永瀬正敏フォトグラフィック・ワークス 記憶

(56) 真夏と真冬が同居する幻想 永瀬正敏が撮った青森

国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回は、「青森ねぶた祭」の踊り手である跳人(ハネト)がかぶる花笠の写真です。ちょっと不思議な雰囲気に仕上がった、その理由とは。

(56) 真夏と真冬が同居する幻想 永瀬正敏が撮った青森

©Masatoshi Nagase

2012年に青森県立美術館で「Aの記憶〜Memories of A」という写真展を開催させていただいた。
その際に撮影した1枚だ。

夏の「ねぶた祭」の時に跳人の方々がかぶる花笠を、
真冬の雪の中に配置し撮影した。
その時の思いは<雪原に、夏のハネト衣装で横たわる>をお読みいただければ。

こちらの作品はもともと、このような写真を撮影しようと、
考えて準備していたわけではない。
突然、「この雪の中に花笠を置いてみようか」と思いついて、
撮影したものだ。
結果、自分の中ではこのカットも真夏と真冬の青森を、
一つの写真に込められたような気がしている。
僕は青森という街がその二つの季節とも美しいと思っていて、
様々な撮影をしながら無意識に、
二つの季節を同居させた作品を撮りたいと思っていたのかもしれない。

実はこの後もう1カット、対になるような作品も撮影した。
それは次週アップさせていただければと思う。

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PROFILE

永瀬正敏

1966年宮崎県生まれ。1983年、映画「ションベン・ライダー」(相米慎二監督)でデビュー。ジム・ジャームッシュ監督「ミステリー・トレイン」(89年)、山田洋次監督「息子」(91年)など国内外の約100本の作品に出演し、数々の賞を受賞。カンヌ映画祭では、河瀬直美監督「あん」(2015年)、ジム・ジャームッシュ監督「パターソン」(16年)、河瀬直美監督「光」(17年)と、出演作が3年連続で出品された。近年の出演作に常盤司郎監督「最初の晩餐」、オダギリジョー監督「ある船頭の話」、周防正行監督「カツベン!」、甲斐さやか監督「赤い雪」など。写真家としても多くの個展を開き、20年以上のキャリアを持つ。2018年、芸術選奨・文部科学大臣賞を受賞。

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