楽園ビーチ探訪

ミルキーブルーのテカポ湖で、満天の星空観察を夢見て ニュージーランド

北島と南島、二つの大きな島からなるニュージーランド。今回ご紹介するのは、南島のほぼ中央に位置するテカポ湖です。光害問題に取り組むNPO「国際ダークスカイ協会」の国際ダークスカイ・リザーブ(星空保護区)に認定されている、星空観察を目的としたアストロ・ツーリズムの旗手的存在です。

連載「楽園ビーチ探訪」は、リゾートやカルチャー、エコなどを切り口に、国内外の海にフォーカスした読み物や情報を発信するビーチライターの古関千恵子さんが訪れた、世界各地の美しいビーチや、海のある街や島を紹介いたします。

世界最大級の「星空保護区」

「アオラキ・マッケンジー国際ダークスカイ・リザーブ」として認定されたエリアは、アオラキ/マウントクック国立公園とマッケンジー盆地の4367平方キロメートルにわたり、保護区としては世界最大級。三つの村があり、そのうちのテカポは中心的存在ながら、わずか500人ほどしか暮らしていません。

もともと人口が少ない上、住民が美しい星空を守ろうと、努力を続けています。街灯を白や黄色から影響が少ないオレンジ色に変え、22時以降はカーテンを閉ざして照明が漏れないようにするなど、光害をできるかぎり排除する活動をしてきました。

ミルキーブルーのテカポ湖で、満天の星空観察を夢見て ニュージーランド

星空ツアーではテカポ湖から山方面へ向かい、標高1031メートルのマウント・ジョン天文台で星空観察を行います © Dark Sky Project

テカポ湖は南半球に位置するため、北半球の日本では見られない星座を見ることができます。天の川の中の南十字星など、見られる星座の数は60個。そのうち、ツアーでガイドさんから教えてもらうのは25~30個。星座以外にも、南半球で見られる「ニセ十字」と呼ばれる星の配列や、大小マゼラン雲も。肉眼で6等星まで見られるそうで、闇よりも星のきらめきの方が空に占める割合が高く感じられるとか。

星座が北半球とは逆さになり、星の結び方も違います。たとえば、北半球のオリオン座をここでは「カヌー」に、おうし座をその「帆」に見立てます。夏が近づく11月の夜空に、この巨大なカヌーが浮かぶと、マオリの人々は漁の季節の訪れを知ったそうです。

ミルキーブルーのテカポ湖で、満天の星空観察を夢見て ニュージーランド

オーロラと天の川、奇跡のコラボでしょう。いつか、見てみたい! © Dark Sky Project

運がよければ、オーロラも期待できます。北半球ではノーザンライツ(北極光)と呼びますが、南半球ではサザンライツ(南極光)。特に7~8月の新月に近い時期が狙い目だそうです。

期待を胸にテカポ湖へ しかし……

ミルキーブルーのテカポ湖で、満天の星空観察を夢見て ニュージーランド

テカポ湖沿いの街道

テカポ湖を目指したのは、もちろん、星空観察のためです。人気リゾート地クイーンズタウンから長距離バスに乗ること約4時間。到着したテカポ湖の中心地は、数軒のレストランやスーパーマーケット、ガソリンスタンド、ツアー会社などが、街道沿いに並んでいます。車ならば、まばたきするうちに通り過ぎてしまいそうなメインストリートです。「世界的に有名な星空の町」というには、観光地らしさはほとんどありません。

南北約30キロメートルにわたる細長いテカポ湖は、湖畔の南側でテカポの町と接しています。湖を眺めながら、スーツケースをガラガラと引いて、宿泊先の「ペッパーズ・ブルーウォーター・リゾート・レイク・テカポ」へ。


ミルキーブルーのテカポ湖で、満天の星空観察を夢見て ニュージーランド

ベッドに寝ながらテカポ湖を望める部屋もある「ペッパーズ・ブルーウォーター・リゾート・レイク・テカポ」

長距離バスの車窓から見上げた雲行きがかなり怪しかったうえに、ついに雨までも降り出しました。星空ツアーで向かう標高1031メートルのマウント・ジョン天文台なら、もしや雲の上なのでは?などと期待してツアー催行会社に問い合わせもしてみましたが、やはり中止とのこと。「明日はいかがですか?」と聞かれたけれども、1泊の予定なので断念。やはり、自然を相手にワンチャンスで挑むのは、無謀でした。

ミルキーブルーの湖周辺を散策

ミルキーブルーのテカポ湖で、満天の星空観察を夢見て ニュージーランド

テカポ湖とテカポ川。アウトドアを楽しみに訪れる家族連れも

翌日は、前夜の雨がうそのような、晴天。後ろ髪を引かれながらも、気を取り直し、帰りの長距離バスの時間まで、テカポ湖周辺を散策することにしました。

ミルキーブルーのテカポ湖で、満天の星空観察を夢見て ニュージーランド

11~12月はルピナスの花が咲き乱れ、湖畔(こはん)を彩ります

テカポ湖はミルキーブルーの水をたたえています。これは氷山が動く際に岩石が削られて生じる「ロックフラワー」と呼ばれる粉が溶け出しているため。ドリーミンな色の湖面のかなたにはサザンアルプスの山並みが続いています。そして、訪れた12月には青色やラベンダー色のルピナスの花が湖を縁取るように一斉に咲き乱れていました。

ミルキーブルーのテカポ湖で、満天の星空観察を夢見て ニュージーランド

1935年建造の「善(よ)き羊飼いの教会」。教会近くに、開拓時に活躍した牧羊犬をたたえる銅像が立っています

鮮やかな色彩の湖畔にぽつんとたたずんでいるのが、石造りの「善(よ)き羊飼いの教会」。祭壇の向こうには湖とサザンアルプスの眺めが広がります。

ミルキーブルーのテカポ湖で、満天の星空観察を夢見て ニュージーランド

テカポ湖の湖畔に建つ民家。心豊かな暮らしぶりがうかがえます

昼のテカポ湖の眺めも絵画のように美しいのですが、やはり世界に誇る星空を見てみたい。次回は2~3日の余裕をもって計画しようと思います。

【取材協力】

ダークスカイプロジェクト
https://www.darkskyproject.co.nz/ja/

>> 連載一覧へ

PROFILE

古関千恵子

ビーチライター。リゾートやカルチャー、エコなどを切り口に、国内外の海にフォーカスした読み物や情報を発信する。ダイビング雑誌の編集者を経てフリーとなり、“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”を繰り返すこと四半世紀以上。『世界のビーチ BEST100』(ダイヤモンド・ビッグ社)の企画・執筆、『奇跡のリゾート 星のや 竹富島』(河出書房新社)の共著のほか、ファッション誌(『Safari』『ELLE Japon』など)やウェブサイトに寄稿。ブログも配信中。

海中のミステリーサークルと孤高の芸術家・田中一村 奄美大島

一覧へ戻る

注目のカマラビーチと「007」の島 タイ・プーケットとパンガー湾

RECOMMENDおすすめの記事