にっぽんの逸品を訪ねて

行ったつもりで楽しむ自然の逸品“奥入瀬渓流編”

自然がいきいきと輝く季節ですが、外出を自粛して、室内でお過ごしの方が多いと思います。そこで、屋内でも旅行気分を楽しんでいただきたいと思い、過去の旅の思い出の中から、初夏の青森県・奥入瀬(おいらせ)渓流を動画と写真でご紹介します。爽やかな風や水音、鳥のさえずりなどを、ぜひご想像ください。

連載「にっぽんの逸品を訪ねて」は、ライター・中元千恵子さんが日本各地の逸品を訪ね、それを育んだ町の歴史や風土を紹介します。

【動画】奥入瀬渓流

水と緑が美しい渓流を散策

奥入瀬渓流は、青森県と秋田県の境にある十和田湖の東岸、子ノ口(ねのくち)から焼山(やけやま)まで続く約14キロメートルの渓流です。

ブナやカツラなどの森林におおわれ、澄んだ水がときに緩やかに、ときに激しく流れ、変化にとんだ景色が次々と現れます。渓流沿いには遊歩道が整備され、並行して走る国道にはバスも通っています。バスを利用すれば自分の体力に合わせた距離が歩けます。

案内図

散策の案内図もあって安心

この日のスタートは、下流の石ヶ戸(いしけど)付近から。石ヶ戸は巨大な岩がカツラの木に支えられて、岩小屋のようになっています。昔、ここにお松という女性の盗賊が住んでいたと伝説が残っていて、人が十分入れる大きさです。

石ヶ戸

「石ヶ戸」の“ヶ戸”は小屋の意味だそう

遊歩道を進むと、したたるような緑におおわれます。木立だけでなく、シダやコケも生き生きと輝くよう。澄んだ空気に、思わず深呼吸。

森林

森林に囲まれ、空気まで緑色に染まっているかのよう

やがて水音が大きくなって、奥入瀬渓流のなかでも有名な「阿修羅(あしゅら)の流れ」に着きました。白く激しい水流が緑に映えるさまに思わず見入ってしまいます。多くの人がカメラを向けていました。

阿修羅の流れ

清流が左右にうねる「阿修羅の流れ」

水とコケ

白い水とコケの緑のコントラストもきれい

歩き進むと、コケむした岩が島のように見える「九十九(くじゅうく)島」や、水が跳びはねているように見える「飛金(とびがね)の流れ」、白く輝くような水流の「白銀の流れ」などの見どころが現れます。

華麗、豪快 滝探しも楽しみ

そして、渓流にはたくさんの滝も流れ落ちています。「雲井の滝」は、見上げた断崖から3段に屈折して流れ落ちる華麗な姿です。

雲井の滝

高さ20メートルの「雲井の滝」

コケむした木道は歴史を感じさせます。昔から、多くの人に愛されてきた奥入瀬渓流は文人墨客も多く訪れました。中でも明治から大正時代に活躍した詩人・大町桂月の「住まば日本(ひのもと)、遊ばば十和田、歩きゃ奥入瀬三里半」の言葉が有名ですね。

木道

木道や木橋も風情があります

国道沿いや対岸にも次々に滝が現れます。「白絹の滝」、「白糸の滝」、「不老の滝」、そして国道側にある「双(とも)白髪の滝」の四つの滝は総称して「一目四滝(ひとめよたき)」とよばれています。木々に隠れて遊歩道からは見えない滝もありますが、探すのも楽しみです。

白糸の滝

木立の向こうに見え隠れする「白糸の滝」

やがて豪快な水音が響き、「銚子大滝」が姿を現しました。高さ7メートル、幅20メートルの堂々たる姿です。新緑や深緑の季節は爽やかな眺めで、そして秋の紅葉の季節はあでやかな光景で目を楽しませてくれます。

銚子大滝までくればもう間もなく十和田湖です。

銚子大滝

銚子大滝

自然は毎年変わらずに私たちを待っていてくれますので、あせらず、旅行ができる環境が整うのをしっかり待って、出かけたいですね。

【問い合わせ】
十和田湖国立公園協会
http://towadako.or.jp/

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PROFILE

中元千恵子

旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、『バリアフリーの温泉宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い。
全国各地のアンテナショップを紹介するサイト 風土47でも連載中

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