京都ゆるり休日さんぽ

美しいものに出合い、内なる光に気づく。京都・紫竹の「STARDUST」が教えてくれること

「You are stardust on the earth – a beautiful little piece of universe.(あなたは地上の星くず、宇宙の美しいひとかけら)」。一編の詩のように心に響くこのメッセージとともに、京都・紫竹に「STARDUST(スターダスト)」がやってきたのは、2015年、七夕の日。カフェであり、ギャラリーであり、ショップでありながら、ここで時を過ごすと、時空を超えて遠い国の物語の中に迷い込んだような不思議な充足感に満たされます。今回は、5周年を迎え、京都になくてはならない場所となった「STARDUST」を訪ねました。

■暮らすように、小さな旅にでかけるように、自然体の京都を楽しむ。連載「京都ゆるり休日さんぽ」はそんな気持ちで、毎週金曜日に京都の素敵なスポットをご案内しています。
(文:大橋知沙/写真:津久井珠美)

自然と時間、人の手が紡ぐ美しいものを集めた場所

店内

長屋町家を改装した吹き抜けの空間。天窓からの光や奥の庭を吹き抜ける風が心地よい

「私たちの身体を作るすべての要素は、星くずと同じ」という宇宙物理学者の言葉にインスピレーションを得て、店の名前を「STARDUST」と名付けた、店主の清水香那さん。オーガニックの野菜を使ったヴィーガンランチとカフェ、世界中からクリエーターやショップを迎え展示を行うギャラリーショップとして、オープン以来、国内外に着実にファンを増やしてきました。冒頭のメッセージが示すように、ここで美しいものに出合うことは、まるで自分の内なる光に気づくような瞬間。それらに共鳴する自分の中にも、同じ星のきらめきを見つけたような気持ちにさせてくれるのです。

作品などが並ぶ

国内外の作家の作品のほか、鉱石や古物、異国の生活道具などが並ぶ

築約90年の長屋町家を改築した空間には、清水さんが作り手のスピリットに共感した洋服やうつわ、世界中から集めた古物や鉱石などが並びます。国も、時代も、作り手もさまざまながら、それらに共通するのはどこか自然の気配をたたえていること。さらに、地球の長い年月が育んだ奇跡のような産物から、環境や資源に配慮したプロダクトまで隔たりなく並ぶことで、過去と未来を同時に体験するかのような、不思議な時間の感覚を覚えます。

清水香那さん

店主の清水香那さん。オーストラリアやアメリカ、仙台での暮らしを経て、2011年に京都へ。2015年に「STARDUST」をオープンした

「無我夢中で走った5年間でした。5周年を迎えるこの年に、思いもよらない形(新型コロナウイルスの影響)で一時休業することになり、立ち止まって、働きかたや暮らしかたを考えるきっかけになりました。休んでいる間、オンラインショップを通して、全国からあたたかいメッセージや応援をいただいたんです。こんなにたくさんの人が心を寄せてくださっているんだと、感激しました」と清水さんは話します。

時間と空間、人と人との関わりを、わかちあう世界に

ロウケーキなど

カシューナッツやココナツオイル、ドライフルーツなどで仕上げる「ロウケーキ」(750円・税別)、STARDUSTオリジナルのハーブティー(700円・税別)と

再開後、カフェは当面の間ランチを休止し、完全予約制に。フランス・リヨンの香り高い茶葉「CHA YUAN(チャ ユアン)」のフレーバーティーや、加熱せず生のまま素材の風味と個性を生かして作るロウケーキなど、「STARDUST」の看板のカフェメニューがいただけます。テーブルに置かれたうつわの景色やお茶の色あい、花や果実の香りと、口の中で溶けてゆく余韻……。予約制となり落ち着いてテーブルにつくことで、これまでより一層、そうした情緒を豊かに味わう場所へと進化しつつあります。

テーブル

現在、カフェは2テーブルのみの完全予約制。物販は予約なしで来店可能

「世界が、地球が大きく変わろうとしている節目にありますよね。再開して訪れてくれる人やオンラインでつながっている人々からも『絶対に素晴らしい世の中に変えていこう』という思いを、テレパシーのように感じています。予約制になって、一組一組のお客様と向き合うかたちを築くことができた。これからはもっと“わかちあう時代”になっていく予感がしています」

オリジナルハーブティー

休業を経て、念願だったというオリジナルのハーブティーが完成。京都の陶芸家に特注で作ってもらった茶つぼ入りで、ギフトにも最適(各7800円・税別)

約束した時間を共有し、もてなす人と味わう人が心を交わす。自然や人の手が紡ぐ美しい品々にふれ、それらが経てきた時間と未来を思う。そして、そう感じる自分の内側にも、同じ光があると教えてくれる。「STARDUST」で過ごすことは、心と体と感性をうるおす一つの体験のようです。

「CHA YUAN」の茶葉

「CHA YUAN」の茶葉も充実している。緑茶、ウーロン茶、紅茶をベースに果実や花で香り付けされ、一つひとつに詩のような名前が付く

観光地からはやや外れた、紫竹の閑静な住宅街にきらめく一粒の星のような存在。導かれるように集まってきた美しい品々や人と人との関わり、時間の過ごし方を道しるべに、「STARDUST」はゆっくりと新しい一歩を踏み出しています。そこで出合うものに共鳴し、わかちあうことができたら、世界がもっと光に満ちて見えてくるかもしれません。

店内

時を経た古いもの、自然が育んだもの、作家が作る手仕事のもの、それぞれの美しさに対峙(たいじ)できる

STARDUST
http://stardustkyoto.com/

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BOOK

美しいものに出合い、内なる光に気づく。京都・紫竹の「STARDUST」が教えてくれること

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が6月7日に出版されました。&TRAVELの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。税別1200円。


PROFILE

  • 大橋知沙

    編集者・ライター。東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブックやWEB、ライフスタイル誌などを中心に取材・執筆を手がける。本WEBの連載「京都ゆるり休日さんぽ」をまとめた著書に『京都のいいとこ。』(朝日新聞出版)。編集・執筆に参加した本に『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。

  • 津久井珠美

    1976年京都府生まれ。立命館大学(西洋史学科)卒業後、1年間映写技師として働き、写真を本格的に始める。2000〜2002年、写真家・平間至氏に師事。京都に戻り、雑誌、書籍、広告など、多岐にわたり撮影に携わる。

朝食からディナーまで。オーガニックで感性豊かな料理が味わえるレストラン「OASI」

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創業93年の甘味処「甘党茶屋 梅園」が京都にある幸せ

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