楽しいひとり温泉

温泉+オーガニック 無農薬野菜でつづる食のおとぎ話 須賀川温泉「おとぎの宿 米屋」

体にも心にも優しくておいしい旅がしたい。その地に湧く天然100%の温泉に入り、肌と体を癒やしたら、安心・安全・おいしいにこだわった、自然派おとぎ会席に舌鼓。お皿の上でつづられる「食のおとぎ話」は、無農薬・有機栽培の野菜や、飼育環境にまでこだわった肉や魚で作られています。自分の体をいたわって明日への力をチャージする温泉旅です。

(トップ写真:大浴場の内湯は幅1.8メートルの大きな湯口から滝のように温泉が注がれる)

■連載「楽しいひとり温泉」は、全国各地の温泉をめぐり、温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する、温泉ビューティー研究家の石井宏子さんが、テーマごとにひとり温泉にぴったりなお宿を紹介します。

とろとろの温泉ざんまいが楽しめる一軒宿

大浴場「月」

大浴場「月」の露天風呂は、ぜいたくなヒノキの湯船

福島県の須賀川温泉「おとぎの宿 米屋(よねや)」は、田園風景を見渡す高台の森にある一軒宿です。こんこんと湧く豊富な自家源泉と自然素材を使ったナチュラルな建築、楽しくておいしいおとぎ会席で人気の宿でしたが、安心安全でおいしいものへと、さらなる追求が始まったきっかけは、2011年の東日本大震災の影響だったそうです。16年には温泉旅館としては日本初の「ビオホテル」認証を取得し、オーガニックな食と滞在を楽しむ温泉宿になったのです。

敷地から湧く自家源泉は湯量豊富で、大浴場も足湯も全室にある専用の温泉も、全て源泉かけ流し。雰囲気が異なる二つの大浴場は男女入れ替え制で1泊で両方巡れます。入ってすぐにわかる、とろんとろんの感触は「まるで美容液につかっているみたい」と、うっとりしてしまいます。泉質は、アルカリ性単純温泉で、せっけんのように肌の汚れや古い角質を優しく落としてすべすべ肌に整える美肌の湯です。光が差すと、やや褐色に見える透明な湯は、ほんのり森のような香りがします。

ミストサウナ

源泉が降り注ぐミストサウナは感動的

大浴場には、なんと、源泉のミストサウナがあります。天井からも源泉のミストが降り注ぎ、壁一面にザーザーと流れ落ちる温泉がとめどなく床を流れています。頭のてっぺんからつま先まで全身が美肌湯まみれ。ぜいたくな源泉サウナです。

デザイナーズチェアでくつろぐ部屋

客室

全室専用の温泉付き。異なるデザイナーズチェアも楽しみ

ひとり旅プランは、部屋おまかせ。どの部屋になっても専用の温泉がついています。インテリアや造りが少しずつ異なるので行ってのお楽しみです。部屋ごとに違うデザイナーズチェアがあり、湯上がりに心地よい椅子に腰かけてぼーっとする時間も幸せです。写真はおとぎの丘の「小さなしずく」という部屋で、デンマークのデザイナー「イップ・コフォード・ラーセン」の椅子。長時間美しい姿勢で座れると言われる名作です。

温泉

自分だけの源泉かけ流し温泉を独占

部屋専用の温泉は、温泉通ならではの利用法があります。源泉かけ流しなのですが、源泉温度が熱めなので、部屋に到着したら、温泉の蛇口をひねって一度温泉を止めて湯船の中のお湯を冷ましておきます。で、入浴する少し前に熱い源泉を注ぎ入れて湯船の中を適温に調整すれば、熱い温泉を水でうすめることなく、源泉100%で楽しめるというわけです。自分だけのために注がれた「とろとろの温泉」を独り占め。幸せなひと時です。

館内のカフェで、オーガニックコーヒーを

カフェ

自由にコーヒーやお茶が楽しめるライブラリーカフェ

館内には宿泊者専用のライブラリーカフェ「音戯(おとぎ)の森」があります。優しい音楽が流れる居心地のいい空間で、滞在中いつでも自由にオーガニックコーヒーや紅茶などを無料で飲むことができます。大浴場のすぐ奥にあり、湯上がりにふらりと立ち寄ってカフェラテを楽しみました。

食で楽しむおとぎ話「自然派おとぎ会席」

会席のテーマ

季節ごとに変わる「自然派おとぎ会席」

おとぎ話をモチーフにした「おとぎ会席」は、季節ごとに年4話、お話もメニューもがらりと変わります。19年12月に宿泊した時のストーリーは「白雪姫」。毎回、おかみの有馬みゆきさんと料理チームが練りに練った趣向で、お話の展開と料理メニューを考えるそうです。どのおとぎ会席も、全て無農薬・無肥料の自然栽培や有機栽培の野菜、放牧飼育や天然物の肉、卵、魚介、無添加で伝統的製法の天然調味料のこだわりを貫いています。

前菜

前菜は白雪姫が迷い込むおとぎの森から

白雪姫が迷い込んだおとぎの森へ誘う前菜は3種のおいものアミューズ。丸くくりぬかれたおいもは、そう、白雪姫のりんごのイメージです。じゃがいも、里芋、サツマイモと味わい深い無農薬野菜と一緒に楽しみます。

ふぐのあぶり

天然物の厚切りふぐのあぶりをハーブと一緒に

厚切りあぶりふぐと冬野菜のサラダ・7種のハーブのお料理は森の中の小さな世界を連想させます。天然物のふぐの厚切りはうまみが口中に広がり、力強いハーブの香りとのハーモニーが絶妙。

短角牛

希少な短角牛のほろほろ煮に感激

メインは短角牛のほろほろ煮。岩手県・柿木畜産の短角牛は春から秋まで自然放牧されて育ち、赤身肉のうまみが特徴。ほろほろと箸で崩せるほどやわらかく煮込み、ふろふき大根の上にのって登場。甘みたっぷりでほかほかの冬大根と深い味わいの短角牛が、しみいるようにおいしい一皿でした。

朝湯に入って、きれいになる朝ごはん

大浴場「花」

大浴場「花」の露天風呂

朝は、昨日とは異なる大浴場へ。露天風呂は、湯船の下から源泉を注ぎ入れる技ありの造り。

数カ所の注ぎ口から熱い源泉が入るので、湯船のどこにいても気持ちのいい適温。そして、空気に触れずに新鮮な状態で温泉を楽しむことができるので、とろとろの感触を堪能できるのです。

朝ごはん

朝ごはんもオーガニック食材がずらり

「きれいになる朝ごはん」と題されたイラスト付きのお品書きには、朝食に使われている食材のこだわりがぎっしり書かれています。最初に食べるのはサラダ。ベジファーストで食物繊維や酵素を体に取り入れる食べ方を推奨しています。有機大豆ミヤギシロメと天然にがりで地元のお豆腐屋さんが手づくりする豆腐、オーガニックの納豆やオリーブオイル、手作業で天日干しする魚、平飼い鶏の卵、無農薬・有機栽培のお米の釜炊きごはん。体に優しいもので満たされる朝ごはんでした。

福島県・須賀川温泉 おとぎの宿 米屋
※緊急事態宣言にともない2020年5月31日まで営業自粛し、臨時休業中です。
http://e-yoneya.com/

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.オーガニックなおとぎ会席
2.とろとろの美容液温泉
3.全館全室が自家源泉かけ流し

BOOK

温泉+オーガニック 無農薬野菜でつづる食のおとぎ話 須賀川温泉「おとぎの宿 米屋」

全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!

石井宏子さんの著書「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)が11月16日に出版されました。温泉ビューティー研究家・旅行作家ならではの、旅してみつけた、女性がひとりで安心して楽しめる温泉宿を紹介するハンディーな一冊。公共交通機関で行ける、自分へのごほうびで泊まりたい、いい宿を全国から厳選し、あわせて、女性目線で選んだ周辺の立ち寄り先、ランチやスイーツも取り上げます。ひとりでも楽しい観光列車も登場します。税別1400円。

PROFILE

石井宏子

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書に「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)、「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)、「感動の温泉宿100」(文春新書)などのほか、「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)が11月に発売された。

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