楽しいひとり温泉

温泉+屋敷門カフェ どらやき片手にそぞろ歩き 長門湯本温泉「星野リゾート  界 長門」

宿の中でのんびり過ごすのもいいけれど、温泉に入って一息ついたら、川沿いの温泉街を浴衣でそぞろ歩きをしたい。ステイホームのおかげで、すっかり散歩が日課となり、どうも部屋でじっとしているより、ぶらぶらと宿の外を歩きたくなりそうです。山口県・長門湯本温泉は、古くから湯治場として栄え、毛利藩の藩主も訪れた武家文化も残る場所。衰退してしまった温泉地から、そぞろ歩きが楽しい温泉街へと再生するプロジェクトを、長門市、次世代の地元旅館経営者、星野リゾートが三位一体となって立ち上げました。2020年3月に開業した「星野リゾート 界 長門」を、開業直後に取材しました。

(トップ写真:「星野リゾート 界 長門」の大浴場には、ぬる湯の源泉風呂もある)

■連載「楽しいひとり温泉」は、全国各地の温泉をめぐり、温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する、温泉ビューティー研究家の石井宏子さんが、テーマごとにひとり温泉にぴったりなお宿を紹介します。

三密回避策でチェックインは部屋で

ロビー

萩焼・深川窯の3人の作家の作品が並ぶロビー

宿の中は、山口県の伝統工芸品がたくさん置かれています。ロビーには萩焼の中でも長門湯本温泉に近い深川窯の作家の作品が置かれ、大きな窓は温泉街の風景へとつながっています。広々したロビーですが、三密回避滞在を目指し、到着したらそのまま部屋へと案内され、チェックイン手続きをする運用に現在は変わっています。

部屋

山口県の伝統工芸と窓からの景色を楽しむ長門五彩の部屋

「界 長門」は、参勤交代で滞在した藩主が休む「御茶屋屋敷」をテーマにしています。印象的なのは、華やかな「徳地和紙」のベッドボード。徳地和紙は山口市の無形文化財に指定されている伝統工芸ですが、手すき和紙のサイズよりはるかに大きな作品を間近に見ることができて迫力があります。模様合わせや染色の色だしにとても苦労があったとお聞きしました。飾り棚には、部屋ごとに異なる萩焼の作品が飾られているそうです。

大内塗

部屋の鍵は、大内塗の人形がキーホルダー

部屋の鍵が、とても可愛い。これも山口の伝統工芸の「大内塗」。金箔(きんぱく)の箔絵が美しい対のお人形がキーホルダーになっています。

大浴場は混雑状況をスマートフォンでチェック

ぬる湯

31度の源泉が注がれる「ぬる湯」は長湯ができる

大浴場の温泉は、内湯の小さい方の湯船で、ぬるめの源泉をそのままかけ流しにしています。泉質は、アルカリ性単純温泉、pH9.9と高く、つるつるとした感触です。加温した熱めの大きな湯船で温まったり、ぬる湯の源泉浴槽でリラックスしたり、風を感じる露天風呂でリフレッシュしたりと、楽しんでいるうちに、体の芯までぽかぽかに温まりました。6月からは大浴場の混雑状況を自分のスマートフォンで確認できるシステムがスタートしたので、すいている時間を見計らって行くことができ、安心です。

温泉街とつながる御茶屋屋敷の「あけぼの門」

あけぼの門

宿の中から温泉街へとつながる「あけぼの門」

温泉街を流れる音信(おとずれ)川の川沿いの道へと出ることができる「あけぼの門」。対岸から見ると、まさに武家屋敷の雰囲気です。ここに、界ブランドで初めての宿泊客以外の利用も可能な「あけぼのカフェ」ができました。

どらやき

あけぼのカフェ名物のどらやき

あけぼのカフェの名物は、どらやき。3種類の味わいがあるのですが、山口県の柑橘(かんきつ)である「長門ゆずきち」のジャムと白あんを合わせた「ゆずきち」にしました。手に収まるサイズのふわふわどらやきにあわせて、深煎りで濃いめが特徴のカフェラテも。

長門湯本温泉

宿の浴衣でそぞろ歩ける長門湯本温泉

温泉街再生プロジェクトで整備された川沿いの道は、浴衣でぶらぶら散歩するのにぴったり。休憩できるベンチには飲み物を置けるサイドテーブルがあるのも気が利いています。

古民家

古民家をリノベしてギャラリーと土産処が誕生

宿でいただいた、そぞろ歩きマップでぶらりとお散歩。街づくりの一環で空き家をリノベーションし、ギャラリーや飲食店などが生まれていてワクワクします。4月には、ここだけでしか買えないオリジナル雑貨が並ぶ、古民家を改装したお土産処「みんなのおとずれ堂」が本格オープンしました。

赤間硯で墨をするぜいたくな時間

赤間硯

文化体験「ご当地楽」は赤間硯で書を楽しむ

宿に戻って夕食までの時間に文化体験に参加しました。つくっている職人は3人しかいないという伝統工芸の赤間硯(あかますずり)は長州藩の名品として珍重されてきました。好きな作家の硯を選んで書をしたためます。硯でゆっくりと墨をする、心を静める旅のぜいたくなひと時です。

会席料理

日本海が近い長門らしい会席料理

半個室の食事処は、ひとり旅でも落ち着けます。宝楽盛りは、山口県でただひとりの桶(おけ)職人・坂村晃氏による桶に飾られた桜を眺めていただきました。お造りは山口名物のイカ、ふぐ、サワラの三点盛り。タイ昆布締め棒ずしや小柱のうま煮など、少しずつ楽しめるお料理です。

土鍋ごはん

炊き立てが運ばれる、サワラの西京焼き土鍋ごはん

最後にどんと登場するのが、サワラの西京焼き土鍋ごはん。春らしくタケノコの甘い香りも食欲をそそります。炊き立て熱々のごはんを、はふはふとほおばるのは、何とも言えず幸せです。ふわりと香る木の芽に誘われて、ひと口、またひと口とすすみ、おかわりはおコゲを少し……。満腹至福の夕ごはんでした。

山口県・長門湯本温泉 星野リゾート 界 長門
https://kai-ryokan.jp/nagato/

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1. 三密回避滞在で安心
2.湯あがりにそぞろ歩き
3.どらやきとカフェラテ

BOOK

温泉+屋敷門カフェ どらやき片手にそぞろ歩き 長門湯本温泉「星野リゾート  界 長門」

全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!

石井宏子さんの著書「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)が出版されました。温泉ビューティー研究家・旅行作家ならではの、旅してみつけた、女性がひとりで安心して楽しめる温泉宿を紹介するハンディーな一冊。公共交通機関で行ける、自分へのごほうびで泊まりたい、いい宿を全国から厳選し、あわせて、女性目線で選んだ周辺の立ち寄り先、ランチやスイーツも取り上げます。ひとりでも楽しい観光列車も登場します。税別1400円。

PROFILE

石井宏子

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書に「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)、「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)、「感動の温泉宿100」(文春新書)などのほか、「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)が11月に発売された。

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