タイ、サーモン。魚もおいしいのですが、付け合わせている野菜もおいしくてびっくり。おかみさんに聞いたら、宿の奥に畑があって、オーガニックで野菜作りをしているそう。毎朝畑でとった野菜を料理に使っているそうです。なるほど。

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いけすで泳がせておいた新鮮なヤマメのからあげ

宿の玄関にあるいけすで泳がせておいたヤマメのからあげ。「頭が一番おいしいのよ」というおかみさんの言葉に、思い切って丸ごとがぶり。さっくさくで芳しい、かめばかむほど深い味わいが広がります。身の方は、ふわっふわ。和食というより、洋食の一品をいただいているような感じ。頭からしっぽまで楽しめました。

湯平温泉は湯の街散歩が楽しい

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江戸時代からの石畳が情緒たっぷりの湯平温泉街

湯平温泉が開かれたのは約800年前の鎌倉時代と言われています。特徴的な石畳の坂道は、およそ300年前の江戸時代につくられ、それが今も残っています。写真を撮りたくなる風景ばかりです。

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共同浴場「中の湯」は、日替わりで男湯と女湯になる

温泉街には、誰でも入れる「共同浴場」もあり、現在は2箇所で入浴できます。楽しみにしていた「中の湯」に到着。ここは浴槽がひとつしかないので、奇数日が女湯、偶数日が男湯と、日替わりになっています。

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深めの湯船で肩まですっぽり温まれる

小さな木の湯船は、肩まですっぽり入れる深さ。最初はちょっと熱めに感じますが、たっぷりかけ湯をすると、体が慣れてちょうど良い温度に感じられます。窓越しの緑を感じながらのんびりと心を緩めます。

ねこ団子の坂道を上って湯宿のカフェへ

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湯平温泉は写真を撮りたくなるスポットがいっぱい

メイン通りを曲がって路地へ入ると、ねこの家族が日なたぼっこ。体を寄せて温まる「ねこ団子」と呼ばれる光景に、急いでシャッターを押しました。この猫たちは、本当に良く似ているから、きっと家族に違いないと勝手に想像。

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山城屋のカフェで、懐かしい郷土スイーツとコーヒーでほっこり

街歩きの途中で、温泉宿「山城屋」が、おばあちゃん手作りのスイーツとコーヒーが味わえるカフェを始めたと聞いて、立ち寄ってみました。「石垣饅頭(まんじゅう)」は限定で200円。ふかし芋を石垣に見立てた蒸しパンのようなもので優しい味わいです。今日は「じり焼き」もオマケだよ。と、出してくれたのは、大分県民は懐かしさを感じるのだという、小麦粉を水で溶いて黒砂糖で味付けて鍋で焼く素朴な家庭のパンケーキ。これがブラックコーヒーにぴったりでした。

名物の大洞窟温泉・志美津で立ち寄り湯

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志美津の大洞窟温泉へ立ち寄り湯

湯平温泉でぜひとも入りたかった温泉があります。それは1926(大正15)年創業の旅館「志美津」の珍しい大洞窟温泉、500円で立ち寄り入浴ができます。半世紀以上前に作られたという大洞窟温泉は360度全て自然の石を積み上げて作られているそうです。温泉蒸気が充満する洞窟は天然のミストサウナのよう。こちらの源泉の泉質は、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉。体の芯まで温めて、しっとりすべすべ肌へ導く、仕上げ湯にぴったりの温泉です。

大分県・湯布院温泉郷 湯平温泉 
ゆのひら上柳屋

http://www.kamiyanagiya.jp/

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.静かな湯宿で温泉をひとり占め
2.自家製野菜のおいしい食事
3.湯の街散歩が楽しい

BOOK

温泉+湯の街散歩 小宿に泊まって湯めぐり散歩 大分・湯平温泉「ゆのひら上柳屋」

全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!

石井宏子さんの著書「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)が11月16日に出版されました。温泉ビューティー研究家・旅行作家ならではの、旅してみつけた、女性がひとりで安心して楽しめる温泉宿を紹介するハンディーな一冊。公共交通機関で行ける、自分へのごほうびで泊まりたい、いい宿を全国から厳選し、あわせて、女性目線で選んだ周辺の立ち寄り先、ランチやスイーツも取り上げます。ひとりでも楽しい観光列車も登場します。税別1400円。

PROFILE

石井宏子

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書に「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)、「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)、「感動の温泉宿100」(文春新書)などのほか、「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)が11月に発売された。

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