にっぽんの逸品を訪ねて

もう一度味わいたいグルメの逸品たち“海の幸編”

連載「にっぽんの逸品を訪ねて」では約4年間、日本全国の旅をご紹介してきました。その中には“忘れられない味”も数々あります。今回は、もう一度食べたい“海の幸編”を集めました。

連載「にっぽんの逸品を訪ねて」は、ライター・中元千恵子さんが日本各地の逸品を訪ね、それを育んだ町の歴史や風土を紹介します。

現役の海女さんたちが炭火で焼いてふるまう“伊勢エビとアワビ”

肉厚のアワビ、そして炭火焼きの伊勢エビを丸ごとほおばる幸せを体験したのが、三重県鳥羽市の「はちまんかまど」です。鳥羽市の相差(おうさつ)地区は、素潜りで漁をする「海女(あま)」が多いところとして知られています。相差にある「はちまんかまど」では、現役の海女さんたちが海女小屋で新鮮な魚介を炭火で焼いてふるまってくれます。

はちまんかまど

海女小屋「はちまんかまど」

海の幸

新鮮な海の幸が用意されます

食事は予約制で、食材と内容によってコースが分かれます。この日は、伊勢エビもアワビも付いた豪華なコースを選択。炭火で焼いた伊勢エビは、うまみが凝縮され、身ははち切れんばかりに詰まっています。

伊勢エビ

伊勢エビも1匹丸ごと炭火焼き

伊勢エビの身

身はぷりぷりです

アワビは肉厚なのに、とてもやわらか。海女さんによれば、「アワビは生だとコリコリとした食感だけど、焼くとやわらかくなる」とのこと。海の幸を知り尽くした海女さんが、最良の焼き加減で出してくれます。

アワビ

アワビも美味!

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厚さ・やわらかさにびっくり! 海女(あま)たちが支える伊勢志摩のぜいたくな海の幸

ところ変わればエビも変わる!? 鳥取の“モサエビ”と長崎で味わった“ウチワエビ”

日本各地に名産のエビがあって、現地で食べる味は格別。その一つが、鳥取県のモサエビです。漁期は9月から5月ごろ。鳥取港海鮮市場「かろいち」内の食堂で、身がたっぷりの「もさ海老(えび)丼」を味わいました。

かろいち

鳥取港で水揚げした鮮魚が並ぶ「かろいち」

モサエビは、甘えびよりも甘みがあるといわれ、さらに品のいいあと味やとろりとした独特の食感も魅力です。鮮度を保つのが難しいので地元以外にはあまり出回らず、“幻のエビ”ともよばれています。

もさ海老丼

身はとろり、頭の唐揚げは香ばしい「もさ海老(えび)丼」

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鳥取の「松葉ガニ」と「駅近の源泉かけ流し温泉」を楽しむ冬の極上グルメ旅

長崎市で出会ったのはウチワエビです。

長崎駅のすぐ近くにある「魚店亜紗(うおだなあさ)」は地元でも人気の鮮魚も酒も豊富な店。

ウチワエビなど

手前がウチワエビ

ウチワエビは姿はいかついですが、味は伊勢エビにも匹敵するといわれます。主に西日本で水揚げされますが、漁獲量が多くないので、地元で消費され、あまり都市部に出回らないのだとか。プリッと弾力のある身は甘みが濃く、舌の上にのせるととろりと溶けていくようでした。

お造り

殻が目を引くウチワエビをはじめ、鮮魚のお造りが美味。ウチワエビは仕入れのない日もあります

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幻想的なグラバー園の夜と“魚種日本一”の長崎の鮮魚

“鯛網”や“潮待ちの港”として有名な広島県の鞆の浦にあるタイの名店

“忘れられない味”で、真っ先に思い出したのが広島県福山市の鞆(とも)の浦にある「魚処 鯛亭」で味わったタイ。その味に感激し、近くに行ったら必ず寄ります。

瀬戸内海沿岸の中央に位置する鞆の浦は、鞆の浦沖を境にして潮が東西へ流れ出るため、古くから“潮待ちの港”として栄えてきました。昔ながらの常夜灯や町並みが残り、繁栄の歴史を伝えています。

鞆の浦

鞆の浦の港に立つ常夜灯

伝統的な“鯛(たい)網”とよばれる漁法が伝わり、例年5月は「鞆の浦の観光鯛網」も行われます。

漁船

海を行く観光鯛網の漁船

海辺に立つ「魚処 鯛亭」は、昼は開店時間の前から行列ができる人気店。この日は、タイの造りやタイの煮付け、鯛飯(たいめし)がセットになったランチメニューをいただきました。まず、刺し身をひと口食べただけで、ぷっくりとした弾力と、濃い甘みに驚きます。鯛飯ではご飯の一粒一粒にタイの上品なうまみがしみ込んでいます。

ランチ

「魚処 鯛亭」のランチ

鯛茶漬けも、ぜいたくに身がのっています。だしとタイの味わいが調和して至福のおいしさ。

鯛茶漬け

鯛茶漬けも人気メニュ-

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観光鯛網でにぎわう“潮待ちの港”鞆の浦で鯛茶漬けや保命酒を味わう
※魚処 鯛亭 084-982-0481/11:30~14:00、18:00~20:00(L.O.19:30)/水曜休(営業時間が変更されました)

潮の香りが食欲をそそる「ばい飯」とふわふわ食感に「げんげの竜田揚げ」

魚のおいしさで知られる富山県で印象に残っているのが、魚津市の「ばい飯」と「げんげの竜田揚げ」。どちらもあまり使い道のなかった食材を上手に生かし、今では魚津名物になっています。

小粒のバイ貝を炊き込んだ「ばい飯」は、もとは漁師飯だとか。通常はコリコリした食感ですが、魚津駅前の「日本料理 海風亭」ではやわらかい真バイ貝という種類を使って食べやすくしています。貝のうまみがたっぷりといきわたっています。

ばい飯

海風亭の「ばい飯」は肝(きも)も炊き込んで、深い味わい

マンガ『美味(おい)しんぼ』に掲載されて有名になったのが「げんげの竜田揚げ」。表面はぱりっと香ばしいのに、身は驚くほどふわふわ。それもそのはず、げんげは深海魚で全身がゼラチン質で覆われているそう。漁期は9月から6月ごろまで。

げんげの竜田揚げ

海風亭の先代が開発した「げんげの竜田揚げ」

バイ貝とげんげ

バイ貝とげんげの素材。これがおいしい料理に変身します

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レアな水循環が育む“美食” 三大奇観の富山・魚津市

【問い合わせ】
・海女小屋「はちまんかまど」
http://amakoya.com/

・鳥取港海鮮市場 かろいち
https://karoichi.jp/

・魚店亜紗
https://www.nagasaki-asa.com/uodana-asa

・魚処 鯛亭 084-982-0481/11:30~14:00、18:00~20:00(L.O.19:30)/水曜休

・日本料理 海風亭
http://www.minamikan.com/kaifutei/

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PROFILE

中元千恵子

旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、『バリアフリーの温泉宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い。
全国各地のアンテナショップを紹介するサイト 風土47でも連載中

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