京都ゆるり休日さんぽ

読んで楽しむ空想京都さんぽ。旅の起点にも終点にもなる「京都駅」エリアへ

旅行やお出かけが難しい今、これまで連載でご紹介してきたスポットをエリア別にピックアップし、空想の京都さんぽにお連れします。心おきなく京都に出かけられるようになったら、気になるエリアをどんなコースで巡ろうか、考えるのにぜひ参考にしてみてください。第2回は「京都駅」周辺。京都に到着して一番に向かうも良し、旅のしめくくりに立ち寄るも良しの、押さえておきたいエリアです。

■暮らすように、小さな旅にでかけるように、自然体の京都を楽しむ。連載「京都ゆるり休日さんぽ」はそんな気持ちで、毎週金曜日に京都の素敵なスポットをご案内しています。
(文:大橋知沙/写真:津久井珠美)

※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、営業状況が変更されている場合があります。ご注意ください。

京町家の空間とともに。煎を重ねて味わうお茶

煎茶

「煎茶 和束茶」(小菓子付き1,100円・税込み)。「豆腐白玉団子」にはくるみあん、黒ごまペーストをちょんとのせて

再開発が進む京都駅エリアの一角で、時を止めたかのように古き良きたたずまいを残す一軒の京町家が「aotake(アオタケ)」。日本茶・紅茶・中国茶と3種のお茶に特化したカフェです。まずはこちらで、奥深いお茶の世界と京町家の空間にひたることにしましょう。店主の田中貴子さんがえりすぐった上質な茶葉を、一煎、二煎とじっくり味わい尽くすのが、この店の時間の過ごしかた。煎を重ねるごとにうつろうお茶の風味、いれてくれる所作や茶器の美しさなどを目と舌で楽しむうちに、いつしか心が穏やかに整っていくようです。

店内

土壁は既存のものを生かし、古材や古い建具を使ってリノベーションした空間。小さな庭を眺めながら

築100年ほどの京町家は、田中さんが所属していたNPO法人「古材文化の会」を通してめぐりあった家。20年空き家だった空間を、古材や古い建具、季節のしつらえが映えるように、田中さん自身の手でリノベーションしました。心を落ち着けてじっくりとお茶を味わうということは、お茶をとりまく芸術や文化を知るということ。その体験は、これまで何げなく飲んでいたお茶の理解をぐっと深めるきっかけになるはずです。

aotake(アオタケ)
https://www.instagram.com/kyoto_aotake/?hl=ja

■紹介記事はこちら
美しく奥深きお茶の世界へ。街の片すみに息づく京町家カフェ「aotake」

行列のできる人気カフェのコーヒー豆とアンティーク

お茶の文化が盛んな京都ですが、近年外せないのが、個性的な自家焙煎(ばいせん)コーヒーの登場。古きよき喫茶文化が根付く街で、若き焙煎家たちが風味もデザインもさまざまなコーヒー豆を作り、新しい風を吹かせています。

外観

堀川七条の交差点にひときわ目を引く古ビル。ギャラリーでは不定期で企画展も開催される

その筆頭となるのが、北大路の人気カフェ「WIFE&HUSBAND(ワイフ・アンド・ハズバンド)」(以下W&H)の焙煎所&ギャラリー「ROASTERY DAUGHTER(ロースタリー・ドーター) / GALLERY SON(ギャラリー・サン)」(以下D&S)。京都駅から西へ10分ほど。石の壁や鉄の窓枠が味わい深い古ビルの外観に、「COFFEE」の文字が目印です。

店内

キッチンの棚にそのまま置いてもサマになる箱入りのコーヒー豆。グリーンの薄紙でつつむ箱なしの簡易包装は焙煎所限定での販売

ここでは、世界中にファンを持つW&Hのコーヒー豆が、美しいネイビーの箱におさめられて並びます。焙煎所限定で簡易パッケージやギフトセットもあり、自宅用にも贈りものにもフィットする心づかいがうれしいもの。2階のギャラリーは店主の吉田恭一さんが集めたアンティークや古道具が並び、漂うコーヒーの香りとともに、物語の中に入り込んだかのような時間を過ごすことができます。自宅用とおみやげにコーヒー豆を、美しいたたずまいの古道具を来訪の思い出に、ぜひ持ち帰ってみてください。

ROASTERY DAUGHTER / GALLERY SON(ロースタリー・ドーター/ギャラリー・サン)
https://www.wifeandhusband.jp

■紹介記事はこちら
焙煎したてのコーヒーと古道具が彩る 人気カフェWIFE&HUSBANDの新拠点

あふれだす半熟卵×デミグラスソースの黄金コンビ

店内

駐車場があり、大人数や家族連れでも利用できる大箱のレストラン。窓からは堀川通りの並木が眺められる

ランチは、D&Sから歩いて10分ほどのレストラン「西洋酒樓 六堀(せいようしゅろう ろくぼり)」へ。形を保っているのが不思議なくらい、ふるふるの状態できれいに巻かれた卵がのった「クラシックオムライス」がこちらの名物です。ナイフを入れると、とろとろの半熟に仕上げた卵が瞬く間にあふれだし、コク深いデミグラスソースと極上のハーモニーを奏でます。

クラシックオムライス

「クラシックオムライス」(ランチ・サラダ付き1,595円、ディナー1,815円・いずれも税込み)

フレンチの人気店「レストランむとう」でシェフを務めた後、「よりカジュアルに洋食を味わえる店を」と「六堀」をオープンした、シェフの清水正さん。「うちの洋食は定番ばかり。当たり前のことを当たり前にやっているだけなんです」と笑いますが、デミグラスソースにステーキに使うクラスの牛肉のスジやスネを使っていたり、テーブルにサーブする時間も計算に入れて卵を半熟に焼きあげたりと、こまやかな気配りと熟練の技術がその味を支えています。基本に忠実だからこそ、誰にとっても幸せで、どこかなつかしく、おいしい。老若男女に愛される洋食の一皿を味わってみてください。

西洋酒樓 六堀 ※臨時休業中です。
https://www.roku-bori.jp

■紹介記事はこちら
半熟卵があふれ出す、洋食店の正統派オムライス「西洋酒樓 六堀」

京都の和食を支える「おだし」を飲み比べ

うね乃本店

東寺の西側に本店を構える「うね乃」。隣には工場もあり、削り機を見学できることも

お昼ごはんのあと、ほかのエリアに移動しても良いですが、もし時間があればタクシーか、京都駅から電車で一駅の西大路駅まで。京都のだし専門店「うね乃」本店で、京都自慢のおだし文化を学びましょう。「うね乃」は、京都人なら誰もが名前を知る、「ちょっとええおだし」の名店。昔ながらの削り機で、上質な素材を無添加で仕上げる削り節は、いつもの料理をぐっとレベルアップさせてくれる存在です。

ODAIDOKO

本店奥の「ODAIDOKO(おだいどこ)」では、だしの試飲のほか、不定期でワークショップや料理教室も開催される

「うね乃」のおだしは百貨店やお土産店などでも取り扱いがありますが、だしの試飲や飲み比べ、併設の工場で削り節を削る様子を見学できたり、削りたてを持ち帰ったりできるのは本店だけ。削り節一つとっても、魚の種類や加工方法、削り方などさまざまなので、よく作る料理や味の好みに合わせて選べる楽しみがあります。正しいだしの取り方や料理への展開の仕方を教えてもらうと、「おだしでこんなに違うなんて」と発見と感動の連続です。

うね乃本店
https://odashi.com

■紹介記事はこちら
京都「うね乃」で見つける和食の神髄・おだしのチカラ

     ◇

お茶とコーヒー、洋食の定番と和食の基本……と、対になりつつも京都の食文化を表すような4軒となりました。商業施設やホテルの合間を縫うように点在する、京都駅エリアの良質な個人店や老舗を知っておくと、旅の時間を有効に使えそうです。コースで巡っても、スキマ時間に気になる1軒にサクッと立ち寄っても。自分らしい京都旅行をデザインしてみてくださいね。

このエリアの他のスポットはこちら(営業状況は各所にお問い合わせください)

古道具・骨董好きがこぞって通う、京都「東寺がらくた市」
白くミニマルな空間で味わうコーヒーと時間の豊かさ 「walden woods kyoto」
大人も遠足気分 京都水族館&京都鉄道博物館へGO!

■「京都ゆるり休日さんぽ」のバックナンバーはこちら

BOOK

読んで楽しむ空想京都さんぽ。旅の起点にも終点にもなる「京都駅」エリアへ

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が6月7日に出版されました。&TRAVELの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。税別1200円。


PROFILE

  • 大橋知沙

    編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブックやWEB、ライフスタイル誌などを中心に取材・執筆を手がける。本WEBの連載「京都ゆるり休日さんぽ」をまとめた著書に『京都のいいとこ。』(朝日新聞出版)。編集・執筆に参加した本に『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

  • 津久井珠美

    1976年京都府生まれ。立命館大学(西洋史学科)卒業後、1年間映写技師として働き、写真を本格的に始める。2000〜2002年、写真家・平間至氏に師事。京都に戻り、雑誌、書籍、広告など、多岐にわたり撮影に携わる。

読んで楽しむ空想京都さんぽ。センスの良い個人店が集まる「御所南」エリアへ

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読んで楽しむ空想京都さんぽ。「北野」エリアで甘いもの巡り

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