クリックディープ旅

これはどこの麺でしょう? 旅で食したアジアの多彩な麺たち

これまで世界各地を旅してきた旅行作家・下川裕治さん。今回は、長年の旅のなかで食べた、アジアの麺を集めました。みなさんは多彩な麺を見て、どこのエリアかわかるでしょうか。音声付きの長編動画では、「朝、麺を食べられるか」について、議論が展開されます。

本連載「クリックディープ旅」(ほぼ毎週水曜更新)は、30年以上バックパッカースタイルで旅をする旅行作家の下川裕治さんと相棒の写真家・阿部稔哉さんと中田浩資さん(交代制)による15枚の写真「旅のフォト物語」と動画でつづる旅エッセーです。

(写真:阿部稔哉)

アジアの麺 国&エリア当てクイズ

アジアの麺は百花繚乱(りょうらん)。麺の素材も違えば、製法もさまざま。スープや具に至っては数えきれないほどの世界が広がる。新型コロナウイルスの影響でアジアに出向くことのできない日々。せめて麺の写真から、あの味を……。アジアへの思いがいっそう募る? すいません。きっともう少しの辛抱。

予定の「沖縄の離島を走る路線バスの旅」は、新型コロナウイルスの影響で掲載が延期になっています。こちらももう少しで連載がはじまる予定。今回はアジアの麺をエリア当てクイズの形式で紹介します。

長編動画

ホーチミンシティーのタンソンニャット空港から市内に向かうバスの車窓風景を見ながら、阿部稔哉カメラマンとアジアの麺談義。市内についたらさっそく麺料理の店へ?

音声はテレワークでよく使われるアプリZoomを利用して録音しました。

Scene01

ビーフン

米からつくる麺のひとつがビーフン。この街のビーフンは有名でブランド化している。日本のスーパーでも目にする。しかし本場に行くと日本では見かけないこのビーフンが。太くてぷるぷるした食感。日本で売られているビーフンもあるが、現地ではこちらが優勢。麺は現地で食べるもんですなぁ。(2016年)【これはどこの麺? 答えはシーン9】

Scene02

大衆食堂の麺

大衆食堂。意粉と腸の文字が並ぶ料理を選んだ。で、出されたのがこれ。意粉の意味を聞くとスパゲティ。これが? スープスパゲティという料理はあるが、これは限りなく汁麺に近い。腸はソーセージだった。このエリアの洋食は、アレンジが効きすぎている。食べるときはフォーク? いえ箸で食べます。(2014年)【これはどこの麺? 答えはシーン10】

Scene03

フォー

この国を代表する麺料理。名前もシンプルで、多くの日本人が知っている。現地の人たちは注文するとき、「スープの脂は抜いて」、「モヤシはゆでて」……と細かい。さらに、野菜や葉物、香辛料、たれなどを好みで加え、自分流の味に調えていくのがこの国流。日本人にはなかなか難しい。(2017年)【これはどこの麺? 答えはシーン11】

Scene04

イェンターフォー

この写真とシーン5は同じ国の麺。これはイェンターフォーと呼ばれる麺。毒々しいほどのピンク色スープが特徴。食べる前はかなり勇気がいるが、スープをすすると、「おやッ」と思うほどすんなりと胃に収まる。ピンクの色は、中国食材の紅腐乳を混ぜているため。これは豆腐に紅こうじを加えて発酵させたもの。(2016年)【これはどこの麺? 答えはシーン12】

Scene05

ヤムママー

麺は袋入りインスタント麺。それをゆで、イカやエビ、トマト、香辛料などを加えてあえて完成。この国風のサラダ麺、といったところ。ご飯も頼み、おかずのようにして食べる人も多い。「隠し味は、インスタント麺の袋に入っている粉末のスープのもと」と、食堂のご主人は教えてくれました。(2016年)【これはどこの麺? 答えはシーン12】

Scene06

ラクサ

イスラムの料理と中国料理……。その融合であるニョニャ料理をルーツにしているといわれる麺料理。一般にラクサと呼ばれる。米からつくった麺を使う。スープはイスラム教徒に配慮して魚やエビからとる。この国のインド人の割合は約7%(外務省データ)。カレー味が多いのはそのため?(2015年)【これはどこの麺? 答えはシーン13】

Scene07

カオスエ

この国の東北地方。米からつくった麺は、とにかくもちもち感が魅力。固まる前の、ひよこ豆の豆腐をかけるものもある。カオスエとも呼ばれるが、この周辺の山岳地帯は、カオソーイなど、同じ語源を思わせる麺料理が多い。しかしあっさりスープ系、カレースープ系などその味はかなり違う。(2014年)【これはどこの麺? 答えはシーン14】

Scene08

ラグマン

麺の原料は小麦。練って手でのばしてつくる。ラグマンと呼ばれる。イスラム教徒が多いので、具に羊肉が使われることが多い。あえ麺のようなスタイルもあり、それは焼きうどんに似ている。この国は世界遺産のレギスタン広場が有名。中国のイスラム社会では拉麺と書く。ラーメンのルーツという説もある。(2010年)【これはどこの麺? 答えはシーン15】

Scene09

新竹

【シーン1から続く】答えは台湾。街は新竹。太いぷりぷり麺は水粉。日本でも売られているビーフンは炊粉。現地では区別されている。新竹は台湾海峡に面した漁港。訪ねると、港には海鮮市場があり、その2階がこんな食堂に。沈む夕日を眺めながら、ビールと新竹ビーフン。満足度はかなり高い。ただし新竹市の中心に戻るバスが早く終わるのが難点。(2016年)

Scene10

チャチャンテーン

【シーン2から続く】答えは香港。麺を食べたのは、この茶餐廳(チャチャンテーン)。茶餐廳は格安食堂で、カフェとしても使える。日本でいったらファミリーレストランだろうか。この街にいると、3食この店になってしまうことが多い。茶餐廳ではいろんなナゾメニューに出合ってきた。鴛鴦茶(ユンヨンチャ)もここに。コーヒーと紅茶を混ぜたものだ。(2014年)

Scene11

ホーチミンシティーの中央郵便局

【シーン3から続く】答えはベトナム。有名なフォー。しかしフォーは少し高い。庶民の麺といったらブン。ともに米麺だが、切り麺のフォーと違い、ブンはトコロテンのように押し出してつくる。ブンは食べ方も多彩。汁麺のほかに、つけ麺スタイルもある。フォーと並ぶベトナムの有名料理、生春巻きにもブンが入る。写真はホーチミンシティーの中央郵便局。(2013年)

Scene12

ロイクラトン

【シーン4・5から続く】答えはタイ。写真はロイクラトンといわれる豊年祭。バナナの葉でつくった灯籠(とうろう)を川や池に流す。タイの麺も種類が多い。麺は米麺、小麦麺などがあるが、シーン5で紹介したインスタント麺を使ったものも。これはヤムママーという。ママーはタイでは高いシェアを占めるインスタント麺ブランド。メニュー名になってしまった。(2016年)

Scene13

コタバルの市場

【シーン6から続く】答えはマレーシア。写真はコタバルの市場だ。マレー半島の東海岸のコタバル周辺は、マレー人の小宇宙と呼ばれるほど、マレー人の人口が多い。イスラム色が強い一帯。市場の人々もキャップやスカーフ姿が多い。運行中のバスも、時間になるとモスクの前で停車し、乗客は礼拝に向かう。到着も大幅に遅れる。(2015年)

Scene14

チャイントン

【シーン7から続く】答えはミャンマー。写真はシャン州のチャイントン。街の中心に湖のある静かな街だ。シャン州の麺は優しい味がする。タイ北部のメーサイからは簡単に行くことができるが、シャン州内の移動は制限されている。ミャンマー軍と対立するシャン州の武装組織の活動拠点があるからだ。現在は新型コロナウイルスの影響で停戦状態が続いている。(2014年)

Scene15

タシケントの市場

【シーン8から続く】答えはウズベキスタン。写真は首都タシケントの市場。ラグマンは市場内の食堂でも簡単に食べることができる。ラグマンは中国の蘭州から新疆(しんきょう)ウイグル自治区、中央アジア一帯に広がる乾燥地帯の麺。シルクロードの麺といってもいい。麺の製法も中国の蘭州拉麺に似ている。(2010年)

短編動画


フォーのホーチミンシティー風の食べ方を動画でどうぞ。

※料金等はすべて取材時のものです。

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【次号予告】世界のテイクアウト料理

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BOOK

これはどこの麺でしょう? 旅で食したアジアの多彩な麺たち
12万円で世界を歩くリターンズ
[タイ・北極圏・長江・サハリン編] (朝日文庫)
リターンズ第二弾では、タイと隣国の国境をめぐり、北極圏を北上し、長江をさかのぼる旅へ、予算12万円で約30年前に旅したルートをたどる。さらに「12万円でサハリンに暮らす」ことにも挑戦。旅は、世界はどう変わったか?
朝日文庫
3月6日発売
定価:770円(税込み)

PROFILE

  • 下川裕治

    1954年生まれ。「12万円で世界を歩く」(朝日新聞社)でデビュー。おもにアジア、沖縄をフィールドに著書多数。近著に「一両列車のゆるり旅」(双葉社)、「週末ちょっとディープなベトナム旅」(朝日新聞出版)、「ディープすぎるシルクロード中央アジアの旅」(中経の文庫)など。最新刊は、「12万円で世界を歩くリターンズ 【タイ・北極圏・長江・サハリン編】」 (朝日文庫)。

  • 阿部稔哉

    1965年岩手県生まれ。「週刊朝日」嘱託カメラマンを経てフリーランス。旅、人物、料理、など雑誌、新聞、広告等で幅広く活動中。最近は自らの頭皮で育毛剤を臨床試験中。

どんな意味? なぜこの名前? アジアの難解標識、不思議な看板

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