魅せられて 必見のヨーロッパ

-27℃ ガラスのように凍ったバイカル湖を歩く ロシアの旅(1)

ツアーの行き先としてはあまりメジャーでないけれど、足を運べばとりこになる。ヨーロッパを知り尽くした作家・写真家の相原恭子さんがそんな街を訪ねる「魅せられて 必見のヨーロッパ」。今回は、ちょっと行き先を変えて、ロシア。極寒の中、凍ったバイカル湖の上を歩いたレアな体験記です。

【動画】強風の中、凍ったバイカル湖上を歩く

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冷凍庫より冷たいイルクーツクの外気

極寒の2月、シベリアを旅しました。初日に-27℃を体験。強風でしたから、体感温度はさらに低かったと思われます。それでも保温性の高いインナーの重ね着、さらにセーター、ダウンコート、スパッツ3枚、裏起毛パンツ、さらにダウン・パンツを重ねて、裏起毛のロングブーツも。帽子を二重にかぶり、カイロもたくさん貼って、いざ出発! すると不思議に、極寒にも耐えられました。準備が功を奏したのかもしれません。

成田発のS7航空でウラジオストク乗り換え、イルクーツク空港に到着。市内のホテル「アンガラ」にチェックインしました。

-27℃ ガラスのように凍ったバイカル湖を歩く ロシアの旅(1)

午前6時、ホテルの窓からの眺め

窓を開けると、冷凍庫よりも冷たい空気が流れ込みます。街灯の色とダイヤモンドダストのためか、幻想的な風景です。

いざ、氷結したバイカル湖へ

ドイツ語を話すロシア人ガイドのアチョムさんが薦めるボリショエ・ゴロウストノエへ向かいました。到着してみると、教会を中心に家が立ち並ぶバイカル湖畔(こはん)の小さな村です。

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バイカル湖畔のボリショエ・ゴロウストノエ村

厚く氷が張ったバイカル湖上を歩くと、頬を切るような冷たい強い風が吹いています。それでも、散策やスケートを楽しむ観光客がいます。

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氷結したバイカル湖

-27℃ ガラスのように凍ったバイカル湖を歩く ロシアの旅(1)

ホーバークラフトで氷上を走る観光ツアーも

初めて見るブルーとホワイトの氷の平原。分厚いガラスの上を歩いているような気持ちです。北海道の流氷や日本の湖の氷結とは風情が異なり、厚さ数メートルもある氷とそこにできた模様に見とれます。

強風の上、氷上は想像以上に滑りやすくて、「歩きながらの動画撮影は危ない!」とアチョムさんに言われながらも、ついつい撮りたくなりました。

ウォッカの飲み方指南も

「-27℃だよ」とスマホを見て言うアチョムさん。強風ですから、「体感温度はさらに低いのでは?」と私。「慣れないのに、これ以上外にいるのは無理だ」とドライバーのイワンさんに促されて、教会近くのレストラン「ウ・ミハリチャ」へ。

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アチョムさんが撮影してくれた、着ぶくれた私。ブルーの屋根の建物が「ウ・ミハリチャ」という名の小さなレストラン


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レストラン「ウ・ミハリチャ」の店内

夏と極寒の時がこの地域の観光シーズンだそうです。ロシア人観光客が多いです。カウンターの奥にはウォッカが並びます。「ウォッカを注文してね」と頼みました。

-27℃ ガラスのように凍ったバイカル湖を歩く ロシアの旅(1)

運ばれてきたウォッカ

ウォッカは飲み方が大切だと、アチョムさんは語ります。

まず口から腰まで伸ばして姿勢を良くします。チビチビ飲んではダメ。丹田(へその下)にまで落とすかのような気持ちで一気に飲んだら、少し下を向いてフゥーッとお腹から息をすべて吐き出すことが大切だそうです。こうすると、みぞおちあたりにウォッカが停滞しないので「悪酔いしない。翌日も爽快!」と言います。

さっそく私もトライ。グラスに注がれた約50mlをガバッと一気に飲むのは無理だと思ったので、半分弱をこの方式で飲んでみると、あらら、ビックリ! 冷え切っていた手足の先までが、心地よくホカホカと温まってくるではありませんか。これはスゴイ。ウォッカは極寒の地の必需品かしら?!

バイカル湖の名物魚オームリのあっさりスープ

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ペリメニと呼ばれるギョーザのようなものと牛肉の細切りが入ったスープ

スープはお肉が味わい深く、熱々のおいしさ。かなりのボリュームです。

-27℃ ガラスのように凍ったバイカル湖を歩く ロシアの旅(1)

オームリのスープ

バイカル湖名物の魚オームリのスープはさらりとした塩味で、オームリのダシが利いた一品でした。

-27℃ ガラスのように凍ったバイカル湖を歩く ロシアの旅(1)

ポジィ

こちらの小籠包(しょうろんぽう)のような料理は呼び名がいろいろあり、この地域ではポジィと呼ぶそうです。レストランのご主人によれば、この形は遊牧民の家ゲル(日本ではパオとも呼ぶ)の形だそうです。詰めた肉から汁が出てくるので、まずは手でつまんで上を向いて口へ運び、皮を少しだけ歯で破り、肉汁を吸います。それから下を向き肉まんじゅうのように食べます。下を向いたときに、お辞儀をするような姿になるので「家に感謝する意味も含んでいますよ」とご主人。厚みのある皮の歯ごたえとひき肉とタマネギのコクがおいしい。

日常とはかけ離れた気候と風土の中で興味津々。気分がハイになった私の旅は続きます。

Metropol-Express
http://metropol-express.ru/eng/index.wbp

S7航空
https://www.s7.ru/

日本旅行業協会
https://www.jata-net.or.jp/

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PROFILE

相原恭子(文・写真)

慶應大学卒業。ドイツ政府観光局勤務を経て、作家&写真家。「ドイツ地ビール夢の旅」(東京書籍)、「ドイツビールの愉しみ」(岩波書店)、「ベルギー美味しい旅」(小学館)、「京都 舞妓と芸妓の奥座敷」(文春新書)、「京都 花街ファッションの美と心」(淡交社)、英語の著書「Geisha – A living tradition」(フランス語、ハンガリー語、ポーランド語版も各国で刊行)など著書多数。国内はもちろん、国際交流基金・日本大使館の主催でスペイン、ハンガリー、エストニアで講演会や写真展多数。NHK「知る楽」「美の壺」、ラジオ深夜便「明日へのことば」「ないとエッセー」、ハンガリーTV2、エストニア国営放送など出演多数。
https://blog.goo.ne.jp/goethekyoko

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