旅空子の日本列島「味」な旅

雄大な自然景観と真田氏の歴史を秘めた町 群馬県・沼田

群馬県北東部の沼田市は“天空の城下町・真田の里”をうたう、河岸段丘に築かれた真田氏ゆかりの城下町である。

4年前のNHK大河ドラマ『真田丸』で広く知られたように真田氏が5層の天守閣や櫓(やぐら)、門を構え、水利や田畑、町割りなど領内の復興に努めた足跡が残る。

鐘楼

沼田公園のシンボルの鐘楼

信之と小松姫の像

城跡に立つ城主真田信之と妻小松姫の像

沼田公園になった城跡の石垣や鐘楼、真田信之・小松姫像などがわずかに往時をしのばせるが、2019年5月7日にオープンした7階建てのテラス沼田(庁舎等複合施設)の沼田市歴史資料館では、沼田の成り立ちや風土を分かりやすく展示している。

沼田市歴史資料館

2019年5月にオープンした沼田市歴史資料館

天下分け目の関ケ原の合戦の際に、長男真田信之と当主昌幸・次男幸村が東軍(徳川方)と西軍(石田方)に分かれて戦い、家名を残した史話の解説もあった。

街を歩きながら、本多忠勝の娘で真田家に嫁いだ小松姫が眠る正覚寺、天桂寺、大ケヤキの須賀神社などで真田の時代に思いをはせた。

街なかでは名物の「味噌(みそ)まんじゅう」を東見屋で食べ、荒木屋でずしっと重い「栗ようかん」を買った。昼は十割そばの「山の音御膳」の味とボリュームに満足した。沼田高校前の肉屋で立ち食いした牛・豚ひき肉と枝豆たっぷりの「えだまメンチ」も忘れられない。

味噌まんじゅう

タレが絶妙な東見屋の「味噌まんじゅう」

御前

十割そばが抜群の「山の音御膳」

沼田市街から東へ、名湯の老神(おいがみ)温泉に向かう国道120号は沼田の動脈だが、“とんかつ街道”と呼ばれている。大きな店構えのとんかつトミタは、かつの定食の他にそば、うどんなども食べられる。

とんかつ街道

とんかつ店が点在する“とんかつ街道”

この店から見える赤城山を正面にした片品川の谷の大パノラマは、長い時間をかけた川の浸食と堆積(たいせき)の繰り返しでできた日本屈指の河岸段丘で知られている。

道路沿いのリンゴ、ブドウ、サクランボの畑に果物の産地を実感しながら、片品川の上流へとさかのぼると、「日本の滝百選」の吹割の滝があった。

吹割の滝

“東洋のナイアガラ”と呼ばれる吹割の滝

高さ7メートル、幅30メートルの凝灰岩、花崗岩(かこうがん)の川床を轟音(ごうおん)と飛沫(ひまつ)を上げながら落下するさまは吸い込まれそうな迫力。夏はとびっきりの清涼感に包まれる。

この吹割の滝や沼田観光の泊まり場として人気なのが老神温泉。単純泉、単純硫黄泉の湯で、片品川の渓谷に臨む15軒ほどの宿は設備ともてなしがいい温泉地である。

沼田は「森林文化都市」を名乗るように自然と歴史、食、花が豊かで、四季が鮮やかな安らぐ町である。

〈交通〉
・JR上越線沼田駅下車、または関越自動車道沼田IC
〈問い合わせ〉
・沼田市観光協会 沼田市観光案内所 0278-25-8555

※都道府県アンテナショップサイト「風土47」より転載。

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PROFILE

中尾隆之

中尾隆之(なかお・たかゆき)ライター
高校教師、出版社を経てフリーの紀行文筆業。町並み、鉄道、温泉、味のコラム、エッセイ、ガイド文を新聞、雑誌等に執筆。著作は「町並み細見」「全国和菓子風土記」「日本の旅情60選」など多数。07年に全国銘菓「通」選手権・初代TVチャンピオン(テレビ東京系)。日本旅のペンクラブ代表・理事、北海道生まれ、早大卒。「風土47」でコラムを連載中。

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