楽しいひとり温泉

温泉+別荘 心を休めるひとり時間を楽しむ 由布院温泉「亀の井別荘」

由布院温泉で私が“おひとり様”デビューしたのは亀の井別荘でした。2013年当時は、女性がひとりで宿泊できる宿は、まだそう多くはない中で、由布院温泉の亀の井別荘と玉の湯(ご紹介記事はこちら)は、早くからひとり旅でも歓迎してくれたのです。わたしがひとり旅を楽しめるようになったのは、この時の心休まる滞在があったからこそ。つかず離れずのもてなしや、居心地の良さに助けられました。亀の井別荘を引き継いだ中谷太郎さんが宿を改装し、思い出の部屋も少し変わったと聞いて、19年の夏に再び泊まりに出かけました。

(トップ写真:亀の井別荘のかやぶきの門。ここからは宿泊者しか入れない)

■連載「楽しいひとり温泉」は、全国各地の温泉をめぐり、温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する、温泉ビューティー研究家の石井宏子さんが、テーマごとにひとり温泉にぴったりなお宿を紹介します。

日常から解き放たれて豊かな時を過ごす

ロビー

座り心地の良いコロニアルチェアが置かれたロビー

亀の井別荘の敷地は、二つのゾーンに分かれています。宿泊者以外でもふらりと立ち寄れるショップやカフェ、レストランがあるエリアはそのまま金鱗湖(きんりんこ)の小道へと続いています。一方、かやぶきの門をくぐれるのは宿泊のゲストだけ。由布院温泉のにぎわいとの結界ともいうべき門をくぐって特別な「別荘」の時間が始まります。

コロニアルチェアが置かれたシックなロビー。大きな窓いっぱいの緑、ゆらゆらと木漏れ日が揺れる風景に癒やされます。

洋室「山蔭」

本館の洋室「山蔭」は、隠れ家のような雰囲気がある

ひとり宿泊のおすすめは本館の洋室。山荘にこもるような雰囲気は変わらずに、北欧家具を取り入れてスッキリした空間に変わりました。再び訪れても、何も変わらないようなぬくもりを感じ、でも、現代のライフスタイルに合わせてさりげなく変化している……。ホテルでも旅館でもなく、ゲストが別荘としてくつろげるようにと考えられた設計にうれしくなりました。

ベッドルーム

奥のベッドルームには広い書斎デスクもある

ベッドの近くには大きめのデスク。Wi-Fi環境も整っていますから、温泉別荘にいながらにして、テレワークも可能。集中して短時間で仕事を片付けるにはもってこいです。

部屋の内湯

部屋にある温泉の内湯。気兼ねなく何度でも入れるのがうれしい

部屋の内湯は自家源泉かけ流し。夜中だって、寝起きだって、ベッドから数歩で自分だけの温泉に入れるというのは、最高の喜びと思ってしまいます。

ウオークインクローゼット

旅人思いの快適なウオークインクローゼット

感激したのは部屋になじむウオークインクローゼット。旅先の部屋で案外気になるのは荷物の存在です。キャリートランクが広げられるスペースと支度がしやすい鏡とテーブル。滞在中に荷物が視界に入ることがなく、ずっといい気分でいられます。

つるつるとろりの温泉につかるぜいたくな大浴場

大浴場の内湯

男女別大浴場の内湯

大きなガラス屋根から光が降り注ぐ圧巻の大浴場。肩まですっぽりとつかって温まれる深さの岩風呂に自家源泉がたっぷりとかけ流されています。泉質は単純温泉、pH8.1の弱アルカリ性。つるつるとろりとした肌触りです。

談話室

敷地内にある独立した建物の談話室

湯上がりは、回廊をぶらりと歩いて談話室へ。夜は、蓄音機を使ってレコードの音楽を鑑賞する催しがあります。

ワインと一緒に大分・由布院の旬を味わう

前菜

内臓を温める、熱々の前菜は夏にこそ味わいたい

夕食は館内のレストラン「螢火園」で。前菜のひとつは夏を感じる稚アユとトウモロコシの天ぷら。稚アユは熱々を頭からがぶり。サクサクとした歯ごたえとほろ苦い味わいに白ワインがよく合います。

城下かれいのお造り

大分のブランド魚・城下かれいのお造り

この日は城下かれいのお造りが出ました。味わうほどに、甘みのある深いうまみが広がって、しみじみとおいしい。

おおいた和牛

芳しく炭火焼きされたおおいた和牛

おおいた和牛の炭火焼きは、からしじょうゆが合う。炭火で甘さを引き出したタマネギを一緒に味わうと、またこれがおいしい。う~む。これは赤ワインをお願いするしかありません。

爽やかな由布院の風を浴びる朝の温泉

露天風呂

由布岳から吹き下りる風が心地よい露天風呂

朝ごはんの前にもう一度大浴場へ。露天風呂に朝の光が差し込んでお湯がキラキラと輝いています。露天風呂からは由布岳の姿が眺められて、山からの風が爽やかです。

朝食

和食と洋食が選べる朝食

朝食は和食と洋食を選べるのですが、亀の井別荘ではやっぱり洋食にしてしまいます。理由はパン。実は、由布院温泉街で人気の「パン工房 まきのや」のパンを仕入れているのです。ふわふわのオムレツと野菜、スープやヨーグルト、深煎りのコーヒー。小鳥の声を聴きながらテラスでいただくのもいいなあ。

大分県・由布院温泉 亀の井別荘
https://www.kamenoi-bessou.jp/

■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.静かに心を休める時間
2.風が抜ける爽やかな温泉
3.大分の旬を味わう夕食

BOOK

温泉+別荘 心を休めるひとり時間を楽しむ 由布院温泉「亀の井別荘」

全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!

石井宏子さんの著書「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)が11月16日に出版されました。温泉ビューティー研究家・旅行作家ならではの、旅してみつけた、女性がひとりで安心して楽しめる温泉宿を紹介するハンディーな一冊。公共交通機関で行ける、自分へのごほうびで泊まりたい、いい宿を全国から厳選し、あわせて、女性目線で選んだ周辺の立ち寄り先、ランチやスイーツも取り上げます。ひとりでも楽しい観光列車も登場します。税別1400円。

PROFILE

石井宏子

温泉ビューティー研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。著書に「癒されてきれいになる おひとりさま温泉」(朝日新聞出版)、「地球のチカラをチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76」(マガジンハウス)、「感動の温泉宿100」(文春新書)などのほか、「全国ごほうびひとり旅温泉手帖 いい湯、いい宿、旅ごはん!」(世界文化社)が11月に発売された。

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