魅せられて 必見のヨーロッパ

「シベリアのパリ」イルクーツクと迫力の犬ぞり ロシアの旅(7)

ツアーの行き先としてはメジャーでないけれど足を運べばとりこになる街を、ヨーロッパを知り尽くした作家・写真家の相原恭子さんが訪ねる「魅せられて 必見のヨーロッパ」。今回は、2月に出かけたロシア旅の最終回。ブリヤート共和国の首都ウラン・ウデから、夜行列車で「シベリアのパリ」と呼ばれるイルクーツクへ向かいます。犬ぞりの迫力も体感しました。

【動画】迫り来る犬ぞり

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シベリア鉄道の夜行でイルクーツクへ

前回の氷結したバイカル湖上巡りから、再びウラン・ウデへ車で戻りました。その日の夜に、シベリア鉄道の夜行列車でウラン・ウデ駅からイルクーツク駅へ移動。かなりのハードスケジュールです。

「シベリアのパリ」イルクーツクと迫力の犬ぞり ロシアの旅(7)

ウラン・ウデ駅の入口

シベリア鉄道の駅構内、ホーム、車内は今回、あいにく撮影禁止でした。

ウラン・ウデ駅22:39発。私が乗ったコンパートメント(客室)にはベッドが4台。左側と右側にそれぞれ2台ずつ、上下にベッドが設置されています。

車内では飲酒は禁止。出発してから1時間くらいの間、車掌さんが時々見回りに来ました。寝酒にウォッカも飲めず、なかなか厳しいです。

朝からにぎわう「シベリアのパリ」


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朝のイルクーツク駅前です

イルクーツク駅に翌朝07:29着。駅舎を出ると、すでにかなりの車や人でにぎわっています。

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ガイドさんの出迎えを受け、駅前を歩いて駐車場へ

電光掲示板によれば-9℃。「今日は暖かいですよ」とガイドさん。さっそく街を車で巡ります。

「シベリアのパリ」イルクーツクと迫力の犬ぞり ロシアの旅(7)

ヨーロッパ的な街並みは「シベリアのパリ」とも呼ばれます

イルクーツクは17世紀から主に毛皮の集積地となり、中国や中央アジアとの交易の十字路として栄えました。

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美しい建物が各所に見られます

ガイドさんによれば、道路左側のベージュ色の建物はスターリン時代のもので、シベリア鉄道の東シベリア支部のオフィスが入っているそうです。

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イルクーツク130地区


観光地として知られる「130地区」は、昔のイルクーツクの建物を再現してあり、レストランやショップになっています。ショッピングモールもあり、地元の若者にも人気。私も何度か食事に行きましたが、リーズナブルでオシャレな店が多いです。

デカブリストが住んだ「ヴォルコンスキーの家」


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デカブリスト「ヴォルコンスキーの家」(入口方向から見た外観)

デカブリスト(12月党)の家はイルクーツクの町にいくつか残っていますが、この「ヴォルコンスキーの家」は公開されています。1825年、貴族出身の青年将校が農奴制と専制政治の廃止を掲げて起こした武装蜂起「デカブリストの乱」が起き、乱の参加者はやがてデカブリストと呼ばれるようになりました。その1人であったセルゲイ・ヴォルコンスキー公爵(1788~1865)はシベリア流刑となり、イルクーツクのこの家で暮らしました。

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「ヴォルコンスキーの家」の内部

流刑に処されたものの、ロシア帝国の文化を担っていた貴族らしく美しい邸宅です。あか抜けた衣装や調度品が展示されています。

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こちらも「ヴォルコンスキーの家」の内部

こちらは舞踏会が行われた部屋。シベリアへデカブリストたちが流されたことにより、ロシア帝国の貴族文化が辺境の地へもたらされました。ヴォルコンスキー夫妻はコンサートやパーティーを開き、地元の人々を招待したと伝えられています。

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ユーリー・ガガーリンの像

1961年に世界初の有人宇宙飛行に成功したユーリー・ガガーリン(1934~1968)の像へ、ガイドさんが案内してくれました。「ソ連時代に大学を卒業した私には、彼は今も英雄です」とガイドさん。

「金沢通り」という名の道が


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「兼六園」と同じ灯籠(とうろう)がイルクーツクの街なかに

イルクーツク市の姉妹都市、金沢市ゆかりのものも見かけました。「金沢通り」という道もあります。

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「金沢通り」という日本語の標識も出ています


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「露日交流の記念碑」も金沢通りにあります

現在の三重県鈴鹿市出身で、回船(輸送船)の船頭だった大黒屋光太夫が18世紀に嵐でロシアに流され、イルクーツクにも立ち寄ったという縁から、鈴鹿市とイルクーツク市による露日交流の記念碑がたっています。

夕方、宿泊したイルクーツクのホテル「アンガラ」の前の公園を散策しました。気温は-15℃ですが、外出時に必ず身につけるフル装備(頭から足の先までの防寒具とカイロ)のおかげで30分くらいは外を歩けます。

【動画】イルクーツクの公園を散策

郊外で犬ぞりに乗ってみた

さて、せっかくシベリアへ来たのだから、犬ぞりに乗ってみようとイルクーツク近郊へ出かけました。林の中を犬ぞりで駆け抜けます。けなげに走る犬たちがカワイイ。

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雪道を走り抜ける犬ぞり

観光客も予約して犬ぞりに乗ることができます。乗ってみると、なかなかの迫力です。

7回にわたってお届けしてきたロシアの旅で巡ったのは、イルクーツク、バイカル湖、ブリヤート共和国。「寒い国へは寒い時に旅せよ」とも言われますが、それを実感しました。極寒の時期ならではの風景もライフスタイルも、一期一会の魅力がありました。

Metropol-Express
http://metropol-express.ru/eng/index.wbp

S7航空
https://www.s7.ru/

日本旅行業協会
https://www.jata-net.or.jp/

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PROFILE

相原恭子(文・写真)

慶應大学卒業。ドイツ政府観光局勤務を経て、作家&写真家。「ドイツ地ビール夢の旅」(東京書籍)、「ドイツビールの愉しみ」(岩波書店)、「ベルギー美味しい旅」(小学館)、「京都 舞妓と芸妓の奥座敷」(文春新書)、「京都 花街ファッションの美と心」(淡交社)、英語の著書「Geisha – A living tradition」(フランス語、ハンガリー語、ポーランド語版も各国で刊行)など著書多数。国内はもちろん、国際交流基金・日本大使館の主催でスペイン、ハンガリー、エストニアで講演会や写真展多数。NHK「知る楽」「美の壺」、ラジオ深夜便「明日へのことば」「ないとエッセー」、ハンガリーTV2、エストニア国営放送など出演多数。
https://blog.goo.ne.jp/goethekyoko

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