魅せられて 必見のヨーロッパ

金色に輝く夕暮れのバイカル湖 リストヴャンカ ロシアの旅(2)

ツアーの行き先としてはあまりメジャーでないけれど、足を運べばとりこになる。ヨーロッパを知り尽くした作家・写真家の相原恭子さんがそんな街を訪ねる「魅せられて 必見のヨーロッパ」。今回は、2月に出かけたロシア旅の2回目、バイカル湖畔(こはん)の観光地、リストヴャンカです。夕暮れ時には千変万化する空や、金色に輝くバイカル湖を堪能できました。

【動画】リストヴャンカの魚市場

<-27℃ ガラスのように凍ったバイカル湖を歩く ロシアの旅(1)>はこちら

アンガラ川の流れ出す地

前回紹介したバイカル湖畔の小村ボリショエ・ゴロウストノエでは、-27℃という極寒の中、地元の姿に触れた一日でしたが、今回はバイカル湖畔の観光地リストヴャンカへ行きます。イルクーツクから約70㎞のドライブです。

金色に輝く夕暮れのバイカル湖 リストヴャンカ ロシアの旅(2)

青空と雪、透明なアンガラ川のさわやかな風景

リストヴャンカから眺めるアンガラ川の風景です。写真の左方向がバイカル湖で、アンガラ川は右方向へ流れ出します。

金色に輝く夕暮れのバイカル湖 リストヴャンカ ロシアの旅(2)

シャーマンの岩(手前)

水面から頭を出して雪をかぶった小さな岩が、シャーマンの岩です。ガイドのアチョムさんが、この岩についてのドイツ語資料をくださいました。

要約すると、バイカル(湖)には働き者の息子が何人もいましたが、歌が好きな娘アンガラ(川)を特に愛していました。ところがアンガラは、美しくたくましい青年エニセイ(川)に恋して、彼の元へ行こうとします。怒ったバイカルは岩を投げてアンガラの行く手を阻もうとしましたがかなわず、アンガラはエニセイと手を取りあって北極海へ駆け落ちしてしまいました。この時にバイカルが投げ込んだ岩が、シャーマンの岩だといわれています。

地理的に見るとアンガラ川はエニセイ川に合流し、エニセイ川は北極海へ注ぎますから、なるほどと思わせる言い伝えです。 

オームリの並ぶ魚市場

さっそく、湖畔の道を進み魚市場へ向かいました。カラフルな建物です。

金色に輝く夕暮れのバイカル湖 リストヴャンカ ロシアの旅(2)

魚市場の入り口

冒頭の動画で紹介したのが、魚市場の様子です。「オームリ、オームリ!」とバイカル湖名産の魚オームリを売る声が響きます。前回の記事にオームリのスープを掲載しましたが、さっぱりとした味わいでマスの仲間の魚です。市場では干したものを蒸して売っています。燻製(くんせい)の強い香りが漂っていました。

この地方の特産である松の実や、松の実入りのチョコレート、民芸品を売るスタンドが並び、しばし散策を楽しみました。

シベリア抑留者が眠る日本人墓地

街の丘の中腹には日本人墓地があります。

金色に輝く夕暮れのバイカル湖 リストヴャンカ ロシアの旅(2)

墓石が並ぶ日本人墓地

ここに眠る方々のお名前が、それぞれの墓石にカタカナで書かれています。入口の立て札には、第2次世界大戦後、ソ連国内に多くの日本人が抑留され、約10人に1人は祖国へ帰れず、イルクーツク州には80カ所を超える日本人墓地が発見されており、リストヴャンカの墓地が最大である、と書かれています。

暖冬傾向の昨今に比べれば、当時はずっと寒かったかもしれません。ガイドのアチョムさんによれば、ほとんどの方が結核で亡くなられたといいます。十分な防寒具も食料も与えられず重労働を強いられる過酷さを想像すると、胸が痛みます。

金色に輝く夕暮れのバイカル湖 リストヴャンカ ロシアの旅(2)

墓地の入り口から見たリストヴャンカの集落

日本から遠く離れてここに眠る人々。あまりに悲しい歴史と戦争の犠牲を忘れてはならないと強く思いました。

道しるべのようなホテル

バイカル湖畔の「マヤーク・ホテル」にチェックインしました。

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宿泊した「マヤーク・ホテル」

マヤークとはロシア語で灯台という意味です。確かに、バイカル湖を航行する船の道しるべになりそうな場所にあります。

金色に輝く夕暮れのバイカル湖 リストヴャンカ ロシアの旅(2)

望遠レンズでバイカル湖を撮影

ホテルの部屋のベランダから目の前のバイカル湖を見晴らすと、湖上を散策する観光客が遠くに小さく見えます。その向こうに、雪を頂いたブリヤート共和国(ロシア)の山々がそびえています。

金色に輝くバイカル湖の湖面

金色に輝く夕暮れのバイカル湖 リストヴャンカ ロシアの旅(2)

私もバイカル湖へ

私もバイカル湖へ散策に出ました。傾きかけた日の光と雲の色彩の変化が美しくて、思わず見とれます。

金色に輝く夕暮れのバイカル湖 リストヴャンカ ロシアの旅(2)

さらに日が傾くと、氷結した湖面が金色に輝きます


金色に輝く夕暮れのバイカル湖 リストヴャンカ ロシアの旅(2)

茜色(あかねいろ)や黄色など微妙に色彩を変え続ける雲

眺めていると時が過ぎるのを忘れてしまいます。

金色に輝く夕暮れのバイカル湖 リストヴャンカ ロシアの旅(2)

アンガラ川方向を眺めると、濃いサーモンピンク色の空が

この日は-12℃程度。東京で気温が氷点下になればおおごとですが、ここにいると「今日はあまり寒くない!」と感じるから不思議です。私も極寒に慣れてきたのかもしれません。

ここからホーバークラフトで氷結したバイカル湖上を走り、対岸のブリヤート共和国へと、私のシベリアの旅は続きます。

マヤーク・ホテル
http://mayakhotel.ru

Metropol-Express
http://metropol-express.ru/eng/index.wbp

S7航空
https://www.s7.ru/

日本旅行業協会
https://www.jata-net.or.jp/

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PROFILE

相原恭子(文・写真)

慶應大学卒業。ドイツ政府観光局勤務を経て、作家&写真家。「ドイツ地ビール夢の旅」(東京書籍)、「ドイツビールの愉しみ」(岩波書店)、「ベルギー美味しい旅」(小学館)、「京都 舞妓と芸妓の奥座敷」(文春新書)、「京都 花街ファッションの美と心」(淡交社)、英語の著書「Geisha – A living tradition」(フランス語、ハンガリー語、ポーランド語版も各国で刊行)など著書多数。国内はもちろん、国際交流基金・日本大使館の主催でスペイン、ハンガリー、エストニアで講演会や写真展多数。NHK「知る楽」「美の壺」、ラジオ深夜便「明日へのことば」「ないとエッセー」、ハンガリーTV2、エストニア国営放送など出演多数。
https://blog.goo.ne.jp/goethekyoko

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