永瀬正敏フォトグラフィック・ワークス 記憶

(53)街角に集う人々に降り注ぐ太陽 永瀬正敏が撮ったニューヨーク

国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回は、永瀬さんが大好きなニューヨークの点描。この1枚に込めた永瀬さんの思いとは?

(53)街角に集う人々に降り注ぐ太陽 永瀬正敏が撮ったニューヨーク

©Masatoshi Nagase

ここはニューヨーク、セントラルパークの入口。

きっと、友人といつもの通り語らいながら通りかかった人……
きっと、偶然知り合いにあった人……
きっと、親子で公園に遊びに来た人……
きっと、様々な思いを抱えて帰路につく人……
きっと、観光で訪れた人……
きっと、仕事場へ向かう人……
きっと、恋人同士で、夫婦で、素敵な時間を過ごしている人……
きっと……きっと……

もちろん、僕はそこにいた全ての人々を知っているわけではない。
想像するしかない。
あの時、ただ何かの偶然で、その場所に居合わせた人々だ。

ある人は恋人と腕を組み、ある老夫婦はしっかりと手をつなぎ、
あるお母さん、お父さんは子供を抱っこして、
ある人たちはその場に立ち止まり、長い時間笑いあっていた。

僕はそこにいる全員に、太陽の光が平等に降り注いでいた光景が素敵だと思いシャッターを切った。

同じ太陽の光が今も世界中に降り注いでいる。
それは、これからもずっと。

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PROFILE

永瀬正敏

1966年宮崎県生まれ。1983年、映画「ションベン・ライダー」(相米慎二監督)でデビュー。ジム・ジャームッシュ監督「ミステリー・トレイン」(89年)、山田洋次監督「息子」(91年)など国内外の約100本の作品に出演し、数々の賞を受賞。カンヌ映画祭では、河瀬直美監督「あん」(2015年)、ジム・ジャームッシュ監督「パターソン」(16年)、河瀬直美監督「光」(17年)と、出演作が3年連続で出品された。近年の出演作に常盤司郎監督「最初の晩餐」、オダギリジョー監督「ある船頭の話」、周防正行監督「カツベン!」、甲斐さやか監督「赤い雪」など。写真家としても多くの個展を開き、20年以上のキャリアを持つ。2018年、芸術選奨・文部科学大臣賞を受賞。

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