京都ゆるり休日さんぽ

読んで楽しむ空想京都さんぽ。「北野」エリアで甘いもの巡り

旅行やお出かけが難しい今、これまで連載でご紹介してきたスポットをエリア別にピックアップし、空想の京都さんぽにお連れします。心おきなく京都に出かけられるようになったら、気になるエリアをどんなコースで巡ろうか、考えるのにぜひ参考にしてみてください。第3回は、金閣寺や龍安寺、北野天満宮など名所の多い「北野」エリアでの、甘いもの巡りをお届けします。範囲が広いので、バスやタクシー、レンタサイクルなどを活用するのがおすすめです。

■暮らすように、小さな旅にでかけるように、自然体の京都を楽しむ。連載「京都ゆるり休日さんぽ」はそんな気持ちで、毎週金曜日に京都の素敵なスポットをご案内しています。
(文:大橋知沙/写真:津久井珠美)

※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、営業状況が変更されている場合があります。ご注意ください。

一目で心が弾み、一口で夢中になる。ドーナツとチーズケーキ

Kew

モダンブリティッシュの先駆けであるレストラン「セント・ジョン」のペストリー部門で働いていた大木健太さん。帰国後、真奈美さんの地元であるこの地域に店を開いた

嵐電北野線・龍安寺駅から北へと続く、三角旗が飾られた龍安寺参道商店街。その一角に、全国から甘いもの好きが集まる小さなカフェがあります。「Kew(キュー)」は、ロンドンで出会った大木健太さん・真奈美さん夫妻が開いた、ブリティッシュスタイルのスイーツを堪能できる店。一目見たら忘れられない、クリームがたぷたぷに詰まった「カスタードドーナツ」が「Kew」の名物。「口の周りを砂糖でいっぱいにしてかぶりつきたい」と夢見ずにはいられないルックスです。

ベイクドチーズケーキ

「ベイクド チーズケーキ」(イートインのみ。ドリンクとセットで1550円~)には季節替わりのフルーツが添えられる

サーブする直前に切り分けないとくずれてしまうほど、とろけるようになめらかなチーズケーキもドーナツと並ぶ人気もの。いずれもドリンクとセットのイートインのみなので、「どちらを食べようか?」選ぶのは真剣勝負です(中には両方オーダーする人も!)。オープン時は客席は7席のみでしたが、隣接する建物を改装してスペースを広げ、近日お披露目予定。運ばれてきた瞬間笑顔になるスイーツと新しくなった「Kew」に、早く再会したいですね。

Kew(キュー)
https://www.kewkyoto.com

■紹介記事はこちら
夢中でほおばる甘い幸せ。京都「Kew」のドーナツとチーズケーキ

古典から抽象まで。斬新でエネルギッシュな堂本印象の芸術にふれる

庭園

庭園は散策自由。バス停「立命館大学前」が美術館に隣接しているので、バスを待つ間に庭園や建築を鑑賞しても(画像提供:京都府立堂本印象美術館)

さて「Kew」から北へ向かえば龍安寺や仁和寺、少し北東に足を延ばせば金閣寺があります。その中ほどにある「京都府立堂本印象美術館」は、散歩の途中や寺院とあわせて立ち寄るのにもぴったりな、コンパクトな美術館。日本画家・堂本印象の私設美術館として1966年に開館し、92年に府立として再開館しました。建物のデザインまで印象自身が手がけているため、鑑賞券不要で入れる庭園と外観を眺めるだけでも楽しめます。

美術館ロビー

多彩な装飾が楽しめるロビーは入場無料&撮影OK。展示の抽象画だけでなく、壁やドアのレリーフまで印象のデザインによるもの(画像提供:京都府立堂本印象美術館)

1891(明治24)年に京都に生まれ、寺社の障壁画も数多く手がけた印象。印象の地元でもあるここ北野の仁和寺のふすま絵や紅葉の名所・東福寺の天井画、晩年の大作となった法然院のふすま絵などで知られます。一方で、戦後は洋画や現代アートの影響を強く受け、独自の抽象表現を追求した画家でもあります。彫刻、陶芸、染織などあらゆる表現を凝らした、空間丸ごとの芸術世界もぜひ味わってみてください。

京都府立堂本印象美術館
https://insho-domoto.com

■紹介記事はこちら
空間が丸ごとアート。エネルギッシュな抽象画の世界に飛び込む「京都府立 堂本印象美術館」

老舗フルーツパーラーの味を片手に散歩

美術館を出たら、散歩しながら北野天満宮方面へ向かいます。10分ほど歩き、桜の名所・平野神社の向かいにあるのは、老舗のフルーツパーラー「クリケット」。2017年にリニューアルオープンしたスタイリッシュな内装ですが、1974(昭和49)年創業の歴史あるパーラーです。

フルーツゼリー

「フルーツゼリー」(700円・税込み)。フレッシュなかんきつの酸味と生クリームがどこか懐かしい味わい

フルーツを丸ごとくりぬき、フタの果汁をしぼり入れていただく「フルーツゼリー」は「果物をもっと身近に」という先々代の思いを形にしたもの。果物を手軽にスイーツとして味わうアイデアは、フルーツサンドやフルーツアイスバーなど、新しいメニューにも受け継がれています。フルーツの切り口や層になった色合いが美しいアイスバーは、これからの季節、散歩のおともにも。以前の店舗のトレードマーク、クリケット(コオロギ)が描かれたすりガラスも、店内のどこかにあるので見つけてみてくださいね。

フルーツアイスバー

「フルーツアイスバー」(各480円・税込み)。こちらは「マンゴーヨーグルト」。他に「バナナチョコレート」「カシスミックス」など全6種類のフレーバーがある

クリケット
http://www.cricket-jelly.com

■紹介記事はこちら
京都のフルーツパーラー「クリケット」のフルーツの楽しみかた

一枚一枚焼き上げる、手作りの個性派どらやき

持ち帰り専用小窓

店内はカウンターのみ。持ち帰りは専用の小窓から声をかけて購入する。「まだある?」とのぞく常連客も多い

最後に、京都のおやつといえば欠かせない和菓子も買って帰りましょう。黒糖ラムレーズン、桜チーズ、レモンとバターと白あずき……と、その名前だけでおなかが“ぐぅ”と鳴りそうな多彩なあんこが魅力の「どらやき 亥ノメ(いのめ)」。季節の素材と、トーストやケーキを思わせる組み合わせの妙に、あれもこれもと欲張りたくなる品ぞろえです。

どらやきセット

店内でいただく「どらやきセット」(930円・税込み)は特大サイズ。ラムレーズン、バター、クリームチーズ、塩などを、お好みで加えて味の変化を楽しめる

ふだんは焼きたて、ほかほかのどらやきを、カウンターで食べることができる喫茶を併設。一方で、手土産やおやつを求めてふらりと立ち寄る人が途絶えない、地元に愛される和菓子店でもあります。持ち帰りや発送用のどらやきは、イートイン用とは生地の配合を変え、日持ちや食感を大切に。しかし、シンプルな材料を使い、無添加で、店主の大塚英晃さんが一枚一枚手焼きするスタンスは変わりません。一口いただけば、小麦と卵の風味が生きたふんわり生地と、自慢のあんこの名コンビに「もう一つ」と手が出ること請け合いです。

どらやき 亥ノメ(いのめ)
https://www.instagram.com/dorayaki.inome/?hl=ja

■紹介記事はこちら
“焼きたて”を頬張る幸せ。「どらやき亥ノメ」のほかほかどらやき

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名所の多いエリアながら、衣笠山の自然や路面電車の嵐電北野線などにどこかレトロな雰囲気が漂う、北野エリア。地元の人々が愛するおやつで休憩しながら、旅の京都とふだんの京都を行き来してみてください。

このエリアの他のスポットはこちら(営業状況は各所にお問い合わせください)

夏の京都・龍安寺 対照的な二つの美、見頃のスイレンと謎多き石庭
終い天神の寄り道に。330年以上続く「粟餅所・澤屋」で一服

■「京都ゆるり休日さんぽ」のバックナンバーはこちら

BOOK

読んで楽しむ空想京都さんぽ。「北野」エリアで甘いもの巡り

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が6月7日に出版されました。&TRAVELの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。税別1200円。


PROFILE

  • 大橋知沙

    編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブックやWEB、ライフスタイル誌などを中心に取材・執筆を手がける。本WEBの連載「京都ゆるり休日さんぽ」をまとめた著書に『京都のいいとこ。』(朝日新聞出版)。編集・執筆に参加した本に『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

  • 津久井珠美

    1976年京都府生まれ。立命館大学(西洋史学科)卒業後、1年間映写技師として働き、写真を本格的に始める。2000〜2002年、写真家・平間至氏に師事。京都に戻り、雑誌、書籍、広告など、多岐にわたり撮影に携わる。

読んで楽しむ空想京都さんぽ。旅の起点にも終点にもなる「京都駅」エリアへ

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読んで楽しむ空想京都さんぽ。「四条・烏丸御池」街なかごはん朝昼晩

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