永瀬正敏フォトグラフィック・ワークス 記憶

(59)カメラがとらえた二つの物語 永瀬正敏が撮ったトルコ

国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回は、本連載初となるトルコでの写真。一見、のどかな海辺を撮ったようですが、永瀬さんの狙いは、ほかのところにありました。

(59)カメラがとらえた二つの物語 永瀬正敏が撮ったトルコ

©Masatoshi Nagase

2017年に訪れたトルコ・アンタルヤ。

初めて訪れる場所ではテンションが上がり、
いつも以上に撮影する枚数が増える。
ここアンタルヤでもたくさんの写真を撮影した。
美しい港街を時間を見つけてはカメラを手に辺りを歩いて回った。

これは、まず腰を下ろし空を見上げている男性が目につき、
思わずカメラを構えたのだが、
撮影する直前、遠くに、
ウェディングドレスとタキシードを着たカップルがいることに気がついた。
結婚式を挙げ、記念写真でも撮っているのだろうか。

この写真はあえて引きで捉えたものなので、
空を見上げる男性も、幸せそうなカップルもごく小さくしか写っていない。
しかし、この2組のコントラストから様々な物語が生まれるのではないか?
孤独と幸福、いやもしかしたら幸福と幸福……たくさんの物語が。

こういう出会いがあるので、いつもカメラは、手放せない。

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PROFILE

永瀬正敏

1966年宮崎県生まれ。1983年、映画「ションベン・ライダー」(相米慎二監督)でデビュー。ジム・ジャームッシュ監督「ミステリー・トレイン」(89年)、山田洋次監督「息子」(91年)など国内外の約100本の作品に出演し、数々の賞を受賞。カンヌ映画祭では、河瀬直美監督「あん」(2015年)、ジム・ジャームッシュ監督「パターソン」(16年)、河瀬直美監督「光」(17年)と、出演作が3年連続で出品された。近年の出演作に常盤司郎監督「最初の晩餐」、オダギリジョー監督「ある船頭の話」、周防正行監督「カツベン!」、甲斐さやか監督「赤い雪」など。写真家としても多くの個展を開き、20年以上のキャリアを持つ。2018年、芸術選奨・文部科学大臣賞を受賞。

(58)偶然の再会と思い立った時の瞬発力 永瀬正敏が撮ったニューヨーク

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