カメラと静岡さとがえり

林の中に浮かぶ球体の正体は!? 沼津市のモダンな大人の林間学校「INN THE PARK」

スリランカと日本を拠点に活躍する写真家の石野明子さんが故郷を撮り歩く連載、「カメラと静岡さとがえり」。第13回は、大人も楽しめる林間学校の体験記です。子どもの頃、自然の中で友人たちと過ごす非日常に胸を躍らせた思い出……。そんな場所が、面影は残したまま、モダンな宿泊施設に生まれ変わった!? 沼津市の元・林間学校の施設に、石野さんが家族で宿泊してきました。この木々の間に浮かぶ球体の正体とは……?

大人の“子どもゴコロ”を刺激する

林間学校。懐かしくて、ちょっとめんどくさくて、そして照れくさくて。でもワクワクした思い出が誰でもきっとこの言葉の中にあるのではないだろうか。沼津にあった「少年自然の家」は1973(昭和48)年に建てられた、沼津市営の施設だった。しかし利用者の減少に伴い、30年以上にわたる歴史を閉じることに。そしてそのバトンは民間企業につながれ、2017(平成29)年に泊まれる公園「INN THE PARK」として生まれ変わった。

林の中に浮かぶ球体の正体は!? 沼津市のモダンな大人の林間学校「INN THE PARK」

公園でサッカーの自主練をする少年たち

母体は都市計画やリノベーションなども提案する東京にある建築事務所。「林間学校」らしさは残っていながら、とてもモダン!

林の中に浮かぶ球体の正体は!? 沼津市のモダンな大人の林間学校「INN THE PARK」

かつて子供たちが駆け抜けただろうと想像がふくらむ渡り廊下

大人たちが隠し持っている“少年少女の心”をそのモダンさと懐かしさでワクワクさせてくれる。

木々の間に浮かぶ球体の正体は?

宿泊部屋のカテゴリーは2種類。8人まで泊まれる1棟貸しの宿泊棟と、このまか不思議な見た目の、森の中に設置された白い球体!

林の中に浮かぶ球体の正体は!? 沼津市のモダンな大人の林間学校「INN THE PARK」

奇抜なアイデアが研究と試行錯誤のもと実現した

なんと直径3.5mの球体のドームテントなのだ。ドームテントは木につるされたものもあってまるで森の中に浮かんでいるよう。テントと聞くと居心地はどうなの?と疑問を持つかもしれないけれど、そこは母体が建築事務所だけあって快適性を重視している。

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室内は居心地のいい隠れ家のよう

室内は床にフローリングが敷かれていて、寝心地の良いベッドが2台あり、大の字に寝そべり天窓から空が見える。夜はそれぞれの球体テントの室内ライトがともされると、森の中で発光する球体が漂っているよう。

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天窓から見える外の光る球体テント

夏でも涼しいので窓は網戸のままでもいい。朝、薄青く色づく空がのぞく天窓から、鳥の元気な声が聞こえてくる。

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気持ちよく清掃された浴室棟

私と娘が大はしゃぎしたのは浴室棟。かつて多くの家がそうだったような、ステンレス製の大きな大浴槽。「少年自然の家」の時に使用していたものを、ピカピカに磨きあげて生まれ変わらせた。柔らかい水質のお湯がなみなみ、ピカピカつるつるの浴室で「ほー」と声がでる。子供の時、同級生たちとお風呂ではしゃいで先生に「早く頭を洗いなさい!」と怒られ、ストップウォッチで時間を計られたことをふと思い出して笑ってしまう。でも今日はのんびり入らせていただきます。公園で走りまわって、汗だくになった娘もとても気持ち良さそうだ。

沼津の魅力を伝えたくて

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前菜はビーツのマリネ

食事にももちろんこだわっていて、食材は地元のものを使った前菜から始まる6品のコース。ダイニングテーブルにはその日のコースが書かれたクラフト紙とゲストの名前が。手書きであることが、手間ひまが垣間みえてうれしい。

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地元ベーカリーのカンパーニュが入っているのは給食かご!

季節によっては屋外テラスでBBQしながらディナーを楽しむことも可能だ。地元ベーカリーのカンパーニュは、酵母の酸味のバランスが私の好みな感じでとまらない。

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つややかなポークリブのグリル、奥はヒノキの薪で焼くビーフステーキ

一番のお気に入りはポークリブがBBQソースでマリネされたグリル。スープでもそうだったがハーブの香りがとても印象的なディナーだった。

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かつての給食のトレーに載せられた朝食

テントから公園周りを散歩しながらダイニングルームへ朝食を受け取りに行く。テイクアウト包装になっているのでどこで食べてもいい。

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コーヒーの良い香りが漂う朝のダイニングスペース

ドリップしたてのコーヒーが朝起きたらもらえるって幸せだ。

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朝食担当の赤池洋平さんと横山みずきさん。県内のおいしいお店を教えてくれる

働くスタッフの中には、実際に「少年自然の家」時代に泊まったことのあるスタッフもいる。そして偶然、私の知人の中にもいた。共通して「自分の大事な思い出の場所が魅力を増して残っていることがうれしい」と言っていた。スタッフも料理人も地元で採用されている。それは訪れたゲストに沼津の魅力を知ってもらいたいから。スタッフたちも休日には静岡県の魅力を探しに遠出したりしている。森の中でオールナイト映画祭や座禅会などここでしかできない自然を生かした様々なワークショップも行われている。

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「魅力あるアクティビティーをどんどん増やしていきたいです」と語る山家渉マネジャー

「INN THE PARK」マネジャーの山家渉さんは「林間学校と公園、誰にとっても懐かしくて身近なものです。そのハードに今までにない、ぜいたくなソフトを加えることで非日常が味わえる。ご自身の記憶をたどりながらゆったりと過ごしていただきたいです」と笑顔で話してくれた。

宿泊するもよし、食事だけのレストラン使いもできるのでワクワクする何かを感じたらぜひ訪れてみてほしい。その土地らしさが感じられる「非日常」がきっとある。

◆INN THE PARK
https://www.innthepark.jp/

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PROFILE

石野明子

2003年、大学卒業後、新聞社の契約フォトグラファーを経て06年からフリーに。13年~文化服装学院にて非常勤講師。17年2月、スリランカ、コロンボに移住して、写真館STUDIO FORTをオープン。大好きなスリランカの発展に貢献したいと、その魅力を伝える活動を続けている。2019年4月にイカロス出版よりガイドブック「五感でたのしむ! 輝きの島スリランカへ」(税込み1760円)が出版された。
http://akikoishino.com/
http://studio-fort.com/

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